英語教師のASAKOROKOです。教育実習生も何回か受け持っています。学級指導も担当しましたし、教科指導もしています。実習生の評価にも関わってきました。
この記事では、教育実習の評価について扱っていきます。
1. 評価づけの方法
⑴ 評価される内容
学級経営と教科指導が主に評価されます。
教育実習で主だって評価されるのは学級経営と教科指導です。
児童生徒の生活指導についてもこれらの中に含まれます。
⑵ 評価方法
基本的には観察による評価が中心です。
評価の材料としては次の要素が考えられます。
- 児童生徒との日常的な関わり
- 学級経営
- 実習日誌
- 日々の授業
- 研究授業
⑶ 評価者
指導教官が原案を作成し、管理職が決定します。
評価の原案は指導教官が作成します。
指導教官が学級と教科で2人いる場合は合議になります。
その後、教務部の教員を交えて議論され、最終的には管理職が決裁(決定)します。
●現実問題として、実習生の評価に時間はかけられない
現場の教員はとにかく忙しいです。実習生の指導がなくても定時に業務を終えられることはほとんどなく、民間企業で言えば毎日が残業続きです。こう言ってはなんですが、実習生の評価に時間をかけていられないというのが実情です。実習生の評価に時間を使うのであれば、目の前の児童生徒に時間をかけたいというのが本音かもしれません。
2. 母校実習での評価
⑴ 慣習にもとづく評価
成績づけについて地域ごとに慣習がある場合があります。
実習生の成績づけについては、地域によっては一律に最高評価を与えるなどの慣習がある場合があります。
母校での実習ではそのような慣習に従って成績が決定されるケースも少なくありません。
●最高評価を与えるのはなぜ?
実習生からすると「一律に最高評価を与える」というのは複雑な心境かもしれません。不利益にはなりませんが、正しく評価されていない気もしてモヤモヤしそうです。理由は大きく分けて2つあります。1つは、実習校から実習生に対する期待です。言い換えれば、教育実習で低い成績をつけることで実習生が教員採用試験で少しでも不利になるのを避け、無事に先生になって欲しいという願いです。もう1つは、大人の事情です。実習生は大学での教育を受けて実習に臨みます。低い評価をつけるということは、大学の教育に対して文句を言うのと同じです。
●大学側が実習校の評価を変える可能性?
大学の成績なので最終的に学生にどのような成績を与えるかは大学側が決定しているといえますが、実習校が提示した成績を大学側が覆す例は聞いたことがありません。大学側は実習を観察しているわけではないので実習校での評価を覆すに足るだけの根拠を集められませんし、実習校での評価を覆すのは実習校に対して専門性がないと指摘するのと同じです。また、実習校側が高い成績を提示している場合にそれを覆すことは学生の不利益に直結してしまいます。
⑵ 実習に対する評価
成績ではなく評価は日誌を見ましょう。
成績については地域に慣習がある可能性について言及しましたが、評価(実習に対するコメント)は実習日誌で確認できます。
指導教官らも日誌ではストレートに評価を書いてくれていることが多いです。
教員採用試験などに向けて実習での評価を確認したい場合は日誌を参考にしましょう。
⑶ 教育実習の成績が低い場合
教育実習の成績が低い場合、次のような理由が考えられます。
実習校側の「ふつう」の基準が大学側より低い
無難に実習を終えたのに評価が低い場合は、実習校側の「ふつう」の基準が大学側より低い可能性が高いです。例えば、大学では「ふつう」の評価が B だったとします。しかし、実習校では同じ「ふつう」であっても C評価 ということはあり得ます。
教育実習の評価にシビア
学校や地域によっては教育実習の評価がシビアである可能性もあります。例えば、教員1〜2年目の初任層の教員が行うレベルの指導が出来て最高評価Aを出す学校と、教員5年目の中堅レベルの指導が出来て評価Aを出す学校では、明らかに後者の方が評価にシビアです。後者の学校で最高評価を取るのは至難の技と言えます。
なお、教育実習の成績が良くなくても落ち込む必要はありません。教育実習の成績と採用試験については、このあと解説します。
3. 附属実習の場合
⑴ 基準にもとづく評価
附属学校での実習の場合は、評価がシビアになりがちです。
附属学校での実習は基準にもとづいて評価され、結果的にシビアになりがちです。
附属学校というのは教育大学や一部の私立大学に併設されている学校のことです。
附属学校では、実習生に高成績ばかりつけていると大学側から注文をつけられるというようなことがあります。
すべての附属学校に当てはまるわけではないと思いますが、大学との力関係がはっきりしていたり、風通しが良い場合に多いように思われます。
⑵ 実習校の評価スタイルを知るには?
実習を終えた先輩や同級生に聞きましょう。
自分が実習を行う学校がどのように成績をつけているのか気になる場合は、その学校で実習を終えた先輩や同級生に聞きましょう。
附属学校の評価は、大学からの通達である年度にいきなり基準が大きく変わることがあるので注意が必要です。今までの先輩はA評価が多かったのに急にC評価ばかりになったという話もあります。
4. 教員採用試験について
⑴ 合否は総合的な判断
採用試験の合否は総合的に判断されます。
教員採用試験の合否が教育実習の成績にのみ左右されることはありません。
教員採用試験では総合的に合否が決定されます。
そもそも成績証明書の提出が求められず教育実習に限らず大学の成績が問われないことも多いです。
⑵ 面接について
面接で教育実習について聞かれることはあります。
面接で教育実習について聞かれることはありますが、成績が良くなくても引け目に感じる必要はありません。
実習先や大学によって成績づけに大きなばらつきがあることは面接をしている側もわかっています。
また、受験者によっては教育実習をしたのが5年や10年前ということもあり得ます。
実習での成績にとらわれるよりも、何をアピールするかを考えた方が得策です。
⑶ 追記
教育実習の評価を採用試験に活用する動きが一部で出てきています。
福岡市立学校では教育委員会が教育実習の取りまとめをしています。教育委員会で「福岡市教育実習評価票」を設定しており、これは実習校が記入し教育委員会へ提出することになっています。評価票には「福岡市立学校教員採用候補者選考試験における採用選考に活用」と記載されており、このような記載がある地域では注意が必要です。