英検1級、英国修士(TESOL/英語教授法)、英語教師のASAKOROKOです。
英語で意外と難しいのが Say や Tell, Ask といった動詞の使い方です。相手の言ったことをそのまま伝える直接話法と違い、間接話法では人称や時制についても指導する必要があります。
日本のテキストでは詳しく扱われることは少ないですが、コミュニケーションには欠かせません。
本記事では、間接話法(Reported Speech)の指導方法をわかりやすく解説していきます。
間接話法の基本
他人の発話を伝達する方法には、直接話法と間接話法の2つがあります。直接話法が他人の発話をそのまま引用するのに対して、間接話法では言葉を変えて内容を伝えます。
余談ですが、生徒は英語でも鉤括弧「」が使えると思っているケースが多いです。直接話法では、ダブルクオテーションを使うよう指導しておきましょう。
直接話法から間接話法へ書き換えのコツ
間接話法の指導では、直接話法からの書き換えを行うのが一般的です。ポイントは次の2点です。
- 人称を変える
- 時制を変える
人称を変える
間接話法における人称は、話者から見て誰なのかを基準に変更します。
次の例文では、1つ目の例では元の文の I が she に、my が her に変化しています。2つ目の例では、I が she に、your が my に変化しています。
- (元の発話)Emma: I like my family. 私は私の家族が好きです。
- (間接話法)Emma said (that) she liked her family. エマは彼女は彼女の家族が好きだと言っていました。
- (元の発話)Charlotte: I like your hat. 私はあなたの帽子が好きです。
- (間接話法)Charlotte said she liked my hat. シャーロットは彼女は私の帽子が好きだと言っていました。
自分から見た時の表現に直すよう伝えるとわかりやすいです。
時制を変える
間接話法では、元の発話が現在形の場合は過去形を使います。
次の例文では、is が was に変化しています。
- (元の発話)Olivia: This cake is so delicious. このケーキはとても美味しいね。
- (間接話法)Olivia said (that) that cake was so delicious. オリビアはそのケーキがとても美味しかったと言った。
元の発話が過去形の場合は、過去完了形(had + 過去分詞)になります。
1つ目の例文では、went が had gone に変化しています。2つ目の例文では、was が had been に変化しています。
- (元の発話)Tom: I went to N.Y. ニューヨークに行きました。
- (間接話法)Tom said (that) he had gone to N.Y. トムはニューヨークに行ったと言っていました。
- (元の発話)Barbara: I was 20 then. その時わたしは二十歳でした。
- (間接話法)Barbara said (that) she had been 20 then. バーバラはその時彼女が二十歳だったと言っていました。
助動詞の時制
助動詞は、could, might, would, should, ought, had better を除いて変化します。
元の発話が現在形の場合、次のようになります。
- Can → could
- Will → would
- BE going to → was/were going to
- Must / have to → had to
- Not have to → did not have to
- Must not → must not
- (元の発話)I am going to play soccer tomorrow. 明日はサッカーする予定です。
- (間接話法)She said she was going to play soccer tomorrow. 彼女は明日はサッカーをする予定だと言っていた。
元の発話が過去形の場合、次のように変化します。
- Was/were going to → had been going to
- Had to → had had to
- Did not have to → had not had to
- Must not → must not
- (元の発話)I had to go. もう行かなくてはなりませんでした。
- (間接話法)He said he had had to go. 彼はもう行かなくてはならなかったと言っていた。
元の文に過去完了がある場合
元の発話に過去完了など、それ以上に時制を後ろに下げられない場合は、そのまま残します。
- (元の発話)I had opened the gate before Fred arrived. フレッドが到着する前に、彼は扉を開けておいた。
- (間接話法)He said he had opened the gate before Fred had arrived フレッドが到着する前に、彼は扉を開けておいたと言っていた。
Should have (~すべきだった)といった表現も同様です。
- (元の発話)I should have answered your question. あなたの質問に答えておくべきだった。
- (間接話法)He said that he should have answered my question. あなたの質問に答えておくべきだったと彼は言っていた。
Say 以外の動詞
間接話法では、 say 以外にも tell がよく用いられます。
Tellは、say と異なり、誰に向けて伝えたのかを目的語として明示する必要があります(次の例文では me が目的語 です)
そのため、語順としては、S told <人> (that) S V の形になります。
- Mike told me (that) he liked curry. マイクはカレーが好きだと私に伝えました。
疑問文や命令文の間接話法
疑問文の間接話法
疑問文の間接話法では、ask を使います。
YES/NO 疑問文の間接話法
元の文が YES/NOで答えられる疑問文の場合は S asked (<人>) if/whether S V となります。
- (元の発話)Do you have a pen? ペンありますか?
- (間接話法)He asked me if I had a pen. 彼は私がペンを持っているかどうか尋ねた。
- (元の発話)Is she here? 彼女はここにいますか?
- (間接話法)He asked if she was there. 彼は彼女がそこにいたか尋ねた。
WH疑問文の間接話法
元の文が WH疑問文の場合は、S asked (<人>) 疑問詞 S V となります。
- (元の発話)Luna: Where is my dad? 私のお父さんはどこ?
- (間接話法)Luna asked where her dad was. ルナは彼女のお父さんがどこか尋ねた
- (元の発話)What time will we meet? 何時に会うの?
- (間接話法)She asked what time we would meet. 彼女は何時に会うのかと尋ねた
命令文の間接話法
命令文の間接話法では、tell を使います。
語順は S told <人> (not) to 動詞の原形 となります。
- (元の発話)Sophia: Open the window. 窓開けて
- (間接話法)Sophia told me to open the window. 窓を開けてとソフィアは私に伝えた
- (元の発話)Amelia: Don’t open the window. 窓開けないで
- (間接話法)Amelia told me not to open the window. 窓を開けないでとアメリアは私に伝えた
依頼文の間接話法
Can you~? や Could you~? のような丁寧な依頼表現は、S asked <人> (not) to 動詞の原形 の語順となります。
- (元の発話)Sophia: Could you open the window? 窓開けてもらえますか?
- (間接話法)Sophia asked me to open the window. ソフィアは私に窓を開けてもらえるか尋ねた。
(元の発話)Mike: I like curry.
私はカレーが好きです。
マイクは「私はカレーが好きです」と言いました。
マイクはカレーが好きだと言っていました。