間接話法の教え方をわかりやすく解説(Reported Speech, Say, Tell, Ask の使い方)

英検1級、英国修士(TESOL/英語教授法)、英語教師のASAKOROKOです。

英語で意外と難しいのが Say や Tell, Ask といった動詞の使い方です。相手の言ったことをそのまま伝える直接話法と違い、間接話法では人称や時制についても指導する必要があります。

日本のテキストでは詳しく扱われることは少ないですが、コミュニケーションには欠かせません

本記事では、間接話法(Reported Speech)の指導方法をわかりやすく解説していきます。

間接話法の基本

他人の発話を伝達する方法には、直接話法と間接話法の2つがあります。直接話法が他人の発話をそのまま引用するのに対して、間接話法では言葉を変えて内容を伝えます。

例文

(元の発話)Mike: I like curry.
私はカレーが好きです。

  • (直接話法)Mike said, “I like curry.”
    マイクは「私はカレーが好きです」と言いました。
  • (間接話法)Mike said (that) he liked curry.
    マイクはカレーが好きだと言っていました。

余談ですが、生徒は英語でも鉤括弧「」が使えると思っているケースが多いです。直接話法では、ダブルクオテーションを使うよう指導しておきましょう。

直接話法から間接話法へ書き換えのコツ

間接話法の指導では、直接話法からの書き換えを行うのが一般的です。ポイントは次の2点です。

  1. 人称を変える
  2. 時制を変える

人称を変える

間接話法における人称は、話者から見て誰なのかを基準に変更します。

次の例文では、1つ目の例では元の文の I が she に、my が her に変化しています。2つ目の例では、I が she に、your が my に変化しています。

例文
  • (元の発話)Emma: I like my family. 私は私の家族が好きです。
  • (間接話法)Emma said (that) she liked her family. エマは彼女は彼女の家族が好きだと言っていました。

  • (元の発話)Charlotte: I like your hat. 私はあなたの帽子が好きです。
  • (間接話法)Charlotte said she liked my hat. シャーロットは彼女は私の帽子が好きだと言っていました。

自分から見た時の表現に直すよう伝えるとわかりやすいです。

時制を変える

間接話法では、元の発話が現在形の場合は過去形を使います。

次の例文では、is が was に変化しています。

例文
  • (元の発話)Olivia: This cake is so delicious. このケーキはとても美味しいね。
  • (間接話法)Olivia said (that) that cake was so delicious. オリビアはそのケーキがとても美味しかったと言った。

元の発話が過去形の場合は、過去完了形(had + 過去分詞)になります。

1つ目の例文では、went が had gone に変化しています。2つ目の例文では、was が had been に変化しています。

例文
  • (元の発話)Tom: I went to N.Y. ニューヨークに行きました。
  • (間接話法)Tom said (that) he had gone to N.Y. トムはニューヨークに行ったと言っていました。

  • (元の発話)Barbara: I was 20 then. その時わたしは二十歳でした。
  • (間接話法)Barbara said (that) she had been 20 then. バーバラはその時彼女が二十歳だったと言っていました。

助動詞の時制

助動詞は、could, might, would, should, ought, had better を除いて変化します。

元の発話が現在形の場合、次のようになります。

現在形→過去形
  • Can → could
  • Will → would
  • BE going to → was/were going to
  • Must / have to → had to 
  • Not have to → did not have to
  • Must not → must not
例文
  • (元の発話)I am going to play soccer tomorrow. 明日はサッカーする予定です。
  • (間接話法)She said she was going to play soccer tomorrow. 彼女は明日はサッカーをする予定だと言っていた。

元の発話が過去形の場合、次のように変化します。

過去形→過去完了形
  • Was/were going to → had been going to
  • Had to → had had to
  • Did not have to → had not had to
  • Must not → must not
例文
  • (元の発話)I had to go. もう行かなくてはなりませんでした。
  • (間接話法)He said he had had to go. 彼はもう行かなくてはならなかったと言っていた。

元の文に過去完了がある場合

元の発話に過去完了など、それ以上に時制を後ろに下げられない場合は、そのまま残します。

例文
  • (元の発話)I had opened the gate before Fred arrived. フレッドが到着する前に、彼は扉を開けておいた。
  • (間接話法)He said he had opened the gate before Fred had arrived フレッドが到着する前に、彼は扉を開けておいたと言っていた。

Should have (~すべきだった)といった表現も同様です。

例文
  • (元の発話)I should have answered your question.  あなたの質問に答えておくべきだった。
  • (間接話法)He said that he should have answered my question. あなたの質問に答えておくべきだったと彼は言っていた。

Say 以外の動詞

間接話法では、 say 以外にも tell がよく用いられます。

Tellは、say と異なり、誰に向けて伝えたのかを目的語として明示する必要があります(次の例文では me が目的語 です)

そのため、語順としては、S told <人> (that) S V の形になります。

例文
  • Mike told me (that) he liked curry. マイクはカレーが好きだと私に伝えました。

疑問文や命令文の間接話法

疑問文の間接話法

疑問文の間接話法では、ask を使います。

YES/NO 疑問文の間接話法

元の文が YES/NOで答えられる疑問文の場合は S asked (<人>) if/whether S V となります。

例文
  • (元の発話)Do you have a pen? ペンありますか?
  • (間接話法)He asked me if I had a pen. 彼は私がペンを持っているかどうか尋ねた。

  • (元の発話)Is she here? 彼女はここにいますか?
  • (間接話法)He asked if she was there. 彼は彼女がそこにいたか尋ねた。

WH疑問文の間接話法

元の文が WH疑問文の場合は、S asked (<人>) 疑問詞 S V となります。

例文
  • (元の発話)Luna: Where is my dad? 私のお父さんはどこ?
  • (間接話法)Luna asked where her dad was. ルナは彼女のお父さんがどこか尋ねた

  • (元の発話)What time will we meet? 何時に会うの?
  • (間接話法)She asked what time we would meet. 彼女は何時に会うのかと尋ねた

命令文の間接話法

命令文の間接話法では、tell を使います。

語順は S told <人> (not) to 動詞の原形 となります。

例文
  • (元の発話)Sophia: Open the window. 窓開けて
  • (間接話法)Sophia told me to open the window. 窓を開けてとソフィアは私に伝えた

  • (元の発話)Amelia: Don’t open the window. 窓開けないで
  • (間接話法)Amelia told me not to open the window. 窓を開けないでとアメリアは私に伝えた

依頼文の間接話法

Can you~? や Could you~? のような丁寧な依頼表現は、S asked <人> (not) to 動詞の原形 の語順となります。

例文
  • (元の発話)Sophia: Could you open the window? 窓開けてもらえますか?
  • (間接話法)Sophia asked me to open the window. ソフィアは私に窓を開けてもらえるか尋ねた。