【小中高】スモールトーク(Small talk)の授業例・外国語活動を解説

小学校・中学校で急速に広がりを見せている活動に スモールトーク (small talk) があります。高校でも活用されはじめています。

意欲的に取り組む児童生徒も多いので、英語教師としては積極的に授業に取り入れていきたいところです。

この記事では、スモールトークとはなにか、メリットや授業例、指導手順、適切なネタ(話題)について実践的に解説していきます。

中学校・高校の先生には Udemy講座もオススメです。

授業づくりの基本とChat GPTを活用して、授業や考査を楽々準備する方法を解説しています。

スモールトーク (small talk) とは

スモールトークとは、文部科学省の研修ガイドブックでは「教師の話を聞いたり、ペアで自分の考えや気持ちを伝え合ったりすること」と説明されています。

好きな食べ物やスポーツ、行事や長期休暇の予定や思い出など、児童生徒が興味関心のある身近な話題について、自分自身の考えや気持ちを伝え合います。

非常にメリットの多い活動なので、小学校だけでなく、中学校・高校でも取り入れられるようになっています。

スモールトークのメリット

スモールトークのメリットは次の4つです。

  1. 外国語(英語)の授業が楽しくなる
  2. 英語で話す雰囲気づくりになる
  3. 既習表現の定着が図れる
  4. 学級づくりにもプラス

①外国語(英語)の授業が楽しくなる

スモールトークは、自分自身のことを英語で伝える活動です。自分の言いたいことが英語で伝わったら、大人だって嬉しいですよね。児童生徒も同じです。

機械的な文法練習ではなく、自分自身のことについて話す有意味なやり取りは、コミュニカティブ・アプローチとして外国語教授法においても注目されています。単に楽しいだけでなく、より自然に近い形での言語習得が期待できます。

②英語で話す雰囲気づくりになる

スモールトークは、導入や帯活動として用いられることが多く、日本語モードから英語モードへと切り替えを促す効果があります。

授業の冒頭で教師が英語を使い始めることで、児童生徒にとっても英語で話しやすい雰囲気を作り出すことができます。

③既習表現の定着が図れる

スモールトークで話題にするのは、ごく身近な内容に限られます。そのため、既習事項を使う機会が非常に多く、定着のための活動としても効果的です。

スポーツや楽器の演奏と同じで、英語でも同じ表現を繰り返し使っているうちに、素早く自然と口から出てくるようになります。流暢に話せるようになるには必須のトレーニングです。

④学級づくりにもプラス

スモールトークは、児童生徒が自分自身について本当のことを話す活動です。同じ教室で毎日顔を合わせていても、相手の知らない一面はあるものです。

英語での会話を通して、児童生徒同士の関係性を深める効果も期待できます。児童生徒同士の結びつきが増えると、集団としてもまとまりが出てきますよ。

スモールトークの流れ

  1. 教師によるデモンストレーション
  2. トピックの導入
  3. 児童生徒によるペアワーク
  4. 全体での振り返り(収束)

教師によるデモンストレーション

最初に教師が実際にやってみせることで、児童生徒にとっては何を、どのように話したらいいのかわかりやすくなる効果があります。

デモンストレーションの例
Last weekend, I went hiking to Mt. Takao and enjoyed the clean air and beautiful view. It was a lot of fun. However, the next day I felt very tired and slept all day.
先週末、高尾山にハイキングに行き、澄んだ空気と美しい景色を楽しみました。 とても楽しかった。 しかし、翌日はとても疲れていて、一日中寝ていました。

トピックの導入

教師によるデモンストレーションが終わったら、児童生徒に対してトピックを導入しましょう。

導入の例
T: What did you do last weekend?
先週末なにをしましたか?

[板書: What did you do last weekend?]

T: Repeat after me. What did you do last weekend?

S: What did you do last weekend?

T: Very Good!

