授業準備に追われる毎日を、“時短モード”にしませんか。本記事では、生成AI(ChatGPT ほか)を授業準備に直結させる実例を、そのまま使えるプロンプトと一緒にまとめました。文法チェック・例文作成、スピーキング問題、ライティング課題、ディクテーション/シャドーイング音声(TTS)、四択・会話リスニング、ディクトグロス/Jigsaw Reading/Info Gapまで、CEFR準拠のレベル指定で素材を量産。NarakeetやElevenLabs、ImageFXなど無料・低コストのツールも併用し、教材クオリティを保ちながら準備時間を大幅短縮しましょう!
1. 文法チェック・例文作成
授業で使うスライドやハンドアウトの英文は、Chat GPT でチェックしておくと間違いや誤植を減らせます。

1つずつ貼り付けてもいいですが、面倒な場合は作成したファイルごと Chat GPT に投げると、やや時間はかかりますが一括で校正してくれます。その間に他の作業に取り組むのも◎

2. スピーキング問題の作成
スピード・チャット形式のペアワークなど、スピーキング活動で使う英問もすぐに作成できます。ポイントは CEFR 形式でレベルを指定することです。トピックや使う単語の指定も簡単にできるので、英単語の復習などを兼ねたい時にも便利です。

3. ライティング問題の作成
ライティング問題の作成では、サンプルを与えることで類似問題が簡単に作成できます。

実際に作成された問題は次のとおりです。同様の形式、同じレベルでトピックを変えて上手に作成されています。

4. ディクテーション問題の作成
ディクテーションさせたい英文を用意します。手元に教材がない場合は、Chat GPTなどで作成しましょう。Chat GPT は CEFR を理解しますので、レベルを指定するとスムーズです。今回は、次のように指示しました。

音声は Text To Speech (TTS) を利用すると簡単に作成できます。今回は、登録不要で利用できる Narakeet (https://www.narakeet.com/) を使用します。
約20回まで無料で作成できます(ブラウザを変えるとカウントがリセットされるようで、さらに20回利用できます。その後は、有料登録を行うか、後述する ElevenLabs など別サービスを使う方法があります)

サイトにアクセスしたら、GET STARTED と書かれたボタンをクリックします。
次に、Text to speech audio を選択します。

読み上げるテキスト、話者や英語の種類、スピードなどを設定します。

最後に、CREATE AUDIO を選択すれば完了です。ダウンロードして、お使いになれます。そのまま全てを書き取らせることもできますが、部分的に穴あきにして使用することも考えられます。
5. シャドーイング音声の作成
ディクテーションに用いた音声は、そのままシャドーイングにも用いることができます。
Narakeetの無料枠を使い切ってしまった後は、Luvvoice(https://luvvoice.com/)もおすすめです。こちらも登録なしで、音声生成ができます。

読み上げスピードの変更も可能です。アクセントや話者の右側に表示されている歯車アイコンをクリックすると Voice Settings が表示されます。Rate を下げると速度が下がります。

6. 4択リスニング問題の作成
リスニングの台本があれば、4択問題の作成も容易です。Chat GPT にリスニングのスクリプトと4択問題を作成するよう指示を出すだけです。今回は、日本語訳と模範解答も作成してもらうことにしました。

次のような問題を作成してくれました。訳も解説も問題なく出力されています。Chat GPTは間違えることもあるので、チェックは必要です。また英文のレベルは CEFR で指定することも可能です。

7. 会話リスニング問題の作成
2人以上の会話は ElevenLabs(https://elevenlabs.io/) で作成できます。月1万クレジット(約10分)まで無料で利用できます。

ホーム画面を開いたら、Sign Up をクリックし、アカウントを作成します。Googleのアカウントも利用できます。
プラットフォームの選択画面が表示されますので、Creative Platform を選択します。

その後、アンケートに回答していくとプラン選択の画面が表示されます。よく見ると下部に skip がありますので、無料で利用したい場合はそちらを選択します。

無事にアカウントを作り終えたら、左側のタブから、Studio を選択して、Start from scratch を選択します。

会話文を入力します。会話文は事前に Chat GPT などほかの生成AIで作成しておくとスムーズです。
話者ごとに改行するのがポイントです。改行したら、行ごとに右側の Edit Speech からスピーカーを選択します。

