指導要録は生徒一人ひとりの大切な記録です。記入ミスや不備は避けたいところですが、正確な書き方やポイントを把握するのは簡単ではありません。
この記事では、指導要録の書き方をわかりやすく丁寧に解説します。学籍の記録から所見まで、初めての先生にも安心の内容です。さらに、作業効率を格段にアップさせるAIツールもご紹介します。
指導要録の様式は、都道府県ごとに教育委員会が定めており、学校によって若干異なる可能性があります。この記事では文部科学省の様式を参考にしていますが、学校ごとに記入方法が定められていないか確認しながら進めてください。
目次
学籍に関する記録 (様式1)
ホームルーム・整理番号
生徒の氏名, 性別, 生年月日及び現住所
保護者の氏名及び現住所
入学前の経歴
入学・編入学等
転入学
転学・退学
留学等
卒業
進学先
学校名及び所在地
校長氏名印, 学級担任者氏名印
指導に関する記録 (様式2)
各教科・科目等の学習の記録
総合的な探求の時間の記録
特別活動の記録
総合所見及び指導上参考となる諸事項
出欠の記録
学籍に関する記録 (様式1)
学籍に関する記録(様式1)の表面を解説していきます。裏面は科目と単位数を記入するだけなので割愛します。表面に記入する内容は次の通りです。
- ホームルーム・整理番号
- 生徒の氏名, 性別, 生年月日及び現住所
- 保護者の氏名及び現住所
- 入学前の経歴
- 入学・編入学等
- 転入学
- 転学・退学
- 留学等
- 卒業
- 進学先
- 学校名及び所在地
- 校長氏名印, 学級担任者氏名印
① ホームルーム・整理番号
学年制による課程では、学年ごとにホームルームと整理番号を記入します。単位制では学年ではなく、年度ごとに記入します。
▼学年制による課程の記入例▼
▼単位制による課程の記入例▼
② 生徒の氏名, 性別, 生年月日及び現住所
原則として住民票の記載に基づき記入します。
- 旧字体が使われている場合は旧字体で記入します。
- 住民票の氏名が間違っている場合は住民票を訂正させた上で、その訂正に基づいて記入します。
- ひらがなやカタカナの名前であっても、ふりがなは必要です。
- 外国籍の生徒は在留カードも基づいて記入します。
生徒氏名や現住所に変更があった場合
新たに住民票を提出させた上で、住民票に基づいて訂正します。前の記載が読み取れるよう二重線を引き、新しい情報を書き加えます。訂正印は不要です。
▼生徒氏名と現住所の変更例▼
③ 保護者の氏名及び現住所
生徒の氏名や住所と同様に、住民票に基づいて記入します。現住所は、生徒と同じ場合は「生徒の欄に同じ」という表記ができます。
保護者の氏名や現住所に変更があった場合の対処は、生徒の欄に変更があった場合と同じです。二重線を引いて、新たな情報を書き加えます。
④ 入学前の経歴
「令和○○年○○市立○○中学校卒業」というように記入します。
▼入学前の経歴の記入例▼
⑤ 入学・編入学等
入学および編入学は、使わない方には二重線を引いておきます。
▼入学の記入例▼
▼編入学の記入例▼
⑥ 転入学
他の高等学校等から転入学した生徒について、転入学年月日、転入学年、前に在学していた学校名、所在地、課程の種類、学科名等を記入します。
編入と転入の違い
【編入】退学などで一度高校を離れた生徒が、第1学年の途中又は第2学年以上に入学を許可される場合が該当します。空白期間が出来たり、同年生まれに比べて卒業が遅くなるのが特徴です。学校教育法施行規則第91条によります。
【転入】は現在高校に在学中の生徒が、別の高校に入学することです。空白期間なく、同級生と同じタイミングで卒業します。
⑦ 転学・退学
他の高等学校等に転学する場合には、転学先の高等学校が受け入れた日の前日に当たる年月日、転学先の学校名、所在地、課程の種類、学科名、転入学年等を記入します。退学は、校長が退学を認め、又は命じた年月日、学年等を記入します。
▼転学の記入例▼
▼退学の記入例▼
⑧ 留学等
留学等の欄には、留学と休学を記入します。留学の場合、校長が留学を許可した期間及び学年を記入するとともに、留学先の国名等・学校名・学年等を記入します。休学の場合、校長が休学を許可した期間を記入します。
▼留学の記入例▼
▼休学の記入例▼
⑨ 卒業
校長が卒業を認定した年月日を記入します。この年月日は、卒業証書に記載してある年月日と一致することになります。
⑩ 進学先
進学は学校名及び所在地を記入し、就職は就職先の事業所名及び所在地を記入し、就職しながら進学した場合については、上記の両者を記入します。また、家業又は家事に従事した者については、その旨を記入します。卒業の際、進路が決まっていないため記入できない者については、確定したとき記入します。
▼進学の記入例▼
▼就職の記入例▼
▼家業従事の記入例▼
