英作文や英語ライティングの学習に、ChatGPTのような生成AIを使う人が一気に増えました。書いた英文を直してもらう、より自然な表現を提案してもらう、アイデア出しを手伝ってもらうなど、使い方はさまざまです。実際、英語学習者にとって生成AIはかなり身近な存在になっています。
ただし、ここで気になるのは、便利さと上達は本当に同じなのかという点です。ChatGPTを使えば、見た目の整った英文はすぐに手に入ります。しかし、それだけで英作文力や英語ライティング力が伸びるとは限りません。むしろ、使い方を間違えると、自分で考えて書く力が弱くなってしまう可能性もあります。
この記事では、ChatGPTや生成AIを英作文に使うことで、どのような効果が期待できるのか、どのような注意点があるのかを整理します。そのうえで、英語ライティングの力を伸ばしたい人が、生成AIをどのように活用すべきかを具体的に考えていきます。
生成AI (Chat GPT/Gemini)を英作文に使うメリット

Chat GPT で英作文が上達すると言われる理由は、以下の7点です。
- アイデア出しに使える
- 英作文の構成づくりに使える
- 言い換え表現を学びやすい
- 文法や語彙のチェックに使える
- 推敲(見直し)に使える
- 瞬時にフィードバックが得られる
- 一人でも学習を継続できる
アイデア出しに使える
英作文では、英語で書く前に、何を言いたいのかを決める必要があります。しかし、ここで止まってしまう人は少なくありません。特に自由英作文では、「英語が書けない」というより「内容が出てこない」ことが問題になることがあります。生成AIは、この最初のハードルを下げるのに向いています。
たとえば、あるテーマについて賛成と反対の理由を挙げてもらったり、具体例の候補を出してもらったりすると、自分の考えを組み立てやすくなります。また、「高校生向けに考えやすい視点で」など条件をつければ、自分のレベルに合った形でアイデアを受け取ることもできます。これは、白紙の状態で悩み続けるよりもはるかに書き出しやすい方法です。
ただし、ここで重要なのは、AIの案をそのまま書き写すことではありません。大切なのは、それをきっかけに自分の意見を明確にすることです。アイデア出しの段階でうまく使えば、英作文はかなり取り組みやすくなります。
英作文の構成づくりに使える
英作文の質を左右するのは、文法の正確さだけではありません。特に意見文やエッセイでは、主張と理由のつながり、段落の順序、結論のまとめ方など、構成面の出来が大きく影響します。しかし、構成の問題は自分では気づきにくく、うまく整理できないまま書き進めてしまうことも多いです。
ChatGPTは、この構成づくりにも使えます。たとえば、自分の立場と理由を示して、「この内容で英作文のアウトラインを作るとどうなるか」と聞けば、導入から結論までの流れを見せてもらえます。また、すでに自分で作った構成案を見せて、「論理の飛躍がないか」「段落の順番は自然か」と確認することもできます。
この使い方は、単に模範解答を受け取るのとは違います。自分の考えをどう整理すれば伝わりやすくなるかを学ぶ機会になります。英語ライティングが苦手な人ほど、文単位ではなく文章全体を見る練習として有効です。
言い換え表現や例文を増やしやすい
英作文で悩みやすいのは、「意味は言いたいけれど、今の表現だと幼い」「同じ単語ばかり使ってしまう」といった場面です。生成AIは、こうしたときに複数の言い換えや例文を提示できます。これによって、自分一人では思いつかなかった表現を知ることができます。
また、「中学生レベルで」「英検準二級レベルで」「シンプルな英語で」など条件をつけると、難しすぎない範囲で表現を出してもらいやすくなります。これにより、単にきれいな英文を眺めるのではなく、自分が使える表現を増やす学習にしやすくなります。
ただし、例文を集めること自体が目的になると危険です。大切なのは、例文を増やすことではなく、自分の文章に合う表現を選び、使いこなせるようにすることです。言い換えや例文は、あくまで学習材料として使うべきです。
文法や語彙のチェックに使える
英作文で最も使われやすいのは、やはり文法や語彙のチェックでしょう。自分では正しいと思って書いた文でも、時制、冠詞、前置詞、単数複数などでミスをしていることはよくあります。生成AIは、そうした点を比較的素早く見つけてくれます。
