CELTAとは?
CELTA(セルタ)は、英語を母語としない人を対象に、英語を教えるための国際的な指導資格です。ケンブリッジ大学英語検定機構が認定するプログラムを修了することで取得できます。国際的に非常に高い評価を受けています。
最近では、日本人の取得者も増えています。英語教師としては、ぜひ取得を検討したいところですよね。
この記事では、資格取得のメリットや難易度、日本での取得方法、日本人の合格率、受講費用などについて、わかりやすく解説していきます。
実は、日本にいながら安く取得する方法があります
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この記事の執筆者(ASAKOROKO)
英検1級、英国修士(TESOL/英語教授法)、現役英語教師。TESOLは資格も持っており、すべてオンラインで、日本で働きながら取得。資格取得の豊富な経験を生かし、今回はCELTAについて解説していきます。
【目次】
CELTA(セルタ)とは? ~ケンブリッジ認定の英語指導資格
CELTAとTESOLの違い
CELTAを取得するメリット
CELTAをオススメしない人
CELTAの学習内容
CELTAの評価方法
CELTAの難易度と日本人の合格率, Pass Aはどれくらい難しい?
無事に合格するには? 不合格になるのはどんな時?
CELTAを日本で取得する方法
受講資格
受講方法
受講費用(世界的な相場)
海外オンラインと国内スクールを比較
留学とオンラインスクールを比較
受講までの流れ
失敗しないスクールの選び方
CELTA以外の選択肢
CELTA(セルタ)とは? ~ケンブリッジ認定の英語指導資格
CELTAは、ケンブリッジ大学英語検定機構認定の国際的な英語指導資格です。世界中の大学や語学機関によって認識され、受け入れられています。
2018年にケンブリッジ大学英語検定機構が世界約60カ国、600を超える英語教師の求職情報を調査したところ、約75%がCELTAを要件としてました。
CELTAは教育の質が非常に高いのも特徴です。1996年には英国政府機関によって英国資格枠組みレベル5に認証されるなど、政府からも高く評価されています。
CELTAとTESOLの違い
CELTAと同様の資格にTESOLがあります。CELTAとTESOLの違いは、ケンブリッジ大学の認定を受けているかどうかです。また、CELTAの方が少人数制で授業実習もあり、実践にフォーカスしています。
その一方で、TESOLは自分のスケジュールに合わせたフレキシブルな学習が行えたり、費用が抑えられるというメリットがあります。
英語指導の国際的な資格については、別の記事で一覧としてまとめています。資格選びの参考にご活用ください。
CELTAを取得するメリット
CELTAを取得することで得られるメリットは、次の3つです。
- 就職や転職、大学院入試で有利になる
- 実践的な指導力を高めることができる
- 世界基準の英語教師として自信がつく
1. 就職や転職、大学院入試で有利になる
CELTAは日本国内でも高く評価されています。すでに歓迎や優遇要件として求人票への記載が始まっており、ニーズが高まっています。
CELTAは、大学院進学でも有利になります。上智大学など国内外のトップ校でも認められています。学部卒業から時間が経ってしまった方、学部で英語以外を専攻した方にもオススメです。
2. 実践的な指導力を高めることができる
CELTAでは、実践的な指導力の育成を目標にしています。6時間の授業実習とインストラクター1人に対して受講生6人までの少人数制で、着実にスキルアップできます。
実際、CELTAの保有者は、実務ではTESOLの修士号に引けを取らないばかりか、それ以上ということもあり得ます。
3. 世界基準の英語教師として自信がつく
CELTAは、英語教師として世界基準の実力があることの証明です。英語教師としての自信もつきます。
私自身、イギリスのプログラムでTESOLの資格や修士号を取得してから、ネイティブスピーカーからの見られ方が変わったと感じました。
挑戦してみるのがオススメです。
CELTAをオススメしない人
CELTAをオススメしない人は、英語教師としてのキャリアを目指さない人です。
例えば、副業としてアルバイトで英語を教えるつもりであったり、1〜2年だけ英語教師で食いつなごうと考えている方です。
そのようなケースでは、CELTAより受講料が格段に安い TESOL の資格をオススメします。
CELTAの学習内容と評価方法
CELTAの学習内容
CELTAでは、授業実習を通して実践的な指導力を身につけるのが特徴です。
具体的な学習内容は、以下の通りです。
- インプットセッションで、知識を学ぶ
- トレーナーの監督下でレッスンを計画する
- 実際の生徒を相手に6時間の授業を行う*
- 実習授業に対するフィードバックを受ける
- 他の受講者の実習授業を観察する
- 経験豊富な講師の授業を観察する
*実習環境(生徒やテキストなど)はスクール側で用意してくれます。
CELTAの評価方法
CELTAは、実習とレポートで評価が決まります。レポートでは、次の内容について記述します。
