総合的な学習(探求)の時間の所見例(小学校・中学校・高校, 3観点対応)

指導要録の作成で困ることの1つが「総合的な学習(探求)の時間」です。

この部分はどう書けばよいか迷いがちですが、文部科学省が提供する指導要録の記入例を参考にすることで、簡潔で効果的な記入が可能です。

この記事では、文部科学省の資料に基づき、具体的な記入方法や注意点をわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次
【小中高共通】所見づくりのポイント ~文部科学省 通知
小学校指導要録の書式と所見文例
中学校指導要録の書式と所見文例
高等学校指導要録の書式と所見文例
所見は「楽らく所見くん」にお任せ! 専門AIで楽に作成!

総合的な学習(探求)の時間の評価文は、所見作成専門のAI「楽らく所見くん」を使うと、時間をかけずに作成できます。学習内容を入力するだけなので簡単です。

▼「楽らく所見くん」サンプル▼

楽らく所見くんは、別記事で詳細にレビューしています。

総合的な時間の評価だけでなく、所見や学級通信の作成もでき、大幅な業務改善になるのでイチオシです!

【小中高共通】所見づくりのポイント ~文部科学省 通知~

総合的な学習(探求)の時間の所見は、以下の順序で書くと楽に仕上がります。

所見作成の流れ
  1. 学習内容を端的に書く
  2. 学習内容に加えて、身についた力を書く
  3. 顕著な学びがあった場合は追記する

▼サンプル▼

学習活動: 地域をつなぐ「防災マップ」づくり
地域の防災拠点や危険箇所について調査し、地図にまとめる活動を通じて、自分たちのまちが抱える防災課題についての理解を深めた。また、防災マップ作成の際には、高齢者や小さな子どもたちが避難する際の視点を意識し、避難経路や備蓄所の情報を効果的に伝える方法についてグループで話し合い、意見を集約する力を発揮した。

黄色:学習内容 / ピンク:身についた力

評価の観点は、以下の3点をそのまま書くだけで十分です。

評価の観点
  • 知識・技能
  • 思考・判断・表現
  • 主体的に学習に取り組む態度

それでは、文部科学省の通知をもとに、所見作成のポイントをもう少し詳しく解説していきます。

ポイント① とにかく端的に書く!

総合的な学習の時間については記入欄が小さいので端的に書く必要があります。学習内容は学校や学年が設定した年間テーマで構いませんし、観点も3観点を記載するだけで十分です。

評価についても、文部科学省の提示する例は文字数が多いですが、現実的には紙面を考えるとさらに端的に書かざるを得ないでしょう。

端的すぎて不安になる方もいるかもしれませんが、文部科学省の通知でも端的に書くよう次のように指示があります。安心して端的に記載しましょう。

学習活動及び各学校が自ら定めた評価の観点を記入した上で, それらの観点のうち,  生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記入する等, 生徒にどのような力が身に付いたかを文章で端的に記述すること

(小学校, 中学校, 高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知))

ポイント② 学習活動だけでなく、身についた力を書く

評価は単に学習活動だけを記載するのではなく、学習の結果どのような力が身についたのかまで記載する必要があります。

「学習活動及び各学校が自ら定めた評価の観点を記入した上で, それらの観点のうち,  生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記入する等, 生徒にどのような力が身に付いたかを文章で端的に記述すること」とされている。記述に当たっては, 単なる活動のみにとどまることがないよう留意する必要がある。

(「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な探究の時間 p.57」中学校 p.54-55)

ポイント③ 顕著な学びがあった場合は追記する

生徒の様子を見て、顕著な学びがあった場合には評価規準に関わらず記載することが望ましいとされています。こちらの計画以上に児童生徒に学びがあった場合は、書いて構わないということです。

評価規準にかかわらず教育的に望ましい成長や価値ある学習状況が現れた場合, 生徒の姿を価値付け, そのよさを記述することも大切なことである。

(「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な探究の時間 p.58」中学校 p.55)