さらに便利なのは、単なる誤り訂正だけでなく、「もっと自然な言い方」を複数出してもらえることです。たとえば、同じ意味をややフォーマルにしたい、もっとやさしい英語にしたい、試験英作文向けに簡潔にしたいといった調整もできます。これによって、自分の英語表現の幅を広げやすくなります。
とはいえ、ここでも注意は必要です。AIの提案は、見た目が整っていても、自分のレベルに合っていないことがあります。難しすぎる語彙や構文を採用すると、次に自力で再現できなくなる可能性があります。文法や語彙の見直しに使う場合も、最終的には自分が理解できるものを選ぶことが大切です。
書き直しと推敲(見直し)に使える
英作文で本当に力がつくのは、一度書いたものを見直し、書き直す過程です。しかし、実際にはそこまで丁寧にできる学習者は多くありません。見直す観点がわからず、そのまま終わってしまうからです。生成AIは、この推敲の段階で特に力を発揮します。
たとえば、「この英文でわかりにくいところはあるか」「もっと簡潔にできるか」「論理の流れが不自然なところはないか」といった問いを投げることで、単なる誤り訂正以上の見直しができます。さらに、元の文と修正文を並べて比較することで、どこがどう改善されたのかを把握しやすくなります。
このプロセスは、英語ライティングの学習にとって非常に重要です。書いたものをただ直して終わりにするのではなく、修正の理由を理解しながら自分の文章を磨いていくことが、英作文力の向上につながります。
すぐにフィードバックがもらえる
生成AIの最大のメリットの一つは、すぐにフィードバックが得られることです。英作文では、書いた直後に見直しができると、自分がどこで迷ったのか、どんな意図でその表現を選んだのかを思い出しやすくなります。時間が経ってから添削を受けるより、学習効果が高まる場合があります。
また、疑問が生じたその場で追加質問ができるのも大きいです。なぜこの表現は不自然なのか、他にどんな言い方があるのか、より簡単な英語で言うとどうなるのか。こうしたやり取りを即座に繰り返せることは、人間の添削だけではなかなか実現しにくい利点です。
この即時性は、英作文の練習量を増やすことにもつながります。書いて、直して、また書くという流れを短い時間で回せるため、学習のテンポが上がりやすいのです。
一人でも英語ライティングを練習しやすい
英作文の学習では、本来、誰かに読んでもらうことが理想です。しかし、実際には毎回先生や上級者に見てもらえるわけではありません。そのため、多くの学習者は「書いても確認できないから続かない」という問題を抱えています。生成AIは、この孤立しやすい部分をかなり補ってくれます。
一人で学習していても、その場で反応が返ってくることで、手応えを得やすくなります。何がよくて何が不自然なのかを確認できるため、自分の英作文に対する見通しが持ちやすくなります。これは、学習を継続するうえでかなり重要です。
特に、英語ライティングに苦手意識がある人ほど、「とりあえず書いてみよう」と思える環境が必要です。生成AIは、その最初の一歩を支える存在として有効です。
生成AIでライティングするデメリットと注意点

生成AIを英作文に使うデメリット
生成AIを英作文学習に使うデメリットは、主に3つです。
- AIの英文はいつも正しいとは限らない
- 自分のレベルに合わない表現
- 自分らしい表現が身につかない
AIの英文がいつも正しいとは限らない
生成AIの英文は、全体としてかなり自然に見えることが多いです。そのため、学習者は「AIが出したのだから正しいだろう」と思いがちです。しかし、実際には、文法的には成立していてもやや不自然な言い回しだったり、場面に合わない表現が混ざっていたりすることがあります。
特に学習者にとって厄介なのは、その不自然さを見抜きにくい点です。自分より上手に見える英文ほど、疑わずに受け入れてしまいやすいからです。しかし、英作文の学習では、正しそうに見えるものを鵜呑みにしない姿勢が重要です。AIの提案は便利ですが、常に最善とは限りません。
そのため、生成AIを使うときは、「これは本当に自分の言いたいことに合っているか」「他の表現と比べてどこが違うか」を確認する必要があります。正解をもらう感覚ではなく、候補をもらって吟味する感覚が大切です。
