【英検1級面接対策】2分スピーチの型と質疑応答のコツ, 自宅でできるスピーキング練習

英検1級の面接は、「英語でどれだけ話せるか」だけでなく、「どれだけ深く考え、論理的に議論できるか」が試される試験です。入室から退室までわずか10分ほどですが、その中で2分間のスピーチと約4分間の質疑応答をこなし、自分の意見を説得力をもって伝える必要があります。準1級までのように「決まりきった答え」をなぞるだけでは対応できません。その場で論点を組み立て、多角的にテーマを語る力が求められます。

この記事では、英検1級面接の流れやトピックカードの選び方に加えて、2分間スピーチの具体的な構成、論点の立て方、反対意見への反論、そして質疑応答で使えるフレーズまで体系的に解説します。英検1級レベルの受験者が意識したいポイントを、実際に使える英文付きで紹介していきます。

さらに、自宅で効率的に練習する方法として、AIスピーキングアプリ「初めてのAIスピーキング」も取り上げます。300以上のトピックで本番同様の2分スピーチ練習ができるだけでなく、自分の発話を自動で書き起こし、文法ミスの訂正やより良い表現の提案まで行ってくれるツールです。独学だと「何をどこまで直せばいいのか分からない」「フィードバックがない」となりがちですが、こうしたAIを活用することで、英検1級に必要な構成力・即興性・表現力を、自宅にいながら集中的に伸ばしていくことができます。合格を目指して、ラストスパートです!

この記事の執筆者

ASAKOROKO

  • 英検1級取得
  • 英国大学院修士(TESOL/英語教授法)修了
  • 日本の大学で英語科目を担当する現職教員

長年にわたり英語教育と試験対策に携わり、英検対策授業やAIを活用したスピーキング練習支援の研究を行っています。学習者一人ひとりが自宅でも効率よく学習を進められるよう、実践的かつ科学的な学習法の紹介を心がけています。

英検1級面接の流れ

入室から退室まで

英検一級の面接は約10分間で、次のような流れになっています。

  1. 氏名や受験級の確認
  2. 簡単な日常会話
  3. 5つのトピックが印刷されたカードを受け取る
  4. スピーチ準備(1分間)
  5. スピーチ(2分間)
  6. 質疑応答(約4分間)
  7. カードを返却し、退室

トピックカードのサンプル

面接では、トピックカードに書かれた5つのテーマから1つを選びます。準備時間は1分しかないため、カードを受け取ったら直感で自分が話せそうなトピックをすぐ選び、メモなしでスピーチの骨子を組み立てる必要があります。

英検1級 面接予想オリジナル問題

トピックは5つありますが、スピーチをするのは1つです。スピーチ後に面接官から質問される内容も選んだトピックに関するものです。

話しやすいトピックが見つかったら残りのトピックにまで目を通す必要はありません。即座にスピーチの構成を考えると効率的です。

スピーチの構成と時間配分

英検1級面接では、準1級までのように定められた応答は期待されていません。日本語でディスカッションする時と同様に、自由に議論を展開していきましょう。議論そのものに不慣れな場合は、以下のテンプレートを利用すると考えやすくなります。