「総合的な学習(探求)の時間」- 指導要録の書式と記入例

小学校・中学校・高校の順で、指導要録の書式と記入例を文部科学省の資料に沿って解説していきます。

小学校指導要録の書式と記入例

小学校指導要録では、様式2(指導に関する記録)の右側に総合的な学習の時間について評価する箇所があります。「学習活動」「観点」「評価」となっており、学年ごとに記載します。

小学校指導要録様式2 指導に関する記録 総合的な学習の時間の記録

文部科学省の記入例

外国人を支援する行政機関の取組を知ることでまちに暮らす人の多様性こそがまちの魅力につながっていることや,一人一人の外国人の存在が守られていることへの理解を深めた。また,地域の外国人との意見交流会の開催の理由について共生の実現に有効か,自分たちにとって意味があるか,実現可能かの三つの視点を結び付けて明らかにした。
文部科学省「「指導と評価の一体化」のための 学習評価に関する参考資料 小学校 総合的な学習の時間」p.55

そのほかの所見例

文部科学省の例を参考に作成しています。学年と観点は割愛しています。

学習活動: 地域をつなぐ「防災マップ」づくり
地域の防災拠点や危険箇所について調査し、地図にまとめる活動を通じて、自分たちのまちが抱える防災課題についての理解を深めた。また、防災マップ作成の際には、高齢者や小さな子どもたちが避難する際の視点を意識し、避難経路や備蓄所の情報を効果的に伝える方法についてグループで話し合い、意見を集約する力を発揮した。

学習活動: 森林を守る「エコプロジェクト」
地域の森林について調査し、現状の課題を理解するとともに、森林保全に向けた取り組みを提案した。また、班ごとに森林の活用方法を話し合う中で、環境保全と地域活性化の両立を考え、自分たちにできる具体的なアクションプランを作成した。発表では、他の班の意見も参考にしながら、発表資料を工夫し、分かりやすく伝えようとする姿が見られた。

自然とともに生きる「水の循環」
地域の川や湖を調査し、水がどのように循環し生活に役立っているかを学びながら、自然環境の大切さを理解した。また、調査結果を基に、水質改善に向けた具体的な方法を班で話し合い、視覚的に伝えるためのポスターを作成した。自分の考えをしっかりと伝えることで、他の児童にも水環境への意識を広げる姿が見られた。

健康な未来を目指して「フードロスを考える」
食品廃棄の現状について調査し、自分たちの日常生活がどのように影響しているかを学んだ。また、地元の飲食店や家庭での取り組みを参考にしながら、フードロス削減のために自分たちができる工夫を提案し、学んだ内容をポスターにまとめて発表した。地域の方々に直接インタビューを行い、その声を活動に反映するなど、主体的に取り組む姿勢が見られた。

地域を知る「昔のくらし探検」
地域に残る昔の道具や建物について調査し、それらがどのように人々の生活を支えてきたのかを学んだ。また、現代の生活との違いを比較する中で、昔の知恵や工夫の価値を見出し、体験発表を通じて他の児童にも共有した。調べた内容を絵や図を用いて分かりやすくまとめ、全体発表で積極的に発言した。

中学校指導要録の書式と記入例

中学校の指導要録では、様式2(指導に関する記録)の右側に記入スペースがあります。学年ごとに「学習活動」「観点」「評価」の3つを記入します。

中学校指導要録様式2 指導に関する記録 総合的な学習の時間の記録

文部科学省の記入例

文部科学省「「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な学習の時間」 p.55

そのほかの所見例

文部科学省の例を参考に作成しています。学年と観点は割愛しています。

地域防災に関する探究活動
身近な地域の防災について探究する中で、自然災害の発生メカニズムや地域の防災対策を理解した。防災マップの作成や防災啓発活動に取り組む中で、地域の方々にとって分かりやすい情報発信を意識し、自ら積極的に地域住民へ働きかけた。主体的に学びを深め、地域社会への関心や貢献意識を高めた。

地球温暖化防止に関する啓発活動
地球温暖化防止のための対策について学び、再生可能エネルギーの活用やCO₂削減に向けた個々の取り組みを探究した。ポスター制作や発表活動では、視覚的に分かりやすく伝える工夫を行い、聴衆に対して具体的な行動を促す意識が見られた。知識を活かしながら主体的に行動し、表現力の向上も見られた。