自分のレベルに合わない表現を使ってしまうことがある
AIは、洗練された語彙や構文を含む英文を簡単に返してきます。一見すると魅力的ですが、それが自分の英語力に合っていない場合があります。たとえば、書けたとしても、次に同じことを自力で言えない表現では、英作文力が身についたとは言えません。
実際、第二言語習得理論には、i+1 という考え方があります。これは今現在の自分のレベル(=i)より少し上のレベル(+1)が学習に最も効果的であるとするものです。生成AIによる修正は簡単に+1を上回ってしまいがちです。
これは試験英作文ではさらに問題になります。AIの支援なしには再現できない表現を増やしても、本番で使えなければ意味がありません。学習の目的が、自分で書ける力を育てることにあるなら、採用する表現は「理解できる」「次にも使えそう」という基準で選ぶべきです。
つまり、生成AIを使うときは、上手な英文を集めることではなく、自分が扱える英語を少しずつ広げることを目標にする必要があります。
自分らしい表現が身につかない
英作文は、自分の考えを自分の言葉で表現する活動です。ところが、AIの提案を多く取り入れるほど、文章は整う一方で、本人らしさが薄れることがあります。特に意見文では、自分が本当に言いたいことより、AIがまとめやすい無難な内容に寄ってしまうことがあります。
また、文の言い回しだけでなく、主張の立て方や理由の出し方までAIに依存すると、「自分で考えて書いた」という感覚が弱くなります。すると、見た目にはよくできた英作文でも、実際には自分の中に残るものが少なくなります。
生成AIを使うときは、文章をきれいにすることと、自分の声を失わないことのバランスを取る必要があります。自分の考えを先に持ち、それをどう英語にするかを助けてもらう形が理想です。
これをやると英語力が伸びない注意ポイント
生成AIでライティング学習をする場合に、絶対に避けるべきポイントは次の3つです。
- 最初からすべてAIに書かせる
- 理由を考えずにAIの修正を受け入れる
- 自分で書かない(AIに書かせて自分が書く量を減るのを防ぐ)
最初から全文を書かせてしまう
最も避けたい使い方の一つは、最初からAIに全文を書かせることです。これは確かに効率的ですし、提出物を仕上げるだけなら便利かもしれません。しかし、学習という観点ではかなり危険です。なぜなら、英作文の本質である「考える」「組み立てる」「表現を選ぶ」という過程をほとんど経験しないまま終わってしまうからです。
英作文力を伸ばすには、自分で書こうとして迷う時間が必要です。どこが難しいのか、どの語が出てこないのか、何が言いたいのかが曖昧なのか。そうしたつまずきを経験して初めて、何を学ぶべきかが見えてきます。全文を丸投げしてしまうと、この大事な気づきが生まれません。
そのため、生成AIは「自分で書いたものを改善する」ために使う方が、はるかに学習効果が高くなります。
修正理由を考えずに受け入れてしまう
AIが修正した英文を見て、「なるほど、こう直るのか」で終わってしまうと、学習効果は限定的です。なぜそこが変わったのか、自分の元の文のどこに問題があったのかを考えないまま受け入れると、次に同じミスをしたときもまた同じことが起こります。
英作文では、修正そのものより、修正の理由を理解することが重要です。なぜこの時制なのか、なぜこの前置詞なのか、なぜこの語順の方が自然なのか。そこを自分なりに整理することで、初めて知識が次に使える形になります。
だからこそ、ChatGPTを使うときは、修正案だけでなく理由も必ず聞くようにしたいところです。ここを飛ばしてしまうと、AIは便利な代筆者に近づいてしまいます。
自分で書かない
生成AIを日常的に使うようになると、どうしても「自分で最初から書く」機会が減りやすくなります。少し迷っただけでAIに聞く習慣がつくと、自分の中で表現を探す粘りが弱くなることがあります。これは、短期的には効率が良くても、長期的には英作文力の伸びを妨げることがあります。
特に、試験や実際のコミュニケーションでは、その場で自分の力だけで書かなければならないことがあります。そのときに必要なのは、AIの支援がない状態でも表現を組み立てられる力です。日頃から自分で書く量が減ると、その基礎が弱くなってしまいます。