⑪ 学校名及び所在地
学校名は、省略した書き方をせずに、設置者を含めて正確に記入します。所在地も丁目、番地まで正しく書きます。課程名は、全日制の課程、定時制の課程の別を記入し、学科名は普通科、専門学科、総合学科の名称を記入します。
⑫ 校長氏名印, 学級担任者氏名印
校長及びホームルーム担任者氏名は、年度当初か、生徒が転入学してきたときに記入します。同一年度内に校長又はホームルーム担任者が代わった場合には、そのつど後任者の氏名を併記します。
指導に関する記録 (様式2)
指導に関する記録では、以下の点について記入していきます。
- 各教科・科目等の学習の記録
- 総合的な探求の時間の記録
- 特別活動の記録
- 総合所見及び指導上参考となる諸事項
- 出欠の記録
① 各教科・科目等の学習の記録
各教科・科目等の学習の記録には、評定や修得単位数に加えて、観点別評価を記入するようになりました。 左から「知識・技能」(職業に関する教科・科目は「知識・技術」)、「思考・判断・表現」及び「主体的に学習に取り組む態度」の評価を記入します。
② 総合的な探求の時間の記録
学習活動、観点、評価を記入します。観点は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つで固定です。学習活動と評価は学年別に簡潔に記入します。
総合的な探求の時間の記録は、別記事で詳しく解説しています。
③ 特別活動の記録
各学校が自ら定めた特別活動全体に係る評価の観点を記入した上で、各活動・学校行事ごとに、評価の観点に照らして十分満足できる活動の状況にあると判断される場合、〇印を記入します。
④ 総合所見及び指導上参考となる諸事項
生徒の優れている点や長所、進歩の状況など、以下の事項について記述します。
- 各教科・科目や総合的な探究の時間の学習に関する所見
- 特別活動に関する事実及び所見
- 行動に関する所見
- 進路指導に関する事項
- 取得資格
- 生徒が就職している場合の事業所
- 生徒の特徴・特技、部活動、学校内外におけるボランティア活動など社会奉仕体験活動、表彰を受けた行為や活動、学力について標準化された検査に関する記録など指導上参考となる諸事項
- 生徒の成長の状況にかかわる総合的な所見
▼総合所見の記入例▼
総合所見は、別記事で詳しく解説しています。
また、所見専門AI「楽らく所見くん」を使うと、簡単に仕上がります。書きづらい生徒のリフレーミングも任せられますし、作業効率が圧倒的に上がります。AIの学習機能は完全オフに設定されているので、AIが生徒の情報を収集する心配もなく、安心して使えます。詳しくは別記事で解説しています。
「楽らく所見くん」は時間短縮になるので本当にオススメです。
⑤ 出欠の記録
授業日数:当該生徒の所属する学科及び学年について授業を実施した年間の総日数を記入します。
出席停止・忌引等の日数:以下の日数を合算して記入します。
- 学校教育法第11条による懲戒のうち停学の日数、学校保健安全法第19条による出席停止の日数及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第19条、第20条、第26条及び第46条による入院の場合の日数
- 学校保健安全法第20条により、臨時に学年の中の一部の休業を行った場合の日数
- 忌引日数
- 非常変災等生徒又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合などで、校長が出席しなくてもよいと認めた日数
- 選抜のための学力検査の受検その他教育上特に必要な場合で、校長が出席しなくてもよいと認めた日数
<参考:学校保健安全法第19条による出席停止の日数>
「備考」:以下の点を記入します。
- 「出席停止・忌引等の日数」の内訳及び理由等
- 「欠席日数」が7日以上の場合の主な理由
- 転入学した生徒について、前に在学していた学校における出欠の概要
要録記入の参考となる資料
所見は「楽らく所見くん」にお任せ! 圧倒的な業務効率を実現!
所見文は、生成AIを使うと簡単に作成できます。
所見文を事前学習した「楽らく所見くん」なら、生徒の特徴を入力するだけで所見例文を自動作成してくれます。書きづらい生徒やリフレーミングも任せられるので、作業時間を大きく短縮できます。
私も使っていますが、最新版AI の ChatGPT4o 搭載だけあって、かなり優秀です。
行動だけでなく、成長もしっかり記載くれるので、とても役立っています。入力された内容から、生徒の成長をAIがイメージして出力してくれます。実際、生徒の意外な成長に気付かされることも多いです。
「楽らく所見くん」については、実際に使った上で、別の記事でレビューしています。圧倒的な業務効率でイチオシです。