スピーカーを選択したあと、必要であれば名前の横、Apply の左隣にあるチューニングアイコンをクリックするとスピードなどの調整ができます。調整した場合は Apply をクリック。
これだけで会話文が完成します。最後は右上の Export から音声ファイルとして出力すればOKです。モノローグに比べると作成に手間はかかりますが、モノローグ音声を切り貼りするよりは効率的です。
8. ディクトグロス問題の作成
ディクトグロスは、聞いたことを、メモを頼りに思い出して、ペアまたはグループでディスカッションしながら文章を復元する活動です。
具体的には、次の5つのSTEPになります。
- まとまった文章を聞く。文章は未習または既習のもの。
- 学習者はメモを取りながら聞く。
- ペアまたはグループで、お互いのメモを持ち寄り、元の文章をなるべく正確に復元する。この話し合いは、英語または日本語で行う。
- 復元した文章と元の文章をつき合わせ、確認、修正を行う。
- 必要に応じ、教師は文法項目に関する明示的説明を加える。
教師側が準備するものは、スクリプト(台本)と音声です。音声は、教師が読み上げるのであれば不要です。
台本は Chat GPT で簡単に作成できます。授業で扱っている内容とかけ離れてしまうと途端に難しくなるので、似たようなレベルで、同じような内容で、既習の単語で作成させるのがコツです。
9. 新出リーディング問題の作成
教科書本文を指導した後に、類似する英文で初見リーディングを行わせたい時にもChat GPT で簡単に英文を作成できます。テスト問題の作成にも活用できます。プロンプトには初見リーディング問題を作成して欲しい旨に教科書本文を添えるだけです。

作成された英文がこちら。同様のレベルで、似たようなトピックで、同じような語彙を使って作成されています。

10. Jigsaw Readingの作成
Jigsaw Reading は、ペアやグループで異なるテキストを読み、その後に互いに情報を共有して全体像を作り上げる活動です。
Jigsaw Reading を行うにはテキストをいくつかに分断する必要があります。Chat GPT なら作成も分断も全てお任せできます。

こちらが出来上がったテキストです。長さも同じくらいにしてくれるので生徒からのクレームも出ません。

11. リテリングの作成
リテリングは、本文を自分の言葉で言い換える活動です。初見でサポートなしで行う場合は難易度が高いです。そこで、最初はリテリングの見本を作成し、穴埋め形式で練習させるのがオススメです。慣れてきたら所見ですべて生徒に行わせていきましょう。ここでは、見本と穴埋めテキストを作成させます。
リテリングと指示するより、パラフレーズと明示した方がクオリティが安定します。

パラフレーズされた英文(リテリングの模範解答)と穴埋めテキストが生成されました。掲載していませんが、日本語訳もちゃんと出力されています。授業でも十分に使えるクオリティです。穴埋めは解答も作成させると便利です。

念の為、元のテキストとパラフレーズされたテキストを比較してみました。青でハイライトされている部分が変更された箇所です。上手に言い換えられているのがわかります。

12. ピクチャーディスクリプションの作成
ピクチャーディスクリプションは、写真やイラストを生徒に渡し、描写させる活動です。ペアでやらせる場合は、片方のみに画像を提示し、もう片方は聞き取った情報をもとにイラストを描かせると情報伝達の理解度が確認できます。
活動に使う画像の作成は Chat GPT でも出来ますが、Googleが提供する Image FXでは、よりリアルな画像が出力可能です。無料で利用でき、必要なのはGoogle Accountのみです。
プロンプトのコツは、写真に含めたい内容を具体的に記述することです。今回は机やーパソコン、キーボード、プリンターなどを指定しました。複数枚作成してくれますので、気に入ったものを使用することができます。作成時間もChat GPTより短く、ストレスなく使えるのでオススメです。

13. Info Gap活動の作成
Image FX を使えば、インフォメーション・ギャップ活動で使う写真も簡単に生成できます。ポイントは、模範解答を与えることです。


14. ストーリーテーリングの作成
Chat GPT などでストーリーテリング用の画像を作成するプロンプトです。今回は英検2級の問題をイメージして作成してもらいました。
英検2級のスピーキングテスト用に、3コマの漫画スタイルのイラストを作成してください。各コマには、生徒が説明できる短いストーリーの1場面を描いてください。
コマとコマの間には、「Next day(次の日)」や「One week later(1週間後)」のような
短い時間経過を示すテキストを入れてください。各場面では、同じ登場人物(または人物たち)が登場し、論理的に続く出来事の流れが分かるようにしてください。
高校生が簡単に説明できるような、現実的で日常的なシチュエーションを扱ってください。
イラストのスタイルは、教科書の挿絵のように明るく、わかりやすく、カラフルにしてください。
ストーリーには、明確な「始まり」「中間」「終わり」があることが望ましいです。 登場人物のセリフ(吹き出し)は入れず、「Next day」「One week later」などの時間表現以外の文字は入れないでください。
ストーリー例:ある男の子が傘を忘れる → 次の日 → 友達が傘を貸してあげる → 1週間後 → 彼がそれを返す。
完成品がこちらです。
One rainy day, Satoru borrowed an umbrella from his classmate.