- 学習者のニーズ分析と対応
- 指導のための言語分析
- 4技能の指導
- 実習授業の振り返り
レポートの文字数は750~1000語です。日本語に換算すると1500~2000語です。英語でのレポートが初めてという方でも安心して取り組めます。
CELTAの難易度と日本人の合格率
CELTAの難易度とレベル
CELTAは、ネイティブスピーカーも受講する講座を修了する必要があり、高い英語力が求められます。ですが、指導が行き届いており、ノンネイティブを含めても合格率は90%以上と非常に高く、取得しやすい資格です。
CELTA以外の資格とのレベル比較は、別の記事で行なっています。
日本人の合格率
日本人の合格率も90%を超えています。自分から辞退しなければ、みなさん合格されています。
ちなみに、CLETAの成績は、Pass A / Pass B / Pass / Fail の4段階です。修了証を受け取るには、少なくとも Pass 以上の成績が必要です。
世界的には、Pass A が上位5%、Pass B が次の25%、Passが75%程度になっています。日本での割合は、次のようになっています。
Pass | Pass A | Pass B | Withdrawn (辞退) | Fail (不合格) | |
---|---|---|---|---|---|
2021年 | 73.5% | 0.0% | 23.5% | 2.9% | 0.0% |
2020年 | 77.8% | 0.0% | 16.7% | 5.6% | 0.0% |
2019年 | 75.8% | 1.5% | 22.7% | 0.0% | 0.0% |
無事に合格するには? 不合格になるのはどんな時?
みなさん合格されていますし、心配する必要はありません。実際、CELTAで不合格にまで至るケースは非常に少ないです。
なぜなら、CELTAでは課題の再提出が認められているからです。しかも、講師からのフィードバックを受け、再提出した場合でも成績には影響ありません。
もし万が一に4つある課題のうち1つが不合格になってしまった場合は、Pass Aは断念しなければなりませんが、Passの可能性は十分にありますし、Pass Bも可能です。
4つのうち、2つの課題で不合格になると総合判定がFailになります。ですが、実際のところ、講師のサポートもありますし、2つの課題で不合格にまで至るケースは非常に稀です。インストラクターの指示に反抗しない限り大丈夫です。
CELTA受講中は、これまでの英語指導観は横に置いて、CELTA流の教え方に挑戦するのが高評価のコツです。
CELTAを日本で取得する方法
CELTAの受講資格
CELTAは、英語指導経験者はもちろん、未経験者でも受講できます。受講要件は、次のとおりです。
- CEFR C1 以上の英語力
- 高校卒業もしくは同程度の学歴
- 18歳以上
CEFR C1 は、IELTS 7.0 や 英検1級、TOEIC945点 相当です。英語力はあくまでも目安です。実際の基準はスクールによって微妙に異なります。
スコア提出は求められないので、TOEIC 860点前後, 英検準1級以上あるなら申し込んでみるのがおすすめです◎
▼オススメのスクールはこちらの記事で解説しています
CELTAの受講方法
CELTAの受講方法は以下の通りです。
- 対面・オンライン・ブレンド(対面とオンラインの組み合わせ)から、1つを選択します。
- フルタイム、パートタイムのどちらかを選択します。フルタイムの場合で4~5週間、パートタイムでは12~14週間程度です。
どの方法で取得しても、修了書は同じです。オンラインやパートタイムといった記載はされません。
表にまとめると、次のようになります。
フルタイム | パートタイム | |
---|---|---|
対面 | 4~5週間 | 12~14週間 |
オンライン | 4~5週間 | 12~14週間 (例:月/水 18:15-22:00) |
ブレンド | 4~5週間 (例: オンライン3週間, 対面で実習2週間) | 12~14週間 (例: 週2回夕方に対面実習, その他オンライン) |
オンラインコースをパートタイムで受講すれば、日本で働きながらの取得も可能です◎
CELTAの受講費用(世界的な相場)
CELTAの受講費用は、国や地域、スクールによって異なります。実は、日本やアジア圏は高額な分類で、本場欧州は意外にもリーズナブルです。
最安値 | 平均 | 最高値 | |
---|---|---|---|
全世界 | €933 (約15万円) | €1,646 (約25万円) | €2,567 (約40万円) |
欧州 | €1,044 | €1,452 | €1,940 |
アジア | €1,340 | €1,719 | €2,294 |
北米 | €1,535 | €1,850 | €2,392 |
アフリカ | €933 | €1,187 | €1,844 |
オンライン・パートタイムで受講する場合、相場は23万円前後です。
海外オンラインと国内スクールを比較
現在、日本でCELTAを提供しているのは、神戸にある1校のみです。
受講料は32万円です。