そのため、生成AIを使う場合でも、「まずは自分で書く」「短い文でも自力で出す」という習慣を維持することがとても大切です。
英作文でChatGPTを効果的に使う方法
まずは自分で下書きを書く
英作文力を伸ばしたいなら、最初にやるべきことは、自分で下書きを書くことです。完璧である必要はありません。むしろ、つたなくても、自分なりに書いた下書きには大きな価値があります。そこには、自分がどこで迷い、どの表現が足りず、どこで論理が弱くなるかが現れるからです。
この下書きを起点にしてChatGPTを使うと、学習がかなり深くなります。自分の文とAIの提案を比較することで、どこが違うのか、何が足りないのかを具体的に見られるからです。最初から完成形をもらうのではなく、自分の下書きを材料にして改善する。この順番がとても重要です。
また、下書きを見せることで、AIの支援もより具体的になります。自分の意図が反映された状態から修正が始まるため、単なる一般論ではなく、自分の英作文に合った助言を得やすくなります。
修正案だけでなく理由も聞く
ChatGPTを使うときは、「正しく直して」で終わらせない方がよいです。むしろ、「なぜここを直したのか」「他の言い方と何が違うのか」を聞くことが大切です。修正理由を理解することで、次に似た表現を書くときに応用しやすくなります。
特に、英作文では正誤だけでなく、自然さやニュアンスの違いが大切になります。文法的には成立していても、もっと自然な言い方がある場合もありますし、逆に、AIが提案した表現が少し硬すぎることもあります。理由を聞くことで、単なる修正の受け取りではなく、表現選択の感覚を学べます。
つまり、ChatGPTは「答えをくれる相手」ではなく、「考えるきっかけを返してくれる相手」として使う方が効果的なのです。
複数の表現を出して比較する
生成AIのよいところは、一つの案だけでなく、複数の表現を簡単に出せることです。この特徴は、英作文の学習にかなり向いています。なぜなら、英作文には唯一の正解がないことが多く、複数の表現の中から自分に合うものを選ぶ経験が大切だからです。
たとえば、「もっとやさしい言い方」「試験向けの無難な言い方」「少し自然な会話寄りの言い方」など、条件を変えて出してもらうと、自分が何を目指すかに合わせて選びやすくなります。この比較を通して、自分のレベルで使いやすい表現を見つけられます。
比較せずに一つの答えだけを信じると、AI依存に近づきます。しかし、複数案を見て自分で選ぶ形にすると、主体的な学習になります。ここに大きな違いがあります。
自分の英語レベルに合わせて使う
生成AIは、レベル調整をしないと、必要以上に難しい英文を返してくることがあります。これをそのまま採用してしまうと、見た目は良くても、自分の力にはなりにくいです。そのため、ChatGPTを使うときは、自分のレベルをはっきり伝えることが大切です。
たとえば、「高校英語レベルで」「英検二級向けに」「できるだけ基本語彙で」などと条件をつければ、より使いやすい支援を受けやすくなります。これは単にやさしい英文をもらうためではなく、自分が再現できる英語を学ぶためです。
英作文の上達は、難しい英文を集めることではなく、自分が使える英語を少しずつ増やすことによって起こります。その意味で、レベルに合わせてAIを使うことは非常に重要です。
生成AIと教師のフィードバックはどう違うのか

ChatGPT/Geminiだけでは足りない理由
論理や内容の深さは人間の指導が重要になる
生成AIは、文法、語彙、言い換え、構成など、多くの面で役立ちます。しかし、論理の深さや内容の説得力、学習者が本当に何を言いたいのかといった点については、人間の教師の方が強い場面が多いです。特に、書き手の意図をくみ取りながら、どの方向に伸ばすべきかを判断することは、人間の指導の大きな価値です。
AIは一般的にもっともらしい提案を返すことはできますが、「この学習者には今どの支援が一番重要か」を見極めるのは得意ではありません。そのため、内容面や発達段階を踏まえた助言という意味では、教師の役割は依然として大きいです。
