仮定法のわかりやすい教え方、指導のコツ(中学校・高校, if/wish, 仮定法過去, 過去完了対応)

英検1級、英国修士(TESOL/英語教授法)、英語教師のASAKOROKOです。

仮定法は、これまで高校英語の範囲でしたが、新学習指導要領では中学校でも指導することになりました。

高校では、中学校での学習を基礎に、仮定法過去完了などを学びます。 高校でつまずかないように、中学校のうちにわかりやすく教えてあげたいですよね。

不安もあると思いますが、大丈夫です。この記事でしっかり解説していきます。

この記事の内容は、以下の通りです。

この記事の内容
  1. 中学校で教える仮定法とはなにか
  2. 仮定法のわかりやすい教え方(If & Wish)
  3. 仮定法と条件法の違い
  4. Wish と Hope の違い
  5. 仮定法を使ったアクティビティ
  6. 高校での指導方法

中学校で教える仮定法とは?

仮定法とは、現在の事実に反したり、現実には起こっていない願望や気持ちを表現するための文法です。Ifwish を使います。

中学校では、仮定法のうち、ごく基本的なものとして、次のような文を指導します。

【例文】
If I won the lottery, I would buy a big house.
もし宝くじが当たったら、大きな家を買うのに。

If I were you, I would ask my best friend to help me.
もし私があなただったら、親友に助けを求めます。

I wish I knew my cat’s feelings.
猫の気持ちがわかったらいいのに。

仮定法の特徴

仮定法の最大の特徴は、今現在のことであっても過去形を用いることです。また、be動詞は主語に関わらず一律に were になります。

【例文】
If you had five million yen, what would do?
もし500万円あったら、何をしますか?

If I were super rich, I could travel around the world.
もし私が超お金持ちだったら、世界中を旅行できるのに。

Ifを使った仮定法を公式にすると、

If S1 過去形/were ~, S2 would/might/could ~.

となります。

なお、助動詞の意味は、以下の通りです。

  • would〜する
  • might〜するかもしれない
  • could~できる可能性がある

【例文】
If I worked out every day, I would lose weight faster.
もし私が毎日運動していたら、私はより早く体重を減らすだろう.

If you didn’t spend so much money, you might save enough to buy a better car.
そんなにお金を使わなかったら、もっといい車を買えるくらい貯めたかもしれません。

We could go to the beach if we had a car.
車があればビーチに行くことができるのに。

If 以外の仮定法

中学校では、If のほかに、 wish も指導することになります。

【例文】
I wish I didn’t have to take tests.
受験しなくて良いならいいのに。

I wish my mother didn’t have too many things to do today.
母が今日することがあまり多くなければいいけど。

仮定法のわかりやすい教え方

仮定法とは、どういうものなのかを、最初に簡単にまとめましょう。

板書もこのくらいシンプルでOKです。

仮定法の感覚を身につけさせる

仮定法の感覚は、言葉で色々と説明するより、実際に体感させた方が早いです。次のような発問をして、実際に体感させるのがオススメです。

  • If you had five million yen, what would you do?(現実に500万円は手元にないけれど、もしあったら何がしたい?)
  • If you were a superhero, what would you do?(現実にスーパーヒーローではないけれど、もしそうだったら何がしたい?)

If を使った文の形を覚えさせる

If を使った仮定法の形は、以下の通りです。

If S1 過去形/were ~, S2 would/might/could ~.

指導のポイントは、次の3つです。

  1. 現在のことでも過去形
  2. be動詞は常に were
  3. 後半部分では、would/might/couldのいずれかを必ず使う

Wish を使った形を指導する

Wish では、If 同様に、現在のことでも過去形、be動詞は常にwereを使います。

【例文】
I wish (that) I had a big house
大きな家があればいいのに

I wish (that) we didn’t need to study
勉強しなくていいならよかったのに

文の形も指導しておきましょう。

S1 wish (that) S2 過去形/were ~.