  1. 問題の背景と立場の提示(10〜20秒)
    • 1級では「単なる Yes/No」しかない主張では不十分です。社会的背景を含めて冒頭で論点の枠組みを作ります。 立場は明確にしつつ、絶対化しないニュアンスがオススメです。例えば、以下の例文では、社会的背景としてAIが急速に普及し、法的・倫理的な枠組みの整備が追いつかない状況を述べています。その上で、政府によるAI規制は倫理面から必要ではあるが、イノベーションを阻害してはならないというように、規制に賛成の立場を述べつつ条件(イノベーションの制限はしない)を述べています。
  2. 論点①②(それぞれ30〜40秒程度)
    • 2分間のスピーチでは、論点を2つ用意するのがおすすめです。論点は、テーマにもよりますが、次のような観点から考えると思いつきやすいです。
      • 公平性・社会的弱者への影響(Equity): 弱い立場の人に不利益が出る
      • 国際協力の必要性(International cooperation): どんなテーマにも必ず「国際的側面」がある。
      • 説明責任・透明性の欠如(Accountability & Transparency): 誰が責任を取るのか分からない、仕組みが見えない。
      • 経済への影響(Economy):産業や生活コストにどんなプラス・マイナスが出るか。
      • 雇用・働き方の変化(Employment):仕事がなくなる、新しいスキルが必要になるなどの変化
      • 安全保障・リスク管理(Security):国家・社会がどんな脅威にさらされるか。
      • 持続可能性 / 環境への影響(Sustainability):その取り組みが長期的に地球や社会を保てるか
      • 公共の安全・社会安定(Public safety & social stability):犯罪・混乱・暴力など、社会が不安定になる可能性。
      • 倫理(Ethical):道徳的に正しいと言えるのか。
    • 論点を2つ選んだら、それぞれについて 抽象→具体→帰結 の順で話していくと話に説得力が出やすくなります。1分間の準備時間では、論点2つと、それぞれの具体的な話をイメージしておくと話がしやすくなります。AI利用に関するトピックで、論点として倫理を選んだ場合の例を掲載します。
  3. 反対意見を部分的に肯定しつつ反論(20秒程度)
    • 英検1級では、単に自分の意見を主張するだけでなく、多角的に物事を議論できることを示すのも重要です。以下のような表現を使いながら構成するのがおすすめです。
    • ① 反対意見の紹介
      • Some people argue that ~.
      • It is often claimed that ~.
      • Admittedly, there is a concern that ~.
    • ② 反対意見の一部を認める
      • This point is understandable because…
      • This argument has some merit, especially when …
    • ③ 反論して自分の立場を強める
      • However, this view overlooks the fact that…
      • Nevertheless, in the long run…
      • Yet, the more fundamental issue is that…
  4. 議論をまとめ、結論を述べる(10〜20秒)
    • 結論部分は、ここまでがしっかりと出来ていれば時間調整に使うくらいの気持ちで問題ありません。時間がなければ手短に、最初とは表現を変えて自分の立場を示すだけでも十分です。少し時間がありそうであれば、以下の順で組み立てるとまとまりがよくなります。
      • ① 意見をもう一度はっきり述べる
        • Therefore, I firmly believe that ~.
        • For these reasons, I support the idea that ~.
      • ② 理由の核心をまとめる
        • as it ensures fairness and protects public trust.
        • since it affects the foundation of our society.
      • ③ 未来への影響を加えて締める
        • If we take action now, we can avoid much greater harm later.
        • Doing so will help build a safer and more equitable future.

スピーチ後の質疑応答への対策

質疑応答のよくあるパターン

スピーチ後の質疑応答は約4分間です。次のような質問に答える必要があります。

  1. スピーチ内容の深掘り
    • スピーチで触れた内容を前提にし、では具体的にどうするのか? を問う質問です。
  2. 反対意見に対する考え
    • 面接官が意図的に「別の立場」を提示してきます。
  3. 別の観点を問う質問
    • あなたのスピーチで触れていない観点を、あえて問われることがあります。
  4. 経験・社会背景を問う質問
    • 個人の経験ではなく、「社会をどう理解しているか」が問われます。

質疑応答への答え方

質疑応答では長く話す必要はありません。むしろ、短く論理的に答えるほうが評価されます。

もっとも使いやすいのは、以下のPREP法です。

  1. Point(結論)
  2. Reason(理由)
  3. Example(例)
  4. Point(まとめ)

AI規制に関する例

[結論] I don’t think strict regulations necessarily slow innovation.
厳格な規制が必ずしもイノベーションを遅らせるとは考えていません。

