【英語授業】生成AIを活用したライティング指導法 ~無料のChat GPT, Gemini, Copilotでできる実践例~

生成AIの登場以降、英語のライティング指導は大きく変わりました。これまでのライティング授業では、生徒が英作文を書き、教師が添削して返却するという流れが一般的でした。しかし、ChatGPTやGemini、Microsoft Copilotなどの生成AIの普及により、「書いて終わり」の授業から、「AIを活用しながら推敲を繰り返える授業」へと変化しつつあります。

近年の研究でも、生成AIは単に英文を作成するツールではなく、生徒が自分の英文を見直し、改善するための学習パートナーとして活用することで、高い教育効果が期待できることが報告されています。

一方で、「どの生成AIを使えばよいのか」「無料版でも十分なのか」「授業ではどのように取り入れればよいのか」と悩んでいる先生も多いのではないでしょうか。

本記事では、中学校・高校の英語教師を対象に、無料で利用できるChatGPT、Gemini、Microsoft Copilotを使ったライティング指導法を紹介します。特別なアプリやAPI連携は必要ありません。普段利用している生成AIだけで、すぐに授業へ取り入れられる実践例を、研究知見を交えながら解説します。

ライティングに関わらず、授業のコツ全般や効果的な指導方法については、Udemy の講座で詳しく解説しています。生成AIを用いて授業づくりや考査作成にかける時間を短縮する方法も紹介していますので、非常にオススメできる内容になっています。

生成AIを取り入れたライティング指導の3ステップ

生成AIを取り入れたライティング指導で主流となっているのが、以下の3ステップです。特別な知識がなくても、無料で誰も実践しやすい手軽さがあります。研究大会などの発表でもよく見る形式です。

指導の3ステップ
  1. 教師がライティング課題を提示し、生徒がまず自力で英文を書く
  2. 教師が用意したプロンプトを使って、AIに添削させる
  3. AIからのフィードバックを参考に生徒自身が推敲し、最終版を教師へ提出する

重要なのは、生成AIに英文を書かせることではなく、生徒自身が書いた英文をより良くするための「推敲ツール」として活用することです。

プロンプトを書くコツ

AIを使う上で欠かせないのがプロンプトの設計ですよね。プロンプトには、最低でも以下の3項目は含めることをおすすめします。

  1. 学習者のレベル(CEFR)
    生成AIはざっくりとですがCEFRを理解しますので、A1 や A2 といったようにレベルを指定しましょう。そうでないと生徒にとって難しすぎる単語や文法のオンパレードになります。
  2. 添削の観点と数(文法・語彙, 内容)
    生成AIは指示がないと何から何まで直そうとします。訂正が膨大になると生徒もどうしていいかわからなくなるので、的を絞ってあげましょう。
  3. 説明言語
    生成AIは指示がないと、英語でフィードバックを書いてしまうことも多々あります。

このほかにも、AIの役割、出力形式、修正理由 などを入れると、AIの出力が安定する印象です。

プロンプトの例

あなたは中学校・高校の英語教師です。

以下の英作文を、英語学習者向けに添削してください。

【生徒のレベル】
中学3年生〜高校1年生
CEFR A1〜A2程度

【してほしいこと】

  1. 文法の誤りを指摘してください。
  2. より自然な表現があれば提案してください。
  3. 内容や構成で改善できる点を1つだけ教えてください。
  4. 良い点を1つ書いてください。
  5. 修正版を示してください。

【注意点】
・英文全体を大きく書き換えないでください。
・難しい単語や表現を使いすぎないでください。
・説明は日本語で書いてください。
・修正理由を簡単に説明してください。
・最終的にどの修正を使うかは、生徒が判断できるようにしてください。

