CEFR B2は、英検換算で準1級、TOEICでは785-940点です。日本人としては、高いレベルで、英語を武器にした就職や転職が可能になります。
キャリアにも直結するレベルになってくるので、ぜひとも達成したいところです。B1まで到達したのであれば、B2には誰でも達成できます。
この記事では、CEFR B2の特徴と到達までの学習時間、勉強方法を徹底的に解説していきます。
この記事の執筆者(ASAKOROKO)
英検1級・英国修士(TESOL/英語教授法)、現役英語教師。TESOLは国際的な資格も持っています。英語教師としての豊富な知識を生かして、今回はCEFR B2レベルを解説していきます。
CEFR B2は、英検準1級, TOEIC 785-940点レベル
CEFR(セファール)は、ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference)の略で、英語など外国語の運用能力を測る国際的な基準 です。
B2 は、4つ目の段階で、中上級(Upper-Intermediate)レベルです。資格試験では、英検準1級 や TOEIC 785-940 に相当します。
CEFR B2 は英検換算で 準1級
実用英語技能検定では、準1級で CEFR B2 に相当します。後述するTOEICに比べ、アカデミックな出題が多く、求められる語彙レベルが高いです。また、4技能を総合的に評価しているのが特徴です。
CEFR B2 はTOEIC換算で 785-940
TOEICでリーディングとリスニングのみを受験する場合は、785-940点で B2レベル です。
ただし、リーディングとリスニングのみの受験では、4技能を計測できていないので目安として活用しましょう。なお、4技能すべて受験する場合は、1560-1840点でCEFR B2 レベルです。
IELTS(アイエルツ)では、5.5-6.5
IELTSは、ケンブリッジ大学やブリティッシュ・カウンシルによって開発された試験です。TOEICのようにスコア制になっており、満点は9.0です。5.5-6.5で CEFR B2 に相当します。
日本では、英語検定協会が実施しています。英語圏の大学・大学院でも幅広く認知されており、進学に利用しやすい特徴があります。
CEFR B2レベルの特徴
CEFR B2は、自分の専門分野について、英語で対応ができるレベルです。
CEFRのガイドラインによれば、B2レベルの人には、次のような特徴があります。
CEFR B2レベル の詳細
- リスニングでは、ドキュメンタリーやライブ インタビュー、トーク ショー、演劇、映画の大部分を理解することができます
- リーディングでは、自分の分野の高度に専門的な情報源から情報、アイデア、意見を得ることができます。
- 友人や同僚とのカジュアルな議論では、いくらか努力すれば、周りで言われていることの多くを聞き取ることができますが、複数人との議論に効果的に参加することは難しいかもしれません。
- 職場でのフォーマルなミーティングでは、自分の専門分野について他の専門家と話し合う際に、適切な専門用語を使用できます。
- 日常生活では、不当に切られた交通違反切符、アパートの損傷に対する金銭的責任、または事故に関する責任などの論争の解決策を交渉することができます。
- 職務では、自分の職業上の役割に関連するあらゆる事柄について、複雑な情報やアドバイスを理解し、交換することができます。
- 通話では、さまざまな話題について、知っている人と長めのカジュアルな会話に参加することができます。
- エッセイまたはレポートの作成では、特定の視点に賛成または反対する理由を示し、さまざまな選択肢の長所と短所を説明しながら、議論を展開することができます。
- 言葉遣いから、発話者の背景 (出身、年齢、職業) を推測することができます。
Reference: Council of Europe. (2020). Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment.