条件法と仮定法の違い

条件法と仮定法の決定的な違いは、現実になる可能性があるかどうかです。現実になる可能性があれば条件法を、可能性が限りなく低ければ仮定法を使います。

条件法を用いるパターン

現在および未来において、現実になる可能性がある場合は、条件法を使います。

【例文】
If it rains tomorrow, we have to cancel our plan.
もし明日雨が降ったら、私たちはその計画をキャンセルしなければなりません。

If it is true, I can’t forgive her.
もしそれが本当なら、私は彼女を許すことはできません。

仮定法を用いるパターン

仮定法が使われる状況は、厳密には次の2つです。

  1. 未来の出来事のうち、現実になる可能性が限りなく低いもの
  2. 事実とは異なり、今現在不可能なこと

【例文】
①If I won the lottery, I would buy a big house.
もし宝くじが当たったら、大きな家を買うのに。

②If I had his number, I would call him.
もし私が彼の番号を知っていたら、私は彼に電話するのに.

条件法と仮定法の違いは、聞かれたら答えるくらいに留めておく方が、指導がスムーズです。

Wish と Hope の違い

Wish と Hope のどちらを使うかは、実際にできるのかどうか、で決まります。

Wish を使うケース

Wish は「出来たらいいと思うけど、出来ないこと」を述べるのに使います。例文を見てみましょう。

【例文】
I wish I were taller.
背が高ければいいのに(実際には、高身長にはなれない)

I wish I had your confidence.
あなたのような自信があればいいのに(実際には、そんなに自信を持つことができない)

I wish I was going with you.
一緒に行ければよかったんだけど(実際には、一緒に行けない)

I wish there was something I could do.
何かできることがあればいいんだけど(実際には、何もできない)

ちなみに、口語では were の代わりに was を用いるネイティブスピーカーも多いです。ですが、正式には誤りです。年齢が高く、教養のある人ほど were を好みます。また、カジュアルな会話では I wish の I がよく省略されます。

Hope を使うケース

Hopeは「未来に起こりうる出来事で、期待していることを述べるのに使います。例文です。

【例文】
I hope to see you soon.
お会いできることを楽しみにしています。

I hope you pass your test!
あなたがテストに合格することを願っています!

I hope you will have a good time.
楽しんでね!

仮定法を使ったアクティビティ

無人島に持っていくもの

無人島に持っていくものを話し合わせる活動です。仮定法指導のお決まりのパターンかもしれません。ペアワークやグループワークにしても盛り上がりますし、ライティング活動にするのもオススメです。

If you could take three things to a desert island what would they be?
無人島に3つ持っていけるとしたら何を持っていきますか?

転生するならいつ?

もし、今とは違う時代に生きられるなら、いつの時代にしますか? 最近は転生ものの漫画やアニメが流行っているので、たまには生徒に迎合してみるのも。社会の先生とか教室に連れてきて一緒にやったらツッコミ入りまくりで楽しそうですね。

If you could travel back in time, what era would you choose and why?
過去にタイムスリップできるとしたら、どの時代を選びますか?なぜですか?

魔法のランプ

ランプの精ジニーに、願い事を3つまで叶えてもらいましょう。wish を使ったアクティビティをしたい時にオススメです。

I am the Genie of the lamp, and I will grant you three wishes!
私はランプの精、あなたの願いを三つ叶えます!

Really!? I wish I had more genies! If I had more genies, I could have all my wishes granted!!
本当!? もっと精霊がいればいいのに! ジーニーがもっといれば、私の願いが全部叶うのに!!

仮定法を使った洋楽リスニング

仮定法を使った洋楽リスニングのおすすめは、Eric ClaptonTears in Heavenです。仮定法 if を使った文が豊富に歌詞に含まれています。

仮定法に特徴的な部分である if や 過去形, 助動詞の過去形(would)などを空欄にして、聞き取らせるような活動が考えられます。

Would you know my name if I saw you in heaven?
もし天国で会えたなら、僕の名前を覚えていてくれるかい?