話すことが思いつかない児童生徒が想定される場合
何を話していいかわからない児童生徒が想定される場合は、ペアワークに入る前に、キーワードを紙に書き出させるのがオススメです。少し長めに時間をとって、辞書を使わせるのもOKです。

児童生徒によるペアワーク

ここからは、実際に児童生徒に発話させていきます。ペアを作り、ペアの片方が質問、もう片方が回答というように流れを作るとスムーズです。時間で区切って交代させます。

ペアワークの例
【教師の指示】
T: Please make a pair with your partner. Left person, you ask the question. Right person, you answer.
パートナーとペアを組んでください。 左の人、質問します。右の人が答えます。

【児童生徒の活動例】
S1: What did you do last weekend?
S2: I played tennis with my friends. The next day, I went shopping. I bought a new racket.
S1: Wow, that’s great!

【教師の指示】
T: Okay now, please switch the role.

練習量が不足していると感じる場合は、ペアを変えて同じテーマでもう一度行うのも効果的です。

全体での振り返り(収束)

一通りペアワークを終えたら、全体での振り返りに入ります。振り返りのメリットは2つです。

  1. 表現の幅や正確さを向上させる
  2. 他の児童生徒の発話から表現を学ぶ

振り返りの例
T: Suzuki-san, what did you do last weekend?
S: I went to shopping last weekend.
T: Oh, you went shopping.
T: Everyone, repeat after me. I went shopping.
Ss: I went shopping.

この例では、児童生徒の I went to shopping という発話に対して、教師が I went shopping というように正しい形をさりげなくフィードバックして、全体で共有しています。

全体の前であからさまに指摘すると児童生徒にとってストレスになる可能性が高いです。さりげなく行うと英語嫌いを減らせます。

スモールトークの授業例

スモールトークの授業例は、文部科学省が YouTube に動画を公開しています。

児童のレベルも高いですし、研究授業ということもあり、教材の準備やALTとの打ち合わせもかなり入念です。非常に素晴らしい授業です。ですが、ここまでのクオリティを出すのは至難の業ですよね。

また、この先生は全体での振り返りが非常に上手です。子どもたちが英語で言えなかったことを次々に英語で言えるように指導しています。もっと簡単に、同じような指導ができたらと思いますよね。

そこで、次は活動の振り返りをもっと簡単に出来る方法をお伝えます。

効果的な活動の振り返りを簡単にする方法

活動の振り返り段階では、児童生徒が英語で言えなかったことを教師がフォローしてあげたり、間違っている部分を訂正してあげられるのが理想です。

ですが、児童生徒の発話が文法的にめちゃくちゃだったりして、何が言いたいのか、何をどう直していいやらと思うことも少なくありません。また、教師自身が英語でなんて言えばいいのか疑問に思ってしまうこともあるかもしれません。

そのような事態を避ける方法があります。

それは、ペアワークの後に児童生徒に発表させず、教師があらかじめ用意した例文を使う方法です。

【教師が用意した例文を用いる方法】
T: あー…土曜日買い物行ったんだよな。買い物に行った、英語でなんて言うのか…誰か教えてくれないかな?
S1: Shopping!
S2: I went shopping!
T: Yes! Thank you. Everyone, repeat after me: I went shopping.

児童生徒にとってもプレッシャーが減りますし、定着させたい既習表現にフォーカスしやすいメリットがあります。

1年間続けていけば、かなりの数の例文をインプットできるので、児童生徒の英語力も着実に上がりますよ。

スモールトークのネタ(話題)

スモールトークの指導で困るのが、ネタ(話題)の用意ですよね。鉄板は、週末です。週末の予定と振り返りで2回使えます。ゴールデンウィークや夏休みについても同様の方法が利用可能です。

ですが、中学校や高校は授業回数が多いのでマンネリしがちですよね。そこでオススメの方法は、次のようにトピックを一覧にして手元に用意しておくことです。

  1. What do you like to do for fun?
  2. Can you talk about your hometown?
  3. What is your favorite type of food?
  4. What is your favorite season and why?
  5. Can you tell me about your best trip or holiday?
  6. What is your favorite animal and why do you like it?
  7. Can you tell me about a regular day in your life?
  8. What is your favorite type of music and why do you like it?
  9. What do you think is the most important thing in life?
  10. Can you tell me about a friend who is important to you?

もっと知りたい方は、Udemy の講座でも扱っています。CEFR・英検の級別に紹介しているので、すぐ使えます。また、Chat GPTを用いて授業準備や考査作成を素早く仕上げる方法も合わせて解説しています。

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