【出力形式】
表で示してください。

元の英文問題点修正案理由

【英作文】
ここに英作文を貼り付ける

提出方法のコツ

生成AIを添削に使うと悩ましいのは、どこまでが生徒によるライティングで、どこからがAIによる添削なのかがわかりづらくなることです。

そこで、Googleフォームで以下の3つを提出させている例が多くあります。

  1. 自力で書いた元の英文
  2. AIの添削内容(全てコピペ)
  3. 推敲後の原稿

これなら生徒が単にAIのコピペをしてきた時に、すぐにわかります。

実際、AIの回答を何も考えずに書き写すだけでは英語力は高まりませんので、生徒に自分で考えさせるようにしたいところです。

ライティングの評価方法

生成AIを取り入れた場合、評価をどうするのか悩むところですよね。私自身は、以下の2段階での評価をおすすめしています。

  1. 提出のみチェック
    AIに添削させた時は、提出したかどうかのみをチェックしています。
  2. 試験で出題
    タブレットやAIが使えない環境で、筆記試験を行い成績に反映させます。

このようにすることで、生徒自身も「自分で書けるようにならないと意味がない」と感じるようになります。

試験での出題方法

試験での出題内容は、生徒のレベルに応じて、以下のようにしています。

  1. 課題と全く同じ内容
    生徒集団の習熟度が高くない場合、課題の答案を丸暗記してもある程度は点数になるように配慮しています。
  2. 事前に課題を5つ提示して、1つを出題
    授業で課題を5つくらい取り組み、そのうちの1つを出題させるといった方式です。意欲のある生徒は5つすべてに事前に取り組むようになります。
  3. 事前提示の課題1つと新出課題1つ
    事前に提示された課題と新たな課題を混ぜることで、事前の対策でもある程度の点数は取れても、根本的に普段から取り組み英語力を高めないと高得点は狙えない構成です。

採点のルーブリック

大雑把ですが、個人的には評価の観点として以下の4つを設定しています。

  1. 文字数(文字数に満たない場合、5語ごとに-1点など)
    文字数は設定がないと、生徒は間違いを減らそうと書く量を減らす傾向があります(もちろん、書きたいだけ書く生徒もいますが)。たくさん書けば間違いが増えるのは当然です。たくさん書いた生徒が損をしないように、規定に達しない生徒は容赦なく減点します。
  2. 内容と構成(指定の内容が書かれていない場合に減点)
    課題内容に従っていない場合も減点です。例えば、意見文では主張がない、理由がない、パラグラフが構成されていない、などです。判別不能な文がある場合もここで減点しています。
  3. 文法・語彙(既習事項の間違いで-1点など)
    既に指導した内容については減点しています。ただし、同じ文法や単語のスペルミスは、1つの間違いとして扱っています。例えば、現在進行形でやたらとbe動詞が抜けてしまっている場合などです。その都度減点していると0点になってしまうので。
  4. 表現のレパートリー(同じ表現ばかり使っている場合に減点)
    基本的に減点していませんが、生徒の英語力との兼ね合いもありますが、やたらと I like… I like … のように同じ表現ばかりが不自然に続く場合は減点しています。そうしないと間違いを減らそうと同じ表現ばかり使う生徒が増えます。

採点者間の目線合わせ

一人の先生が採点する場合には問題になりづらいですが、複数人で採点する場合には基準を統一する必要が出てきます。

  1. 一人の先生が全ての採点を担当する。
    設問ごとに担当者を決め、同じ先生が全ての答案を採点することで採点者間のブレをなくします。生徒数が比較的少ない場合におすすめです。
  2. 答案の約10%程度を複数人で採点し、採点者間のブレを修正する
    やや手間はかかりますが、試験後に複数人で同一の答案を採点し、ルーブリックの表現などを見直します。

ライティングやスピーキングといったルーブリックを用いた採点では、ブレを0まで無くすことは不可能です。どの程度のブレまでなら許容するのかを決めておくことも重要です。例えば、+ー2点までは許容範囲とするといったことが考えられます。成績に大きく関わらない範囲に収めることが重要です。

ルーブリックの作り方は、別記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。