Would it be the same if I saw you in heaven?
もし天国で会えたなら、変わらずにいてくれるかい?

仮定法を使った曲は多いですが、ここまで綺麗に if が使われているのは珍しいです。テンポも遅く、他に使われている単語もあまり難しくないので、学年やクラスを問わず使いやすいのもポイントです。

次に紹介するのは ExtremeMore Than Words です。Eric Clapton の Tears in Heaven に比べて複雑です。高校で使うのがいいかもしれません。

More than words is all I ever needed you to show
君にずっと見せて欲しかったのは言葉にできないこと

Then you wouldn’t have to say that you love me
そうすれば愛してるなんて君は言わなくていい

What would you say if I took those words away?
もし僕がその言葉を奪ったら君はなんて言うつもりなの?

Then you couldn’t make things new just by saying “I love you”
そしたら”愛している”だけではもう何も伝えられない

if を使った仮定法も含まれていますが、if節を伴わず wouldn’t や couldn’t だけの文も見受けられます。実際の会話でも仮定法はこうした使われ方が多いです。

(If you were in the same situation,) would you do that?
(あなたが同じ状況にいたとして)あんなことする?

Oh, I wouldn’t do that (if I were him)
いや、絶対にしないね(私が彼だったとしたら)

if節は省略しても、使われている助動詞や状況から仮定法であることが明白であるため、このようなことが起こると考えられます。

高校での教え方

仮定法過去完了

仮定法過去完了は過去の事実に反する仮定をする場合に用いる文法です。仮定法過去が理解できていれば、時間軸が後ろにずれるだけなので難しくありません。

例文と公式を提示して指導していきましょう。

【例文】
If we had set the alarm clock, we might not have gotten up late.
アラームをセットしていたら、私たちは寝坊しなかったかもしれません。

If I hadn’t left my wallet at home, we wouldn’t have missed our flight.
もし私が財布を家に置き忘れいなければ、飛行機に乗り遅れることはなかったでしょう。

I wish I had studied much harder when I was a high school student.
高校生の時にもっと一生懸命勉強しておけばよかった。

If S1 had Vpp~, S2 would/might/could have Vpp~.

S wish had Vpp~.

なお、wish は if only で置き換えることも可能なので、受験生には伝えておきましょう。

if と wish 以外の仮定法

if と wish 以外の仮定法は、受験対策での指導が多くなります。何を指導すべきか忘れがちなので、指導項目をリストにしておきます。

  • as if SV / as though SV
  • without
  • suppose
  • 倒置法による仮定
as if / as though のパターン

基本的には、as if / as though S + V で あたかも S が V するかのように、と指導しておけば間違いないです。

【例文】
The games continued as if nothing had happened.
何事もなかったかのようにゲームは続けられました。

なお、as if to で あたかも ~するかのように、という表現も可能です。

【例文】
He turned to me as if to say, “Hurry boy, it’s waiting there for you” (TOTO / Africa)
彼はまるで「急いで、そこで待っているよ」と言うように私の方を向いた

without のパターン

without のあとも仮定法が続きます。

【例文】
Without your help, I would never have been able to solve my problems.
 あなたの助けがなければ、私は自分の問題を解決することができなかったでしょう.

suppose のパターン

仮に、という意味で suppose を使う場合、仮定法が続きます。

【例文】
Supposing you had time. Would you travel more?
時間があったとします。 もっと旅行しますか?

倒置による仮定法

if を使わず、倒置させることで仮定法を用いることが可能です。会話では用いられませんが、受験には必須かもしれません。

【例文】
Had they had enough money, they would haven’t done such as thing.
彼らが十分なお金を持っていれば、そのようなことはしなかったでしょう。

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仮定法をはじめとする文法指導は、日本国内だけでなく、英語圏での指導方法も参考になります。

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仮定法は気持ちを表現する文法です。使いこなせるようになると、実際のコミュニケーションや人間関係が円滑になります。

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