高校英語教員からの転職 30代以降の選択肢5つ

30代を迎え、英語教員としてのキャリアをどうするか迷ったことはありませんか?

ライフイベントをきっかけに働き方に疑問を感じたり、「このままでいいのだろうか…」とキャリアに不安を感じることが増えてきます。

第二新卒として行う20代の転職と30代以降の転職は全く異なります。特に、30代に入ると、転職活動ではスキルや経験の差が大きく影響するのも事実です。

この記事では、実際の転職経験をもとに、英語教員からのキャリアチェンジの選択肢を紹介していきます。

30代以降の先生にも、20代の先生で今すぐ転職するか迷っている方にも参考になるはずです。

高校英語教員からの転職 ~30代以降の選択肢~

30代以降の英語教員の転職では、職種と業種を変える完全未経験転職は極めて困難です。

実際に転職活動を行なってみましたが、異業種や異職種への転職は、スキルのマッチングや経験不足を理由にハードルが高くなります。

スキルや経験がないのであれば、人件費を抑えられる新卒や第二新卒など20代の採用が優先されるからです。

そのため、転職先を選ぶ際には「今までの経験が活かせる教育業界」に絞ることが賢明です。

以下は、実際に30代の英語教師が転職活動を行い、書類審査を通過した転職先です。

書類審査を通過した転職先
  1. 私立学校の教員
  2. 塾講師
  3. 社会人向け英語講師
  4. 教材制作
  5. 大学教員

1. 私立学校の教員

私立学校で働くメリットは、働き方や勤務地を選べることです。進学指導がしたいなら進学校へ、部活動を避けるなら通信制を選ぶなど選択の幅が大きいです。基本的に転勤もないのでライフプランが立てやすくなります。

業務内容と給与水準は、概ね以下のようになっています。

  • ハイレベルな教科指導を行う進学校は、部活動が少なく給与水準が高い(30代前半でも600万円を超える)
  • 部活動がない通信制の学校では、ワークライフバランスが実現しやすい。給与水準は30代前半で400万円程度。
  • 教科指導のみを行う場合の給与水準は30代前半で300万円程度。

▼公立高校教諭と私立高校教諭のモデルケース比較▼

公立高校教諭私立高校教諭
業務の内容教科指導
学年業務
分掌業務
部活動
教科指導
(学年業務)
(分掌業務)
(部活動)
給与年収 550 万円年収 300 ~ 650 万円
勤務日月〜土
(日曜のみ休み)
月〜土
(日曜・平日1日が休み)
勤務時間7:30 ~ 19:308:30 ~ 18:30
転勤ありなし

2. 塾講師

部活動や生徒指導を避け、受験指導に専念したい先生には塾講師もオススメです。ポジションによっては、講師の育成にも携わる機会があり、民間企業の転職では評価されるマネジメント経験を積むこともできます。勤務時間が午後〜夜間になるのがネックかもしれません。

▼高校教諭と塾講師のモデルケース比較▼

高校教員塾講師
業務の内容教科指導
学年業務
分掌業務
部活動
受験指導
講師育成
給与年収 550 万円年収 400 ~ 600 万円
勤務日月〜土
(日曜のみ休み)
完全週休2日制
勤務時間7:30 ~ 19:3012:00~21:00
残業 20時間/月
転勤ありなし

3. 社会人向け英語講師

社会人向けの英語講師は、いわゆる英会話学校の講師もありますが、企業内で英語の社内研修を行うポジションの募集もあります。メリットは、ワークライフバランスの実現です。また、私立高校で授業のみを受け持つより待遇面で優れていることが多いです。求人数が少ないのが難点です。

▼高校教諭と英語研修講師のモデルケース比較▼

高校教員英語研修講師
業務の内容教科指導
学年業務
分掌業務
部活動
英語指導
給与年収 550 万円年収 500 万円
勤務日月〜土
(日曜のみ休み)
完全週休2日制
勤務時間7:30 ~ 19:308:00 – 16:45
転勤ありなし