B2 スピーキングの実例
CEFR B2がどれくらいのレベルなのか知りたい方は、ケンブリッジ大学による次の動画が参考になります。
なお、左側の女性(Florin)は C1レベルです。右側の女性(Maria)がB2レベルです。
日本人におけるB2レベル
B2 は、日本人としてはかなり高いレベルです。TOEICでは、社会人受験者のうち、上位約20%に入ります。
CEFR B2 はキャリアアップにも有利
B2は、英語を武器とした就職・転職活動も可能になりますし、大手も狙えるようになるレベルです。
会社名 | 要求スコア |
---|---|
楽天 | TOEIC 800 |
Johnson & Johnson | TOEIC 700 ~ 900 |
中高 英語教諭 | TOEIC 860 (専門教養試験免除) |
トヨタ自動車(主任) | TOEIC 730 |
ファーストリテイリング | TOEIC 700 |
CEFR B2 到達のために知っておきたいこと
CEFR B1 から B2 到達までの勉強時間
CEFR B1からB2に到達するには、一般的に 150~200時間のレッスン、もしくは、600時間の独学が必要です。
CEFR | 初級からのレッスン時間 | 初級からの学習時間(独学) |
---|---|---|
C2 | 1,000-1,200 | --- |
C1 | 700-800 | 2,200 |
B2 | 500-600 | 1,320 |
B1 | 350-400 | 720 |
A2 | 180-200 | 480 |
A1 | 90-100 | 240 |
1年で達成する場合は、毎日1時間のレッスンを受ければ、150時間に到達します。なお、レッスンには、予習・復習があるので、実際の学習時間は150時間より多くなることが、想定されます。
独学で1年で達成する場合は、1日約100分の学習量です。
B2 レベルの英文法
B2レベルでは、次のような英文法を、実際に自分で使えるようになる必要があります。
- -ingに導かれる副詞句
Talking about spare time, I could go to the Art Museum. - 形式主語 It / 仮定法
It would be helpful to work in your group as well. - 主語としての関係代名詞
What attracted me the most was the possibility of meeting people of the same interests. - 過去完了や未来完了
I had been waiting there for an hour before the bus came. - SVO (to be) C
Unfortunately for me the situation turned out to be opposite to what I thought it was.
問題集での学習と4技能でのトレーニングを組み合わせていきましょう。問題集だけで乗り切ろうとすると、英語が使えない日本人が出来上がるので、注意が必要です。
CEFR B1からB2を最短で目指す
CEFR B2 最短到達に向けたポイントは、次の5つです。
- 客観的に実力をチェックする
- スピーキングで効率よくインプットする
- 文法書と単語帳で知識を補強する
- リスニングを最短攻略する
- スピーキングを最速攻略する
1. 客観的に実力をチェックする
英語学習の鉄則は、自分のレベルに合った学習を行うことです。そのためには、自分のレベルを客観的に把握する必要があります。
2. スピーキングで効率よくインプット
効率よくCEFR B2に到達するには、スピーキングによる学習が鍵です。書くよりも口に出す方が早いので、問題集よりも短時間により多くの学習ができます。
実際、私もスピーキングでかなり英語力を伸ばしてきました。英語を楽しんで口に出しているだけで学習になっているので、周りより成果が出るのが早かったです。しかもスピーキングもできるようになるので、一石二鳥でした。
3. 文法書&単語帳で知識を補強
B2突破に必要となる文法と英単語が、インプットできる教材を、2冊ご紹介します。
English Grammar in Use
CEFR B1-B2に対応した文法教材です。B2 の英文法は、日本の高校レベルですが、過去完了や未来完了、仮定法など、やや難しい文法も含まれます。
English Vocabulary in Use Upper-Intermediate Book
B1からB2では、新たに約1,500~2500語を覚える必要があります。英単語は意味だけでなく、コロケーションなど、使い方も学んでいきましょう。
文法や語彙のインプットと並行して、4技能のトレーニングもしていきましょう。ここでは、日本人が苦手とすることの多い、リスニングとスピーキングについて、解説していきます。