英作文の学習は、正しい英文を作るだけではありません。何をどう伝えるかを考える活動でもあります。この部分では、人間の指導の重要性は今後も変わらないでしょう。
学習者に合った助言は教師の方が得意である
教師は、学習者のレベル、性格、目標、過去のつまずきなどを踏まえて助言できます。同じミスでも、ある人には厳しく直すべきで、別の人には今は流してよいことがあります。こうした優先順位づけは、学習者の成長を考えるうえで非常に重要です。
一方、AIはどうしても一般的な改善案を多く返しがちです。情報量は多いのですが、それが今の学習者にとって多すぎたり、焦点がぼけたりすることがあります。つまり、AIは量に強く、教師は焦点化に強いと言えます。
この違いを理解すると、生成AIと教師の役割分担が見えやすくなります。
生成AIと教師を組み合わせるメリット
AIは即時性に強い
AIの強みは、やはり即時性です。書いた直後に確認できること、何度でもやり取りできること、夜でもすぐ使えることは、自主学習にとって非常に大きな利点です。特に、初期の下書きや気軽な見直しの段階では、AIのスピードは大きな価値があります。
この即時性によって、学習者は試行錯誤の回数を増やしやすくなります。何度も書いて、何度も直すという練習は、英語ライティングではとても重要です。AIは、この反復を支える存在として非常に有効です。
ただし、即時性があるからこそ、深く考えずに受け入れてしまう危険もあります。そこを補うのが人間の教師です。
教師は内容理解と判断支援に強い
教師は、AIの提案をそのまま信じるのではなく、どれを採用し、どれを採用しないかを一緒に考えることができます。これは、生成AI時代の指導で非常に重要な役割です。単に添削するだけでなく、AIの使い方そのものを教えることが求められます。
また、教師は、書き手の意図や文脈を踏まえたうえで、内容面の助言もできます。たとえば、「この理由だと説得力が弱い」「ここはもっと具体例が必要」「あなたの本当に言いたいことは別のところにあるのではないか」といった支援は、人間ならではです。
そのため、理想的なのは、AIで反復と即時フィードバックを確保しつつ、教師が方向づけと判断の支援を行う形です。これが、今後の英作文指導で有力な形になると考えられます。
どんな人にChatGPT英作文は向いているのか
ChatGPTが向いている英語学習者
一人で英作文を練習したい人
英作文は、本来フィードバックがあると伸びやすい学習ですが、現実には一人で取り組まなければならない人も多いです。そうした学習者にとって、ChatGPTは非常に相性が良いです。書いたものにすぐ反応が返ってくるので、孤独になりにくく、改善の方向も見えやすいからです。
特に、毎回人に見せるのは気が引ける、まずは自分だけで試したいという人には向いています。小さな英作文を繰り返す練習がしやすいため、日常学習に取り入れやすいです。
継続的に書く習慣を作りたい人にとっては、かなり良い支援相手になります。
英語ライティングのアイデア出しが苦手な人
英語以前に、何を書けばよいか思いつかないタイプの人にも、生成AIは向いています。アイデア出し、視点の整理、理由の候補出しなど、書く前の段階を支援できるからです。内容面での停滞が減ると、英作文への心理的負担も軽くなります。
また、複数の観点を提示してもらうことで、自分一人では出てこなかった発想に出会えることもあります。これによって、内容の薄い英作文から抜け出しやすくなります。
書き始めで止まりやすい人ほど、ChatGPTの恩恵を受けやすいです。
ChatGPTの使い方に注意が必要な人
AIの提案をそのまま信じやすい人
生成AIを使ううえで特に注意が必要なのは、提案されたものをそのまま正解だと思いやすい人です。AIの英文は整って見えるため、疑う意識がないと、そのまま取り入れてしまいがちです。しかし、それでは主体的な学習になりません。
こうしたタイプの人は、必ず複数案を比較したり、理由を聞いたりする使い方を意識した方がよいです。一つの答えに飛びつかず、「本当にこれでよいのか」を考える習慣を持つ必要があります。
自分で書く前に答えを求めてしまう人
少しでも迷うとすぐ答えを見たくなる人も、注意が必要です。英作文力は、迷いながら書くことで育つ部分が大きいからです。最初から答えを見てしまうと、自分の弱点や考えの癖が見えにくくなります。
