CEFR C2とは!? 勉強法も解説! 単語&スピーキング対策

英検1級・英国修士(TESOL/英語教授法)、現役英語教師のASAKOROKOです。

C2は、CEFRにおける最高レベルです。資格試験では IELTS 8.5-9.0、ケンブリッジ英検 Proficiency が該当します。英検1級やTOEIC990点よりも上です。

日本人としては、C1でもかなりハイレベルです。その上のC2を目指すとなると、テキストはおろか情報すら少ないのが実情です。

この記事では、ヨーロッパ評議会やCambridge Assessmentなどを参考に、CEFR C2に必要な単語数やスピーキング対策について、検討していきます。

CEFR C2徹底解説!

CEFR では、C2レベルの言語使用者について、次のように説明されています。

  • 努力することなく、読んだり聞いたりしたことのほとんどすべてを理解することができる
  • 複雑な話題であっても、非常に流暢かつ正確に、言葉の微妙な違いを使い分けながら、自己表現ができる。

非常に高い基準となっているのがわかります。ほとんど、ネイティブスピーカーのことを言っているようにも聞こえます。

では、C2 = ネイティブなのか、検討していきます。

CEFR C2はネイティブレベルなのか

結論から言えば、C2 = ネイティブ ではありません。

ヨーロッパ評議会の公式資料によれば、C2はノンネイティブ・スピーカーが到達しうる最高点ですらありません。

言い換えれば、理論上は、D1やD2を想定することが可能ということです。しかし、現実問題として、D1やD2でなければならない場面がほぼ皆無なので、一般向けには作られなかった、ということです。

気になる方のために、ヨーロッパ評議会の説明も引用しておきます。

C2レベル:「マスタリー」と呼ばれていますが、ネイティブ スピーカーまたはネイティブ スピーカーに近い能力を意味するものではありません。

– CEFRレベルに至った背景

6 レベルの図式では、A から C まで上向きにラベル付けされています。これは、C2 が追加言語の習熟度として考えられる最高レベルではないためです。

実際、7 番目のレベルを含む図式は、1977 年に開催された政府間シンポジウムで David Wilkins によって提案されています。 しかし、ウィルキンスの第 7 レベルは一般的な教育に必要な範囲を超えているため、CEFR 作業部会はウィルキンスの最初の 6 レベルを採用しました。

Council of Europe. (2020). Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment. p.37.

ちなみに、通訳や翻訳を目指す場合は、C2以上が必要かもしれません。欧州機関の同時通訳者やプロの翻訳者は、C2 をはるかに上回るレベルで業務を行っているとされています。

CEFR C2 を目指す勉強法

CEFR C2 を目指す勉強法のポイントは、次の3つです。

  1. 客観的に実力をチェックする
  2. C2に必要な単語を身につける
  3. スピーキングをC2レベルに引き上げる

1. 客観的に実力をチェックする

英語学習の鉄則は、自分のレベルに合った学習を行うことです。そのためには、自分のレベルを客観的に把握する必要があります。

2. CEFR C2に必要な単語を身につける

C2到達に必要な語彙数については、実は議論が進行中です。学術的な論文も出ていますが、実体験とあまりに乖離していると批判も多いです。

海外のサイトで、納得感が得られているのは、次の目安です。

  • A1 = 500
  • A2 = 1,000
  • B1 = 2,000
  • B2 = 4,000
  • C1 = 8,000
  • C2 = 16,000

学術的な裏付けがあるわけではありませんが、経験則として参考にしていきます。

Reference: https://languagelearning.stackexchange.com/questions/3061/what-are-estimates-of-vocabulary-size-for-each-cefr-level

具体的にどのような単語を学ぶべきか

ネイティブの大学生で、20,000語程度を知っていると言われています。

そのため、16,000語は、ネイティブが高校~大学までに学ぶ語彙に相当すると考えられます。(D’Anna, Zechmeister, & Hall, 1991). 

また、別の海外サイトでは、C1までのボキャブラリーと、C2以降のボキャブラリーについて、次のような対比をしています。

Body parts :

  • from A1 to C1: lungs , kidney
  • C2 and after C2: eardrum , anatomy

Plants :

  • from A1 to C1: grass , weed and cabbage
  • C2 and after C2: oak , basil

Countries and nationalities :

  • from A1 to C1: French , English , American , African-American
  • C2 and after C2: Lebanese

C2だからといって、極端に難しい語彙が必要なのではなく、日常的に耳にする言葉を網羅していくイメージに近いと言えます。

Reference: https://ieltstuts.com/how-to-reach-the-c2-level-in-english/

実は英検1級で足りるのではないか説

C2に必要な単語数を16,000と見積もると、実は英検1級でもほぼ足りることになります。

英検1級に必要な語彙数は、10,000~15,000語です。英検1級に、比較的余裕をもって合格するレベルなら、語彙数はC2に到達している可能性があります。

私自身、英検1級を取得してから、Oxford Placement Test という試験を受ける機会があったのですが、語彙に関する設問ではC2に到達していました。

簡易試験なので、どこまで信憑性があるかは疑問ですが、英検1級リーディング = C2 はひとつの目安になると思います。

3. スピーキングを攻略する

日本人が4技能の中で、最も苦手とするのがスピーキングです。IELTSの公式資料でも、日本人はリーディングが最も高く 6.11 なのに対して、スピーキングは 5.52 です。ちなみに、日本人の4技能平均は5.89です。

Cambridge Assessment を参考にすると、C1とC2のスピーキングには、次のような違いがあります。

項目C1C2
分野専門外の分野を含むデリケートな問題を含む
文法複雑かつ正確複雑かつ正確
発話の長さ言葉を探す印象を与えず、流暢言葉を探す印象を与えず、流暢、かつ明確
タスク自然で適切な対処説得力があり、主導権を握って反論できる

C2の方が、言葉を選んでコミュニケーションする力が高く、デリケートな問題を扱ったり、説得力のある議論をすることが求められているのがわかります。

では、実際のところ、どれくらい難しいのか。検討していきます。

C2スピーキングのイメージ

Cambridgeが公式に、動画を公開しています。

スコアも公開されており、男性が3/5, 女性が4/5です。

動画を見ていただけるとわかりますが、C2と言っても、言い淀みはありますし、ときおり正確さに欠ける場面も見受けられます。語彙についても、C1レベルであれば、理解できる範囲です。

C2は、たしかに難しいですが、最初から諦めるようなレベルでもないことがわかります。

C2スピーキング練習

C2に向けたスピーキングでは、Cambridge Assessmentの問題がおすすめです。

次のようなトピックに対して、2分間、話をする形式です。

英検1級のスピーキングも似たような形式なので、代用してもいいかもしれません。

Reference:
・Average Score on IELTS: https://www.ielts.org/for-researchers/test-statistics/test-taker-performance

・Cambridge Assessment (From C1 to C2 Speaking): https://www.youtube.com/watch?v=ymT6m45Mnqk

・Cambridge Qualification C2 Speaking TEST Marks: https://www.cambridgeenglish.org/Images/168178-speaking-test-video-c2-proficiency.pdf