教育実習に行きたくない。不安でしかたない。解決策と対処法。

「教育実習に行きたくない。もういやだ」という声はよく聞きます。

教育実習では初めての経験ばかりで、緊張する場面も多いので、気持ちはよくわります。

原因も人さまざまで、いくつかの要因が複合的に絡み合っていることも少なくありません。

この記事では、行きたくない原因を特定し、的確に対処することを目指していきます。

それでも不安が拭えない場合は、不安への対処法もまとめたので参考にしてみてください。

1. 実は身体的に疲れている

⑴ 拘束時間が長い

教育実習の1日は長いです。

教育実習の1日は長いです。朝8時頃からスタートし、最低でも17時頃までは続きます。

実際には就業時間前から何かしらの準備をしていることも多いですし、終業時間後も次の日の授業準備などに追われているはずです。

しかも教員という仕事の性質上、昼休みもまともに取れないので疲れは溜まる一方です。

⑵ 立ち仕事が多い

実習中は立ち仕事が多いです。

授業を見学する時も立って見学、授業する時はもちろん立って授業。

休み時間や放課後も実習生控室と教室を行ったり来たり。

大学で運動部に所属している学生ならまだしも、日常的に身体を動かしていないと地味に辛いです。

⑶ 睡眠が不足しがち

実習中は寝る間を削って準備しがち。

教育実習中は帰宅後も寝る間を削って準備しがちです。

それでいて朝は早いので睡眠時間が短くなりがちです。

実習は最短でも2週間、長いケースだと4週間も続きます。健康管理には気を遣いましょう。

●身体的疲労は徐々に効いてくる
身体的疲労はボディーブローのように徐々に効いてきます。身体が疲れた状態で作業するのは実は大きなストレスです。休日も翌週の準備をしているかもしれませんし、平日の疲れからぐったりと寝てしまいがちです。そうなると精神的にリフレッシュする機会が減ってしまいます。身体的に追い込むと精神的にもどんどんつらくなるので注意が必要です。

2. 授業が上手くいかない

⑴ 生徒に合わせる難しさ

授業が上手くできないと大きなストレスになります。

実習では模擬授業と違って、生徒に合わせて授業を進めていくことが求められます。

万全の準備をして臨んでも思うように指示が通らなかったり、活動中に生徒がつまずいてしまうのはよくある話です。

実は現職の教員でさえいつもと違う生徒に対して授業をするというのは難しいです。それくらい授業は奥が深いです。

⑵ 本質を見失っている

細部に気を取られすぎないで。

授業が上手くいかないと感じている実習生の話を聞いてみると、非常に細かく準備していることが多いです。

極端な例をあげると、1時間のセリフをすべて書き出すような用意の仕方です。

それで上手くいくならそれでもいいのですが、人間が1度に注意を向けられる情報には限りがあります。

授業は児童生徒が目標を達成できればそれでいいのです。

指導目標と学習活動、それに必要な道具が揃っているかを確認したら、あとは児童生徒の進捗を確認しながら進めるのが大事です。

⑶ 準備に不足がある

授業の準備が間に合いません。

授業準備には時間がかかりますが、実習中はなにかと忙しいことも多いです。

授業が立て込んでいる日だと準備が間に合わないケースも出てきます。

1時間授業が増えるとやるべきことは増えるのに、それを準備する時間は減ります。

教材研究や授業準備を効率化して乗り切りましょう。

3. 生徒との関係に悩んでいる

⑴ 生徒と距離を感じる

生徒との接点はどれくらいありますか?