このタイプの人は、まずは自力で短く書くルールを作るとよいでしょう。完璧でなくてもよいので、最初の下書きまでは自分でやる。そのうえでAIを使う形にすれば、学習効果がかなり変わります。
試験対策で再現可能な英作文力をつけたい人
試験英作文では、本番で自力で書けることが重要です。そのため、AIが作った高度な英文に頼りすぎると危険です。見た目の良い表現を覚えたつもりでも、自分のものになっていなければ本番で使えません。
試験対策としてChatGPTを使うなら、模範文をもらうだけでなく、自分の英語で再現できるレベルに落として学ぶ必要があります。そこを意識しないと、学習が「読むだけ」「直されるだけ」で終わってしまいます。
ChatGPTで英作文が上達する人の共通点
AIを参考にしながら自分で考えている
ここまで見てきたように、ChatGPTや生成AIは、英作文や英語ライティングの学習に大きな可能性を持っています。アイデア出し、構成づくり、言い換え、推敲、振り返りなど、多くの場面で役立つからです。そのため、うまく使えば、英作文の上達を支える強力なパートナーになります。
ただし、実際に伸びる人には共通点があります。それは、AIを参考にしながらも、自分で考えることをやめていない点です。提案をそのまま受け入れるのではなく、自分の意図に合うか、自分のレベルで使えるか、次にも使えそうかを考えながら使っています。この姿勢が、英語ライティングの上達を左右します。
つまり、生成AIは便利な道具ですが、学習の主体はあくまで人間です。そこを見失わないことがとても大切です。
提案を選んで使い分けている
上達する人は、AIの提案を全部採用しません。むしろ、自分に必要なものだけを選び、いらないものは捨てています。これは、生成AI時代の英作文でとても重要な力です。英作文の上達とは、より多くの表現を集めることではなく、今の自分に合う表現を選べるようになることだからです。
提案を選び、比較し、必要に応じて無視する。この過程にこそ学習価値があります。AIに任せるのではなく、AIを材料として使う。この姿勢がある人ほど、ChatGPTを使って英作文力を伸ばしやすくなります。
英語ライティングで生成AIを使うときに大切なこと
AIに書かせるのではなくAIを使って学ぶ
この記事の結論はシンプルです。ChatGPTで英作文は上達する可能性があります。しかし、それはAIに書かせたときではなく、AIを使って学んだときに限られます。生成AIは、答えを出すための機械として使うより、自分の英作文を見直し、考えを深め、表現を選び直すための相手として使う方が、はるかに有効です。
英語ライティングの力を伸ばすには、自分で書くこと、自分で迷うこと、自分で選び直すことが必要です。生成AIはその過程を助けることはできますが、代わりにやってしまうと、学習は浅くなります。
そのため、最も大切なのは順番です。まず自分で書く。そのうえでAIを使って比較し、理由を確認し、必要なものだけを取り入れる。この使い方が、英作文力を伸ばす王道です。
英作文の上達は使い方で決まる
ChatGPTや生成AIは、これからますます英語学習の中に入ってくるでしょう。だからこそ重要なのは、「使うか使わないか」ではなく、「どう使うか」です。英作文の上達につながる使い方は、便利さに流されず、常に自分で判断することを手放さない使い方です。
ChatGPTで英作文は上達するのか。この問いに対する現実的な答えは、「上達する。ただし、正しく使えた場合に限る」です。生成AIをうまく使えば、英語ライティング学習は大きく変わります。しかし、その変化を本当の成長につなげられるかどうかは、学習者自身の使い方にかかっています。
英作文の力を本当に伸ばしたいなら、AIを近道として使うのではなく、自分の思考を鍛えるためのパートナーとして使うことが大切です。そこに、生成AI時代の英作文学習の核心があります。
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ASAKOROKO
長年にわたり英語教育と試験対策に携わり、英検対策授業やAIを活用したスピーキング練習支援の研究を行っています。学習者一人ひとりが自宅でも効率よく学習を進められるよう、実践的かつ科学的な学習法の紹介を心がけています。