[理由] Without ethical rules, AI can cause serious harm and lose public trust.
倫理的なルールがなければ、AIは深刻な害を及ぼし、社会の信頼を失う可能性があります。

[例] For example, unfair AI grading in schools would lead society to demand even stricter control later.
例えば、学校でAIによる不公平な採点が行われれば、社会は後々、より厳格な規制を求めるようになるでしょう。

[まとめ] So balanced oversight is essential for sustainable innovation.
したがって、持続可能なイノベーションには、バランスの取れた監督が不可欠です。

評価基準と合格ライン

採点項目と配点

英検一級の面接ではアティチュード点はありませんが、4つの項目で総合的に評価されます。内訳は

  • スピーチ内容30点
  • 面接官とのやり取り(質疑応答)30点
  • 文法・語彙20点
  • 発音20点

です。

つまりスピーチだけでなく、質問への即応力や語彙・文法の正確さ、発音も同じくらい重要です。評価では面接官が2名おり、1名は日本人、もう1名はネイティブスピーカーです。

合格点と合格率

合格基準はCSEスコア602/850点以上で、約7割の得点が必要です。二次試験の合格率は正式な発表がないものの、古いデータからは約65%前後と推定されています。準1級の二次試験と比べると1級の合格率は30%ほど低く、狭き門です。

一次試験を突破した人でも二次試験に落ちるケースが多いため、合格点を確保するには各項目のバランスを意識した対策が必要です。CSEスコアは合格・不合格の目安であり、正確な採点基準は公表されていません。そのため、点数を意識し過ぎずに内容・語彙・発音の質を上げることが大切です。

スピーチで使えるフレーズ集

スピーチ冒頭で使える表現

背景と立場を提示する表現 Given 〜, I believe that…
(〜を踏まえると、私は…だと考えます)

この表現の役割
  • 前提条件を明示する(=議論の土台を作る)
  • 意見が感情ではなく“状況分析”に基づいていると示す
  • 一言で「背景 → 立場」の流れを作れるため、スピーチの最初に最適

背景と立場を提示する表現② In light of 〜, it seems essential to…
(〜を踏まえると、…することが不可欠だと思われる)

英語構造のポイント
  • “In light of 〜” = 「〜の観点を踏まえると」
  • “it seems essential to…” = 「〜することは不可欠だと思われる」
  • → “I think” よりも 客観性・説得力 が増します。

論点を示す時に使える表現

論点を提示するフレーズ① One major concern is that 〜
(大きな懸念の1つは〜である)

この表現の役割
  • 論点①を最も自然に導入する便利フレーズ
  • 「抽象 → 具体 → 帰結」の抽象部分として使いやすい
  • 「最初に扱う論点はこれです」と明確にできる

この後の語りの流れとしては、

  1. 具体例:For instance, …
  2. 帰結:As a result, …

などが考えられます。この型で必ず説得力が増します。

論点を提示するフレーズ② Another point worth considering is 〜
(もう一つ検討すべき点は〜である)

この表現の役割
  • 論点②への自然な橋渡し
  • 「別の観点からも話せますよ」というC1らしい多面的思考の証明
  • スピーチの流れを滑らかにし、構造を整える

この後の語りとしては、

  1. “This is because…” で理由を補足
  2. “For example…” で具体例を追加
  3. “Therefore…” で帰結へ

といった流れが安定します。

反対意見への反論で使える表現

反対意見に耳を傾ける表現①
Some people argue that ~. This point is understandable because….
~と主張する人もいます。この点は理解できます。なぜなら…

このフレーズは、反対意見を過度に強調することなく自然に導入でき、受験者が多角的に物事を考えていることを明確に示せる便利な構文です。

さらに “This point is understandable because…” と続けることで、相手の考えが一定の合理性を持つことを認めつつ、その後に続く反論の説得力を高める効果があります。譲歩を挟むことで、受験者は「意見の対立」を個人的な対立ではなく、分析的観点から整理している という印象を与えることができます。