4. リスニングを最短攻略する
B2 リスニング攻略のポイントは、大量のインプットと、意外に思われるかもしれませんが、発音矯正です。
リスニングを苦手とする日本人は多いです。日本は英語が日常的に使われる国ではありませんし、日本の英語教育はリーディングに偏っています。そのため、日本人は、留学などを経験していない限り、リスニングの絶対量が圧倒的に不足しています。
そこで、オススメなのは、YouTube や Amazon Prime を利用した、多聴です。多聴は、多読のリスニング版です。
作品選びのポイントは、内容が理解可能なレベルの作品を選ぶことです。一般的に、外国語学習には、i + 1 という考えがあり、i(現在のレベル)より少しだけ高いレベル(+1)が学習環境として適しているというものです。
映画よりもドラマの方がセリフが多く、英語学習には向いています。また、ジャンルとしては、Full House のようなコメディ系の方が、日常生活に近く、実用的です。1シーズン見たくらいでは効果は現れないので、10シーズンくらいは見るつもりでいきましょう。
発音矯正でリスニング力をつける
自身の発音が悪い場合には、なかなか聞き取れるようにはなりません。その場合は、自身の発音を先に矯正するのが効果的です。なぜなら、自分で発せられない音は、聞き取れないからです。自分で話せるのに、聞き取れない、なんていうことはありません。
私自身、B1レベルの時に、発音を矯正しました。その結果、ネイティブスピーカーの言うことを、おうむ返しできるレベルにまで、リスニングが上達しました。おうむ返しができる恩恵は大きく、知らない単語を言われた時に、意味を聞けるようになりました。今ならスマホの音声認識で確認することも可能です。
私は、留学してきたネイティブスピーカーの友人に、1〜2ヶ月でしたが、徹底して特訓してもらいました。当時は、ぶつぶつと子音や母音の発音を繰り返していました。誰かに見られていたら、変人だったと思います。
発音は、一度身につけると、あとは耳から英語が勝手に入ってくるようになるので、その後の学習がかなり楽になります。
なお、発音は、次に解説するスピーキングとともにトレーニングしていくのがオススメです。
5. スピーキングを最速攻略する
アウトプットの最速トレーニングは、スピーキングです。B1とB2のスピーキングには、次のような特徴があります(参考:Cambridge Assessment English)
項目 | B1 | B2 |
---|---|---|
分野 | 個人的な内容 よく知っている内容 日常的な場面 | 社会的な内容 抽象的な内容を含む 自身の専門分野 |
文法 | 基本的な文法形式を、ある程度正確に使うことができる | 基本的な文法形式をある程度正確に使え、さらに複雑な文法形式を使おうと試みている |
発話の長さ | 簡潔で、短い | ある程度の長さと流暢さ |
タスク | 形式的な情報伝達 ビジュアル・サポートが必要 | 良好な人間関係の構築 少ないサポートで、より多くを説明できる |
実際に、B1とB2レベルの発話を、サンプルで比較してみましょう。
B1
I did my homework at the weekend. I forgot it today. I’m sorry about that.
週末に宿題をしました。今日忘れました。ごめんなさい。B2
Cambridge Assessment English
Although I did my homework at the weekend, I’ve forgotten to bring it today. I would love it if you could forgive me for that.
週末に宿題をしたのですが、今日持ってくるのを忘れてしまいました。今回のことは、大目に見ていただけたら嬉しいのですが…
同じことを伝えるにしても、B1は、B2に比べて、発話量が少なく、ぶっきらぼうな印象があります。中高生なら許されるかもしれませんが、大人としては、言葉が足りない印象があります。
それに対して、B2では、仮定法を用いて、どうしても許して欲しい(見逃して欲しい?)という願望を伝えることで、人間関係にヒビが入るのを防ごうとしているのがわかります。
このように、使える文法の幅は、人間関係の構築とも繋がっています。
1. 自身が専門とする分野であれば、技術的な議論が含まれていても、話題が具体的でも抽象的でも、複雑な文章の要旨を理解することができる。
2. ネイティブスピーカーとでも、双方が緊張せず、ある程度の流暢かつ自然に、やり取りができる。
3. 幅広い話題について、はっきりとした詳細な文章を、作ることができる。様々な選択肢の長所や短所をあげながら、時事問題について考えを説明できる。