4. 教材制作

教材制作のメリットは、リモートワークができる点です。また、求人によってはフレックスタイム制に対応していることもあり、働きやすい環境が整っています。

教材制作ではディレクション業務マネジメント経験を積むこともでき、今後のキャリア形成にも活かせます。

教員からの転職の場合、教材制作は未経験になります。経験者がいた場合は選考で不利になります。求人数が比較的多いので、いくつかエントリーするのがおすすめです。

▼高校教諭と教材制作のモデルケース比較▼

高校教員教材制作
業務の内容教科指導
学年業務
分掌業務
部活動
教材制作の
ディレクション
給与年収 550 万円年収 450 万円
勤務日月〜土
(日曜のみ休み)
完全週休2日制
勤務時間7:30 ~ 19:309:30 ~ 18:00
リモートワーク不可週2
転勤ありなし

5. 大学教員

修士号さえあれば、大学教員への応募も可能になります。教員に比べ研究費が支給され、研究を通してキャリアアップを図るチャンスがあります。

書類審査を突破するコツは、研究重視のポジションではなく、教育重視のポジションを狙うことです。また、高校教諭の経歴が生かしやすい専門学校の教員もおすすめです。

▼高校教諭と大学教員のモデルケース比較▼

高校教員大学教員
業務の内容教科指導
学年業務
分掌業務
部活動
授業
学生指導
学内業務
研究業務
給与年収 550 万円年収 500 万円
勤務日月〜土
(日曜のみ休み)
月〜金
完全週休2日制
勤務時間7:30 ~ 19:309:00~ 17:00
研究・学会参加費なしあり
転勤ありなし

高校教員から大学教員へのキャリアチェンジは、別記事で詳しく解説しています。

書類落ちした求人

参考までに、書類落ちした求人も紹介いたします。英語教師なら必ず落ちるというものではなく、ひとえに私の力不足感が否めません。

  • 教材企画・ディレクション担当(書類審査を通過した求人とは別会社です。応募者に経験者がいるため)
  • 大学職員(留学支援担当)
  • 貿易事務(海外製造メーカーへの発注業務)
  • 研修運営企画担当(企業向け研修)
  • リサーチャー(教育政策分野)

その他、山ほど。教育業界以外は書類審査に通らなかったです。

実際に30代で転職活動を行なった感想

20代の頃と比べて、教育業界かそれ以外かで書類通過率が格段に変わるようになりました。教育業界でも教員・講師職の場合はかなりの確率で通過するのに対して、それ以外の職種では50%程度です。

「2〜3年以内に業務を行えるようになるか」というポテンシャルではなく、「今すぐ業務ができるか」という即戦力を求められているのを肌で感じました。

未経験業務が増えるにつれて給与が下がる傾向も顕著です。本給や賞与だけでなく、退職金についても大幅な減額となる可能性があります。

20代の頃に比べて書類すら通過しない求人が増えたのは率直にショックですし、待遇面でのデメリットが目立つようになった一方で、大学教員といった専門性の高いポジションの審査に通るようになりました。

実際に転職するかはさておき、転職市場における自分の立ち位置と今後の方向性を掴めたことは大きな収穫となりました。

教員からの転職におすすめのサイト

30代以降の英語教員からの転職には、専門の転職サイトがおすすめです。前例が多く、一般的な求人サイトより書類選考が圧倒的に通りやすいです。

  • 英語教員採用
    英語科の専門特化型で、通勤時間や残業、部活動、収入といった待遇だけでなく、どんな授業がしたいかまで希望を聞いてくれます。
  • Education Career
    教育業界専門の転職エージェントです。教員以外への就職を希望する方向けです。

▼転職サイト利用の流れ▼

STEP

転職サイトへの登録

STEP

電話 or Web 面談

希望条件の聞き取り

STEP

求人紹介

興味のある求人があればエントリー(書類審査)を申し込みます。

STEP

面接

書類審査が通過した場合は面接へと進みます。

STEP

合否通知

書類審査通過後に辞退したい時はどうする?
書類審査通過後に面接を辞退したい時は、他の選考との兼ね合いで辞退したいと伝えれば角が立ちません。

年収ダウンへの対処法

教員は給与水準が高いため、転職直後は年収ダウンとなるケースも多いです。生活が成り立たない場合は支出を見直したり、副業を許可している企業を探すことになります。エージェントからの紹介の時点で副業の可否が明記されていることが多いです。

心理的に受け入れられない場合は、転職後のメリットに目を向けたり、年収ダウンの理由を明確にするのがおすすめです。教員は長時間労働になりがちで、残業手当も支給されないため、時給換算では転職後の給与の方が高いこともあります。

教員からの転職を学べる本

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