非常に高額なので、海外のスクールをオンラインで受講するのがオススメです。
神戸で受講する場合と比較してみます。
海外オンライン | 日本(神戸) | |
---|---|---|
授業料 | 約25万円 | 32万円 |
滞在費 | 0円 (自宅) | 16万8千円 1泊6000円x4週間* |
交通費 | 0円 (自宅) | 神戸までの交通費* |
総額 | 約25万円 | 50万8千円+交通費 |
授業料だけでも約7万円、滞在費や交通費も合わせると約25万円の差になります。
留学とオンラインスクールを比較
CELTAは留学でも取得することができます。オンラインで提供される2020年までは留学して取得されている日本人も多くいました。
現在では、オンラインの方が主流になっています。オンラインと留学を比較すると次のようになります。
オンライン | 留学 | |
---|---|---|
受講方法 | オンライン・パートタイム | 対面・フルタイム |
受講期間 | 12~14週間 | 1ヶ月 |
費用 | 約25万円 | 授業料 渡航費、現地滞在費 |
カリキュラム (教育効果) | 同じ (ケンブリッジ大学認定) | 同じ |
証明書 | 同じ (オンラインの記載なし) | 同じ |
CELTAは対面でもオンラインでも教育内容は完全に同じです。取得できる証明書にオンラインやパートタイムといった記載はされません。
オンラインでも対面同様の教育効果が確保されています。実際に、ケンブリッジ大学が対面とオンラインでの効果を測定し、差がないことを確認した上でプログラムが提供されています。
それなら、渡航や滞在費用が抑えられ、長期にわたって仕事を休まなくても受講できるオンラインの方が良いですよね。自宅なら参考書なども手元にありますし、楽ですよ。
CELTA受講までの流れ
CELTA受講までの流れは、次の通りです。
- 申し込み
- 事前課題に取り組む
- インタビュー
- 申し込み可否判定
- CELTAに期待することは何ですか?
- 基本的な英文法に関する理解(例: 次の英文の間違いは何ですか? “I’ve been to Beijing two years ago.”)
- 英語指導のアイディア(例: “Have you ever…?”とその応答を練習する学習者のスピーキング時間を、どのように最大化させますか?)
- ティーチャー・トーク(例: 次の発話を英語初心者クラスで指導する場合を想定して、簡略化してください。Now I’d like you to take your pens and write the words I say. / 模範解答:Please, listen and write)
申し込み方法やエッセイの書き方、事前面談については、Oxford TEFLを例に別の記事で解説しています。
失敗しないスクールの選び方
失敗しないスクール選びのポイントは、次の3つです。
① 自分に合った受講方法を選ぶ
自分に合った受講方法やスケジュールで開講しているスクールを選びましょう。
例えば、対面・フルタイムでのコースは、短期間に集中して学習しやすいというメリットがあります。ですが、CELTA漬けの毎日になるので、気分転換がしづらいかもしれませんし、そもそも社会人が1ヶ月も会社を休むのは現実的ではないかもしれません。
オンライン・パートタイムのコースは、日本で働きながら参加することも可能です。仕事終わりと休日では、どちらが自分に向いているのか、通勤にかかるスケジュールも考えながら申し込みましょう。
② 合格率が高く、サポートが充実しているスクールを選ぶ
CELTAの合格率は、国やスクールによってバラつきがあります。合格率を公表していなかったり、90%を下回るスクールは要注意です。
また、英語力に不安を感じる場合は、チューターからのサポート体制も重要です。
個別に対応をしてくれるスクールなのか見極めましょう。個別に対応してもらえる場合は、対応可能な時間数が記載されています。
③ 受講料が安いスクールを選ぶ
CELTAは、世界どこで受講しても同じカリキュラムです。それなら安いスクールの方がいいですよね。
CELTAの受講料には地域差があります。受講料が高いからといって、サポートが充実しているとか、そういうことはありません。
受講料が安くても、スクールが多く適正な競争が行われている欧州の方がサービスが充実している傾向にあります。意外にも日本から参加しやすいコースもありますよ。
詳しくは、別の記事で解説しています。働きながらでも受講でき、日本のスクールより約8万円も節約できます。
CELTA以外の選択肢 Diploma in TESOL
CELTAは自信を持ってオススメできる資格ですが、費用やスケジュールの面で難しいケースもありますよね。その場合にオススメなのが Diploma in TESOL です。CELTAと同じ英国資格枠組みレベル5の認証を受けているコースもあります。
CELTAが受講できなくても、英語教師としてのスキルアップまで諦める必要はありませんよ。
参考までに、CELTAと同じ英国政府資格枠組みレベル5の認証を受けているコースをご紹介しておきます。