より完成度を高めるには、1枚ずつ作成することをオススメします。
15. ロールプレイカードの作成
生徒がダイアローグの音読に慣れてきたら、ロールプレイに取り組ませるのもオススメです。Chat GPT でロールプレイで使うカードと見本のダイアローグを作成してみます。
まずはプロンプトです。テーマとレベルを伝え、ロールプレイのカードを作成するよう指示します。

ロールプレイのカードが作成されました。割愛していますが、カードAだけでなくカードBも作成してくれました。

モデルの会話があると取り組みやすくなる生徒も多いです。活動後に模範解答として配布するのにも適しています。

16. ダイアローグの作成
ダイアローグ(対話文)を作成する際は、テーマ、レベル、ターン数を指定するとイメージしている会話文が出力しやすいです。ほかに、登場人物の関係性を加えるとさらにリアルな会話になります。また、使う英単語を指定すると語彙学習を兼ねることもできます。以下、プロンプトと実際に出力された対話文です。
誕生日プレゼントを選ぶというテーマで Dialogue を作成してください。レベルは CEFR A2 です。ターン数は10です。日本語訳もつけてください。次の単語を使用してください:flower / how much / pay / deliver / arrive

17. 英英単語表の作成
生成AIなら英英単語表の作成も素早く行えます。しかも、生徒のレベルに合った英語で説明文を作成できます。英英辞書のコピーより圧倒的にわかりやすいので、授業で教師が説明に使うのにも、生徒に配布するのにも、どちらにも適しています。ポイントは、説明する英文のレベルをCEFRで指定することです。
次の英単語の意味を CEFR A2 レベルの学生が理解できるような英語で説明して、表にまとめてください。左側に英単語、右側に単語の意味を英語で書いてください。 driver’s seat, horn, side-view mirror, blinker, steering wheel, hand brake, sun visor, windshield, passenger seat, rear-view mirror
今回は CEFR A2 レベルにしています。生成されたリストはこんな感じです。A2の学生であれば理解できそうです。

18. 英単語クイズ(小テスト)の作成
今回は、先ほど作成した英英単語表の続きのスレッドを利用して「これらの単語を使ってQuiz(小テスト)を作成してください。」と指示を出しました。四択問題と穴埋め問題の2種類を作成してくれました。
【作成された四択問題の例】

【穴埋め問題の例】

19. 語彙推測問題の作成
指定した英単語を使ってストーリーを作成し、さらにそれを穴埋め問題にしてもらいました。生徒は話を読んで、空欄に当てはまる英単語を文脈から推測することになります。指定する英単語は関連性の高いものの方が自然なストーリーに仕上がります。
プロンプトです。
これらの英単語を使って、CEFR A2 レベルのストーリーを作成してください。ストーリーのうち、指定した英単語のいくつかを穴埋め形式にしてください。日本語訳と模範解答も生成してください。 driver’s seat, horn, side-view mirror, blinker, steering wheel, hand brake, sun visor, windshield, passenger seat, rear-view mirror
生成されたストーリーと問題文です。

20. 並び替え問題の作成(単語・文法)
並び替え問題を作るの面倒ですよね。元の英文も並び替えた選択肢もChat GPTにお任せです(選択肢はたまに不足があったりするので必ずチェックです)
プロンプトです。
一般動詞のYes/No疑問文とWh疑問文(information questions)の並び替え問題を5題ずつ作成してください。問題には日本語訳と模範解答をつけてください。
作成された並び替え問題の例です。

21. 選択肢をアルファベット順にする
英単語を選択肢として提示するとき、意外と面倒なのが並び替えですよね。以前はエクセルなどでアルファベット順にしていました。それでも、区切りのカンマやスラッシュは自分で入れなければならなかったので面倒でした。Chat GPT なら全部任せられるのでだいぶ楽になりました。
プロンプトです。

作成された選択肢です。指示通りスラッシュで区切られています。