地元の観光資源を生かした地域振興
地域の観光資源について調べる中で、地元の魅力を再発見し、観光振興に向けた提案を行った。パンフレットや動画を制作し、情報を効果的に発信する方法を工夫したことで、地域の魅力を伝える力を養った。主体的に取り組む姿勢があり、地域社会に対する関心や理解を深めた。

福祉活動を通じた地域貢献
高齢者や障がい者福祉について学ぶ中で、地域の福祉施設との交流活動を行い、支援の重要性やコミュニケーションの大切さに気付いた。相手の立場を考えて工夫した交流活動を実践し、思いやりの心や協調性を育んだ。主体的に地域と関わりながら、人とのつながりの意義を理解した。

高等学校指導要録の書式

高校の指導要録では、様式2(指導に関する記録)の2ページ目上部に記入欄が用意されています。

高等学校指導要録様式2 指導に関する記録 総合的な学習の時間の記録

高校の記入欄は中学校と違い、学年ごとに分かれていません。そのため、記載する際には「必要に応じて指導を行った学年(年度)を付記するなど, 各学校の実態に応じて工夫して記載すること」となっています(「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な探究の時間 p.58)

文部科学省の記入例

文部科学省「「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な探究の時間」 p.58

そのほかの所見例

文部科学省の例を参考に作成しています。学年と観点は割愛しています。

「地域の防災力向上を目指して」
過去の災害事例や気象データを基に地理的リスクを分析し、地域住民向けの防災マップを作成した。また、防災専門家の助言や住民との意見交換を通じて、避難計画の改善を図った。さらに、住民参加型の防災ワークショップを企画・実施し、防災意識の向上に貢献した。今後も地域防災力向上に継続して取り組もうとする姿勢が見られた。

「地域の観光資源を生かしたまちおこし」
地域の観光資源について調査し、歴史や文化、自然環境の魅力を発信する企画を立案した。地元観光協会や住民と協力し、観光イベントを実施することで地域活性化に貢献した。活動を通して地域の魅力を再認識し、持続可能なまちづくりに向けた意欲と行動力が見られた。

「地元産業の魅力を発信する」
地元農業の活性化をテーマに、農家への聞き取り調査やデータ収集を行い、地域農産物の課題と可能性を分析した。その結果をもとにPR方法を考案し、地域の祭りや直売所で農産物の魅力を伝える活動を行った。地域経済の発展に対する理解を深め、主体的に課題解決に取り組む姿勢が見られた。

「持続可能な社会を目指したエネルギー活用」
再生可能エネルギーの利用をテーマに、風力や太陽光発電について先行研究やデータをもとに調査を進めた。地域への導入可能性を探り、住民や専門家との意見交換を通して提案をまとめた。エネルギー問題に対する意識を高め、持続可能な社会づくりに向けて主体的に考え、行動しようとする姿が見られた。

高校指導要録については、こちらの記事で詳しく解説しています。

所見の作成は「楽らく所見くん」がイチオシ

総合的な学習(探求)の時間の評価や所見は、生成AIを使うと簡単に作成できます。

所見文を事前学習した「楽らく所見くん」なら、学習内容や生徒の特徴を入力するだけで評価や所見例文を自動作成してくれます。書きづらい生徒やリフレーミングも任せられるので、作業時間を大きく短縮できます。

私も使っていますが、最新版AI の ChatGPT4o 搭載だけあって、かなり優秀です。

行動だけでなく、成長もしっかり記載くれるので、とても役立っています。入力された内容から、生徒の成長をAIがイメージして出力してくれます。実際、生徒の意外な成長に気付かされることも多いです。

「楽らく所見くん」については、実際に使った上で、別の記事でレビューしています。

参考資料

「「指導と評価の一体化」のための 学習評価に関する参考資料小学校 総合的な学習の時間」(PDF)

文部科学省「「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料中学校 総合的な学習の時間」(PDF)

文部科学省「「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料高等学校 総合的な探究の時間」(PDF)

文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」