反対意見に耳を傾ける表現②
Admittedly, there is a concern that ~. I can see why some people feel that way, but….
確かに、~という懸念はあります。そう感じる人がいるのも理解できますが…。

このフレーズは、反論を述べる前の“高度な譲歩表現” として非常に有効です。英検準1級まではあまり見られない語彙ですが、1級ではこのようなアカデミックでフォーマルな表現が自然に使えると、印象と評価の双方で大きく差がつきます。この表現は「確かにこういう懸念は存在する」と認めることで、その後に述べる反論の客観性・信頼性を高める効果があります。

続く “I can see why some people feel that way, but…” は、相手の感情や考え方の背景に配慮しながら反論へとスムーズに移行できる便利なフレーズです。この構文の優れている点は、単に論理を展開するだけでなく、共感と理解を見せた上で議論を深める姿勢を示せること にあります。

反論して自分の立場を強める表現①
However, this view overlooks the fact that… しかし、この見解は次の事実を見落としています…

反対意見を潰すのに簡単な方法は、相手の議論の“欠けている部分”を冷静に指摘することです。また、単なる反論ではなく「議論の視点をより重要な論点へ引き上げる」ためにも最適です。

英検1級合格に向けた練習方法

合格に向けたオススメの問題集

英検1級合格には、相当なスピーキング力が必要です。1次試験を受けてから対策をするのではなく、1次試験と並行して対策するのがオススメです。

2次試験の面接対策では、準1級までは1冊で事足りていました。しかし、1級ともなるとそう簡単ではありません。1冊ではなく、2冊以上用意し、繰り返し対策されることをオススメします。

オススメ問題集1冊目は、定番の旺文社です。出題傾向をつかむのにオススメです。

オススメ問題集2冊目は、面接大特訓です。とにかく、1級になると問題量が必要です。旺文社の問題集のみでは量が不足しがちです。こちらで補っていきましょう。

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合格に向け、時間感覚を身につける

英検1級の面接で最も難しいのは、実は時間管理です。なぜなら、面接官は時計を見せてくれないからです。手元の時計を頼りにすることはできますが、スピーチ中は内容に集中していて、時間を気にし続ける余裕はあまりないはずです。

必ずしも2分ちょうどで結論まで綺麗に導く必要はありません。多少長くなって、結論手前あたりで止められる分には問題ありません。ですが、時間を余しすぎてしまうと、この人は会話を続ける力がないと判断され合格が大きく遠のきます。

そのため、2分間スピーキングを続ける力は必須です。日頃から時間を計測して、2分間、ひとりで英語スピーチを続けられる力を養っていきましょう。

さらに効果的な練習方法

英検1級の面接対策は、自宅でも十分に行えます。しかし、1級のスピーチは内容の深さ・論理性・語彙のレベルが求められるため、単に話すだけでは効果が限定的です。そこで近年、多くの学習者が取り入れているのが AIを活用したスピーキング練習 です。その中でも特におすすめなのが、AIスピーキングアプリ 「初めてのAIスピーキング」 を使った学習方法です。

「初めてのAIスピーキング」とは?

このアプリは、英検面接に必要な「構成力・即興性・表現力」を総合的に鍛えることに特化したAIスピーキング練習ツールです。

主な特徴は次の通りです:

  • 300以上のスピーチトピックに対応(社会問題・国際関係・環境・AI・経済など幅広い領域)
  • スピーチは2分間で、時間感覚を身につけるのにピッタリ!
  • 発話内容をすべて自動で書き起こし(自分の言語化パターンが可視化できる)
  • 文法ミスの自動訂正(正確さを高めるのに必須)
  • より自然で高度な表現の提案(C1レベルを目指す学習者に最適)

英検1級では、自分の主張を「論理的かつ洗練された英語」で伝える必要があります。このアプリはその練習を一人で・好きな時間に・何度でもできる点で大きなメリットがあります。

詳しくは別記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。