実は英検1級・英国修士(TESOL/英語教授法)、現役英語教師のASAKOROKOです。
今回のテーマは、「主体的に学習に取り組む態度」の評価です。
この記事では、できるだけわかりやすく、現実的な対応方法を紹介していきます。
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1. 「主体的に学習に取り組む態度」とは
「主体的に学習に取り組む態度」は、新学習指導要領で従来の「関心・意欲・態度」を置き換える形で設定されました。
「関心・意欲・態度」とは、次の2つの側面があるとされた点で異なります。
●粘り強い取組を行おうとする側面
●自らの学習を調整しようとする側面
次のような図でも説明されています。
粘り強い取組と学習の調整の違いがわかりづらい時は、スポーツや楽器の練習を思い出してみてください。
たとえば、体育のソフトボールの授業で、遠投の距離を伸ばすという課題を設定したとします。この場合、練習量が粘り強い取組です。友だちから助言をもらったり、自分が投げるところを動画に撮影したりして練習方法を見直していくのが調整の側面です。
英語の授業では、次のような方法が考えられます。
【課題】ネイティブのような発音を身につけよう
【評価】発音の習得過程:動画の撮影やスマホアプリの利用などの工夫
【課題】ペアで2分間スモールトークをしよう
【評価】会話ストラテジーの習得過程:つなぎ言葉、あいずち
「主体的に学習に取り組む態度」については、あくまでも「態度」なので、結果までは求めないようにしましょう。
なお、評価には、成績に反映させない評価(assessment)と反映させる評価(evaluation)があります。ここでは、成績に反映させる評価(evaluation)についてのみ解説していきます。
2. 評価資料を決める
評価資料を決める時は「粘り強い取組を行おうとする側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」を評価できるよう計画しておきましょう。
たとえば、「ペアで2分間スモールトークをしよう」という課題を設定した場合、次のような形式のふりかえりシートが考えられます。
このふりかえりシートでは、ペアワークのふりかえりと家庭学習の内容を書くようになっています。粘り強い取組は家庭学習への取り組み状況で、学習の調整はペアワークのふりかえりから評価していきます。
また、次のような学習計画・振り返りシートを利用して、定期考査などへの取り組みを評価する方法も考えられます。
3. 観点別評価の算出方法を決める
評価資料が決まったら、観点別評価の算出方法を決めていきましょう。
【評価の例】
この例では、A = 3点, B = 2点, C = 1点 に換算し、最終的に観点別評価にまとめています。評価資料は信頼性を担保するためにも、複数用意するのがオススメです。
シラバスには、次のような記載が考えられます。
シラバス
「主体的に学習に取り組む態度」は、次の資料にもとづき abc で評価します。
◉調べ学習とレポート
◉2分間スモールトークとふりかえりシート
◉学習計画表と考査ふりかえりシート
生徒に対してもできるだけ公開することで、教師の主観によらない公平性のある評価に努めていることが伝わりやすくなります。
4. 個別のルーブリックをつくる
個別の評価資料ごとに、ルーブリックを作成していきます。
【2分間スモールトーク(ふりかえりシート)の例】
評価 | 粘り強い学習 | 学習の調整 |
A | 自主的な取り組みを継続している | 学習をふりかえり、取り組む内容を決めている |
B | 自主的な取り組みをしている | 学習のふりかえりをしている |
C | A, B に該当しない | A, B に該当しない |
ルーブリックは、生徒の具体的な取り組みを想定すると作りやすいです。もし可能であれば、前年度の生徒の資料を参考にしましょう。
初年度や評価資料ごとにルーブリックを作成している余裕がない場合は、特段優れているものをA, 特に努力を要するものをCとして、AとCだけチェックしていく方法もあります。
ルーブリックはシラバスにまで掲載する必要はないかもしれませんが、生徒にも開示することで生徒の不信感払拭につながります。可能なかぎりブラックボックス化を避けていきましょう。
5. まとめ
「主体的に学習に取り組む態度」は評定にも関わるので、生徒や保護者からも公平性が求められる部分です。
教師側も初めての取り組みでどうしていいかわからなくなりますが、決まってしまったものは避けられないので対応を検討していきましょう。
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