英検1級、英国修士(TESOL/英語教授法)、英語教師のASAKOROKOです。
速読って難しいですよね。英文を早く読もうとして内容が頭に入って来なかった経験がある人も多いはずです。
読むスピードが遅いと試験時間が足りないといった原因にもなります。なんとしても改善したいところです。
この記事では、第二言語習得理論の知識と私自身が大学院で速読をしていた経験をもとに、読むスピードを上げる方法を解説していきます。
今まで色々試したけど上手くいかなかったという方も、ぜひ参考にしてみてください。
英語で読むスピードを上げるには
世の中の速読術の大半は役に立たない
正直に言います。読解速度と理解度はトレードオフの関係です。読解速度を高めれば理解度は落ち、速度を遅くすれば理解度は高まります。
日本語だろうと英語だろうと同じです。速く読みすぎると内容が頭に入らなくなるのは自然なことで、回避できません。
では、どうするのか。解説していきます。
英語で読むスピードを上げる方法
英語で読むスピードを上げる方法は、大きく次の2つです。
1つは、読む部分や回数を減らす方法です。読むスピードは高めず、読む量を減らすという考え方です。これはテクニックなので、短期間で習得が可能というメリットがあります。
もう1つは、読むスピードを根本的に早くする方法です。こちらはトレーニングが必要で時間がかかります。
もう少し具体的にまとめると、次のようになります。
読む回数を減らすテクニック
1. 設問に先に目を通す
試験では必ず設問に先に目を通します。そうすることで、問題文を読む→設問を読む→問題文を読むといった問題文の2度読みを防ぎます。
試験以外の場面では、自分の知りたい情報を明確にします。英文を読んでいるうちに、何が知りたかったのか忘れるケースも多いです。読む前にチェックリストにするのがオススメです。
基本中の基本テクニックとして身に付けておきましょう。
2. 文章のフォーマットを利用する
文章には決まったフォーマットがあります。上手に活用すると、読む範囲を狭めることができます。
一般的な説明文では、最初の段落でテーマや構成について説明されています。ただし、試験では構成については明確に言及されない傾向があります。その場合はテーマがわかれば十分です。
論文では、結果だけ知りたいのであれば Abstract や Conclusion だけを読めば解決するかもしれません。
企業で使う Instruction もフォーマットがあるはずです。メールなら件名を必ず先に見るなど、癖をつけると余計なリーディングを避けられます。
3. 全体から細部にアプローチする
長文では、全体像を把握してから、細部にアプローチします。
全体像を把握するには、次の3点のみを時間をかけて読みます。
- タイトル
- 最初の段落
- 各段落の1~2文目
タイトルは大きな手がかりです。どんな話題なのか予測をつけます。ただし、試験では極端に短いタイトルとなっており、あまり役立たない場合も多いです。
最初の段落はテーマや本論の構成の説明であることが多いです。試験では構成までは明示されないので、テーマがわかれば十分です。
各段落の1〜2文目はトピックセンテンスです。段落の内容がコンパクトにまとめられています。
細部へのアプローチは、上記3つのステップを行なってからです。必要な情報がどの段落に書かれているのか推測し、必要な部分だけを読みます。
4. 段落ごとに素早く要約する
各段落の内容を一言で素早く要約すると、全体像の把握がしやすくなります。日本語でも構いません。
要約を書く最大のねらいは、次の3つです。
- 英文の読み直しを防止する
- 多くの設問は段落の要旨がわかれば答えられる
- 読解の正確さを確認する
要約をメモしておくことで、英文の読み直しの防止に繋がります。英文の読み直しは、試験であれ日常や仕事で英語を使うケースであれ、速読の天敵です。
試験では、多くの設問は段落の要旨を答えさせるものです。要約文と一致する選択肢を選べば解決することも多いです。
要約は読解の正確さを確認するのにも役立ちます。各段落の要約文をつなぎ合わせたときに、全体を通して話に一貫性や論理性があるかを確認します。もし、論理的でなければ、あなたの読解自体が間違っている可能性もあります。
読むスピードを根本的に早くする方法
5. アウトプットを徹底する
アウトプットを徹底すると、リーディング速度も高まります。何度も繰り返し英語を使うことで、脳内で英語を処理する速度が向上するからです。
アウトプットの中でもオススメなのはスピーキングです。書くよりも口に出した方が早いので、その分だけ英語に触れる回数を増やすことができます。
6. 日頃から大量の英文を処理する
日頃から大量の英文を処理していると、英文の読解速度が上がります。
みなさんの周りに、やたらと読書が早い人はいませんか?漫画でも構いません。
そういう人は決まって大量に読んだ経験があります。読書スピードは読んだ量に比例するからです。
英語でも同じです。時間はかかりますが、読めば読むほど、読解スピードは早くなります。多読のコツは別記事で解説しています。
速読すると英文が頭に入らない問題を解決する
速読すると英文が頭に入らない原因と解決策
速読すると英文が頭に入らないのは、脳内の処理能力を超えて情報を与えているからです。
リーディングでは、長期記憶から単語や文法の知識を一時的に、短期記憶に呼び出して処理しています。
短期記憶には限度があります。あまりに早く情報を与えると、長期記憶から短期記憶への情報の呼び出しがストップします。
最終的に、速読しようとすると意味が取れない、英文の音読はすらすらと出来るのに意味がわからない、と感じることになります。
解決策① 背景知識を活用する
解決策の1つ目は、背景知識の活用です。背景知識とは、読んでいるトピックに関する知識です。
背景知識があれば、内容の推測が出来るようになります。極端な話、英文を全て正しく理解しなくとも、内容は正しく理解できるようになります。
速読する時は、まずはテーマを把握するようにします。テーマが把握できれば、背景知識が活性化され、楽に読み進めることができます。
解決策② 重点的に読む箇所を見抜く
解決策の2つ目は、重点的に読む箇所を決めることです。極端な言い方ですが、これは重点箇所はしっかりと読み、他は読まないという戦略です。読む量が減るので、結果的に早く内容の把握ができます。
文章にはフォーマット(形式)があります。これを利用すれば、大部分を読まずに内容を理解することが可能です。段落構成やトピックセンテンスを活用していきましょう。
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