よく実習生から生徒と距離を感じるという相談を受けます。

距離を感じる場合は生徒とどれくらいの時間を一緒に過ごしているか書き出してみてください。

自分が思っているほど生徒と一緒にいる時間はないはずです。

あるいは、一緒にいる時間は多くてもクラスでの活動のような形になってしまっていて、個別に話をしている時間は意外と少ないです。

朝・昼休み・放課後と生徒との接点を増やすことで距離は縮まります。

清潔感は大事です。見るからに近寄り難いというのは明らかにマイナスです。忙しくなってくると身だしなみも疎かになりがちなので気をつけましょう。

⑵ 他の実習生と比べてしまう

気持ちはわかりますが…

他の実習生がいる場合、ついつい無意識のうちに比べがちです。

あるいは、自分が学生だった頃に来ていた実習生を思い浮かべて、あの人はあんなに上手くやっていたのにと思うかもしれません。

実習生を何人も見てきた立場から言えるのは、たしかに上手くやる実習生と見るからに悩んでいる実習生がいるのは事実です。

ただ悩んでいる実習生の取り組みが悪いかといえばそうとは限りませんし、上手くやっているように見える実習生でも悩んでいたりします。

あまり比べても意味はないですし、比べない方が精神衛生上いい気もします。

4. 指導教官・他の教員との関係

⑴ 指導教官に怒られる・指導してもらえない

教員世界の闇へようこそ。

何が原因でそうなっているのかはわかりませんが、指導教官とのコミュニケーションが上手くいっていないのは事実のようです。

教員にも色々な人がいます。おそらくあなただけの問題ではありません。

ですが、なにかしら理由もあるはずです。

職員室で実習生についての話を聞いていると意外にも「専門性のなさ」を指摘する声が多いです。

生徒に教える以前に実習生自身がわかっていない、技量が足りていないというケースです。

思い当たるような節があれば解決して叱責の原因を減らしていきましょう。

実習の他の部分が上手くいくようになると叱責が減ることもあります。

●指導教官に人格的問題がある
 指導教官に残念ながら人格的に問題がある場合もあります。教員の中には日々のストレスでおかしくなってしまっていたり、昭和がそのまま続いているような人もいます。指導教官自身に問題がある場合は周囲の教員が何かと様子を見てくれているはずです。思い切って生徒に「○○先生ってどんな先生なの?」と聞いてみるのも手です。 

●指導教官が指導してくれない場合

指導教官なのにまともに指導してくれない場合も稀にあります。「なんで引き受けた?」と聞きたいところですが、半ば強制的にとか順番で回ってきたとか、色々あるのでしょう。そういう時に意外と頼りになるのが生徒です。授業づくりについて悩んでいると持ちかけると親身になって意見をもらえる場合もあります。中には指導教官自身がまともに授業できていないと知らされる場合も…。

⑵ なんとなく冷たい気がする

職員室の雰囲気はどうですか?

なんとなく周囲が冷たいと感じる場合、実習生に問題があるというより職員室の雰囲気がそもそも悪かったりします。

ここまでくると実習生がどうにかできるレベルの問題ではありません。

仲良くなくても協力して仕事ができていればそれでいいので気にしすぎないようにしましょう。

不思議なことですが、職員室の雰囲気は何年経っても変わらないことが多いです。全員異動して総入れ替えになっているのに、です。

5. 自分で自分を責めない

⑴ ミスを反芻してしまう

ミスの反芻は厳禁です。

反芻(はんすう)というのは、ネガティブな出来事を何度も思い返す行動のことです。

教育実習に失敗はつきものですが、ミスしたことばかり考えるのは止めましょう。

必要なのは原因を特定して解決策を用意することです。何度も頭の中をぐるぐるさせることではありません。

⑵ 頭の中を空っぽにする

気分転換も大事です。

教育実習に限りませんが気分転換も大事です。

学生時代の気の置けない友人と話したり、料理をしたり、ゲームをしたり、ゆっくりする時間も必要です。

身体的な負荷がかかりすぎない範囲での気分転換がオススメです。

6. 不安で仕方ないを解決する

⑴ 不安を追い払う方法

備えあれば憂いなしです。

備えあれば憂いなしと言いますが、まさにその通りです。

例えば、パラシュートとインストラクターなしでスカイダイビングに行くのを想像してみてください。

そんなの怖すぎて出来ません。結果は目に見えています。

パラシュートだけでインストラクターなしというのも普通の人は不安になります。

でも、パラシュートとインストラクターありなら挑戦できるという人もいるはずです。

これから起きる事に対して適切に備えることで人は不安を減らすことができます。

不安を減らす上でのポイントは「何に」「どう備えるか」です。

⑵ 不安を書き出してみる

まずは「何に」備えるのかを考えてみましょう。

「何に」備えるのかを考える上で1番手取り早い方法は、不安に思っていることを書き出すことです。

教育実習に行くにあたって何に備えたいかは人によっても違いはありますが、いくつか例をあげてみます。

  • 授業が上手くいかなかったら…
  • 生徒と距離ができたら…
  • 指導教官と合わなかったら…
  • 実習生代表になったら…

この段階では不安に思うことをとにかく書き出してみましょう。

7. 不安に備える3つの方法

ここからは不安に備える方法を考えていきます。

万全を期すには「予防」「対処」「立ち直り」の3段階で備えます。

⑴ 不安を予防する

不安要素を取り除きましょう。

最初に考えるべきことは、不安要素を取り除き、不安に思っていることが実現するのを防ぐ手立てです。

風邪などに例えるなら予防の段階です。

たとえば、「授業が上手くいかなかったら…」という不安に対しては、次のような予防策が考えられます。

  • 教材研究を徹底的に行う 
  • 想定される質問を書き出しておく 
  • 予備校の授業を見て上手い解説の仕方を勉強しておく 
  • 先輩に注意するべき点を聞いておく
  • 家でリハーサルをやる

とにかく思いつく限り書き出してみて、より効果的なものを実際に取り入れていきましょう。

⑵ 不安に対処する

不安が的中しても対処法があれば安心です。

予防策を講じたにもかかわらず、不幸にして不安が的中してしまった場合の対処法も考えておきましょう。

風邪に例えるなら風邪薬を飲む段階です。

「授業が上手くいかなかった」というケースでは、次のような対処が考えられます。

  • 次の時間の最初で復習する 
  • つまずいた児童生徒を対象に個別指導する 
  • プリントにわかりやすくまとめて配布する 
  • 児童生徒に授業の感想・意見を聞いてみる 
  • 実習生仲間に相談する
  • 指導教官に助言を求める

何もなかった状態に100%戻すのは難しいですが、それでもいくらか状況を改善する方法はあるはずです。

⑶ 不安から立ち直る

メンタルのケアをしましょう。

不安が的中して対処しても、必ずしも満足のいく結果が得られるとは限りません。

風邪薬を飲んでもすぐには良くならないのと似ています。しばらくはケアが必要です。

風邪を引いた時に身体を労るように、上手くいかなかった時は自分の心の状態も気にしてみましょう。

もし気持ちが沈み込んでしまったり、過ぎたことを何度も思い返すようなら要注意です。

親しい友だちに相談したり、気を紛らわせるようなものを用意しておくのが得策です。

8. 挑戦することの意義を考える

挑戦しなければ失敗もしませんし、不安に思うこともありません。

最初のスカイダイビングの例を思い出してください。

不安を完全にゼロにしたければスカイダイビングに行かないのが正解です。

ですが、挑戦するからこそ得られるものがあるのも事実です。

⑴ 部分的成功という考え方

物事は 成功 or 失敗 ではありません。

授業にしても生徒との関わりにしても、100%成功することはまずありません。

自分の中での及第点に届かなくても、上手くいかないところがあっても、それは自然なことです。

同時に、どこかしら上手く出来るようになっている部分もあるものです。

大事なのは上手くできる部分を少しずつ積み上げていくことです。

そうすれば最終的に1つの授業なり指導が完結します。

⑵ 挑戦しないコスト

挑戦しなければ成長もありません。

挑戦しなければ失敗することもありませんが、成長することもありません。

成長しないということは、課題を先延ばしにするということです。

教員免許状だけ取得して教員にならない場合はそれでもいいかもしれません。

しかし、実際に教員として勤務する場合はあとあと苦労することになります。

●教育実習の最大のメリット?
教育実習には大きなメリットがあります。それは実際に勤務する場合に比べて、教育実習ではリスクを取りやすいということです。実習期間は概ね2〜4週間程度です。仮になにか上手くいかないことがあっても、実習が終わればそれで開放されます。しかし、実際に勤務するようになると最低でも年度中は開放されません。失敗したら自分で立て直さなければなりません。実習中に失敗したら指導教官に迷惑がかかると気にする実習生がいますが、実習が中止になるようなレベルのことでなければ指導教官は立て直す力もあるので大丈夫です。

9. 教員になって解決できる問題・できない問題

⑴ 授業は慣れる、上達する

授業は上手になります。

教員になると授業する回数が格段に増え、それだけ上達していきます。

最初のうちはそれこそ大変ですが1〜2年もすれば慣れます。

長い目でみれば授業に悩まされる頻度は減っていきます。

⑵ 生徒との距離感は解決できる

生徒との距離も徐々に定まります。

実習中に生徒との距離で悩んだ人もいるかもしれませんが、これも解決可能です。

経験を重ねるうちに生徒との適度な距離感はわかってきます。

もちろん、合わない生徒や指導が通らず悩ましく思うこともあります。

ですが生徒は成長しますし、最悪の場合でも卒業します。

⑶ 職員室は変えられない

職員室ガチャ怖すぎ。

職員室の雰囲気は簡単には変わりませんし、生徒と違って数年で入れ替わることもありません。

そのため教員が異動する際に最も恐れるのが異動先の職員室です。

教員の異動は数日で決断を下すことが多いので下見にも行けませんし、まさにガチャです。

一度異動すると数年は動けないのも怖すぎる要因です。

個人的には指導困難校ほど職員室の雰囲気がよく、生徒が手のかからない学校ほど職員室が荒んでいる気がします。

教育実習はハードで大変なことも多いですが数週間で終わります。メンタルに目が行きがちですが身体的にも疲れます。身体的休息と精神的リフレッシュを上手に組み合わせて乗り切りましょう。