教育実習生を指導してきた経験から言って、実習生がもっとも頭を抱えるのが授業です。
実習生だけでなく、新任の先生方はみんな同じような状況です。
慣れるまでは大変ですが、実は授業にもコツがあります。
この記事では、教育実習の授業が上手くいかない原因と解決策について考えていきます。
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1. 教育実習の授業が上手くいかない原因
⑴ 授業が上手くいかない原因5つ
教育実習の授業が上手くいかない場合、次のいずれかに当てはまると考えられます。
- 教材理解の不足
- 児童生徒理解・関係の不足
- 指導計画の破綻
- 指導技術の不足
- 緊張・プレッシャー
実習生に限りませんが、良い授業をするのは難しいです。
良い授業をするには、教材(指導内容)を理解した上で、目の前の児童生徒に合わせた指導計画を立案し、実行、計画通りにいかなければその場で修正していくことが求められます。
しかも、相手が子どもとはいえ人前に立つので緊張もするはずで、自分自身の感情やメンタルもコントロールする必要もあります。
⑵ 上手くいかない原因を深掘り
もし授業が上手くいかなくて悩んでいるのであれば、次の5つの項目のうちどれに当てはまるのか考えてみてください。
●教材理解の不足
教師自身が指導項目に関する理解が深まっていないと、良い指導は組み立てられません。
例えば、英語の授業で関係代名詞を教えるには、教師自身が関係代名詞について理解している必要があります。
同時に、教科書が関係代名詞をどう教えているのかも理解しておかなければなりません。
他教科も同じです。国語なら教師自身が物語や説明文の解釈ができる必要があり、教科書がどのような指導を意図しているのか把握しなければなりません。
●児童生徒理解・関係の不足
指導計画は、目の前の児童生徒に合わせて立案していきます。児童生徒が今知っていること・できることから徐々に積み上げていくイメージです。
つまり、指導計画を立てるまでに、生徒ができること・できないこと、知っていること・知らないこと、発達の段階などを把握しておく必要があります。
加えて、子どもたちとの関係性も大事です。関係性があればあるほど実習生の授業に対して協力的になります。
●指導計画の破綻
そもそもの指導手順に不備があったり、指導手順に不備はなくとも子どもたちのレベルと合っていない場合は計画通りに進まなくなります。
●指導技術の不足
指導計画を実行する力が必要です。説明や板書、発問をしたり、指示を出したり、計画通りに進まない場合に軌道修正する力が求められます。授業規律を維持するのも重要です。
●緊張・プレッシャー
極度に緊張すると視野が狭くなり児童生徒の様子が看取れなくなるばかりか、判断力が低下します。慣れも必要ですが、ある程度はコントロールしていくことが求められます。
原因が特定できたら解決していきましょう。原因は1つかもしれないですし、複数が絡み合っていることも少なくないです。
2. 教材理解を深める
⑴ 指導内容に関する理解
指導内容に関する教師自身の理解は不可欠です。
実習前から対策できる部分なので、あらかじめカバーしてしまうことをオススメします。
大学で専門的に扱ってきた範囲であれば自信を持てるかもしれませんが、反対にあまり扱ってこなかった単元もあるはずです。
実習の学年と教科書がわかれば範囲を絞ることも可能ですし、1ヶ月前くらいからなら単元もおおよそ教えてもらえるかもしれません。
⑵ 指導法・教科書に関する理解
自分自身が理解していることと、教えられることは違います。
名選手が名監督・名コーチに必ずしもならないのと同じです。
一般的な指導方法に加え、前提となる知識や技能があれば把握しておきましょう。
その上で、教科書がどのように指導しているのか読み解いていく必要があります。
3. 児童生徒理解・関係を深める
⑴ 中間層を把握する
中間層の把握は全体指導の計画立てに必要です。
全体指導は中間層にフォーカスして組み立て、上位層と下位層は個別指導で対応していくのが授業計画を立てる際の基本的な考え方です。
中間層は人数も多く、層としても厚くなりがちで、把握するのが実は簡単ではありません。
反対に上位層と下位層は目出つので、彼ら彼女らを先に把握してしまうことをオススメします。そうすることで中間層のレンジが見えてきます。
上位層と下位層はそれぞれ5〜7人くらい把握しておけば十分です。
⑵ クラスの特徴を把握する
クラスや学年ごとに雰囲気や特徴があります。
1組では上手くいったのに、同じ指導案を使って2組で授業したらあまり上手くいかなかったというのはよくある話で、授業の成否はクラスにも影響されます。
活発に意見をやり取りするのが好きなクラスもあれば、静かに黙々とノートを取り続けるのが好きなクラスもあります。
クラスごとの特徴がわかってくると、計画を立てる段階で役立ちます。
A組はここに時間がかかるとか、B組はここは早く進めても大丈夫、といったことがわかってくるようになります。
⑶ 児童生徒との関係を深める
児童生徒との信頼関係があると授業にも協力的になってくれます。
休み時間や掃除の時間などに生徒とどれだけ関わりがあったかがストレートに跳ね返ってくる部分だと思います。
ちなみに部活動の生徒も信頼してくれているとは思いますが、授業中に部活動の話をするとだいたい嫌がられます。
4. 指導計画を立てる
⑴ 指導目標と授業の流れを決める
指導目標は、指導案に書くよりも具体的な形にした方が授業計画を立てやすくなります。
例えば、英語の授業であればクラスの9割の生徒が進出語彙の8割以上を理解している、というように定義できます。
平行して授業の流れも決めていきます。どの活動をどの程度やれば目標を達成できるのか考えながら進めることが大事です。
英単語を例にすると、単語が読めないと覚えられないから発音を先にやって、意味は表にまとめさせてからフラッシュカードで覚えさせる、次の時間に小テストで確認するといった流れが考えられます。
⑵ 児童生徒をイメージする
授業の流れを考えたら、児童生徒が取り組む姿をイメージしてみましょう。
上中間層・下位層に分け、全体指導のみで仕上がるか、個別の支援が必要になるか判断してみましょう。
フローチャートにするとこんな感じになります。
余裕があれば、上位層にとっても学びがあるか、時間を余さないかなど検討してみましょう。
5. 指導技術を高める
指導技術には色々ありますが、まずは次の3つを確認してみてください。
⑴ 説明や指示の適切さ
曖昧な説明や指示は混乱の元です。
ちょっと不安だなと思う人は、次の3つを確認してみましょう。
- 教師の説明や指示は児童生徒に届いているか(教室がうるさい、集中できていない、etc.)
- 児童生徒の発達・学習段階に応じた表現を使っているか
- 1つの指示で多くを要求しすぎていないか
⑵ 児童生徒の理解を確認する
指示や説明をしたら理解を確認しましょう
●児童生徒が話を聞いているか
説明や指示を理解する以前に聞いてすらいない可能性があるので、話している最中も目を離さずに確認しましょう。
●指示通りに動けているか・問題が解けているか
指示を出したら指示通りに動けているか必ず様子を見ましょう。問題演習を指示した場合は順調に解けているか、つまずいている生徒がいないか確認しましょう。
●説明を理解しているか
説明を聞いている時の児童生徒の表情を読み取りましょう。中には首を傾げたり反応のある生徒もいるはずです。確認の発問も効果的です。
⑶ 軌道修正をする
活動がうまく進まない場合、軌道修正しましょう。
軌道修正のポイントは、個別指導と全体指導の切り替えです。
少数の生徒のみが理解できていない場合は個別指導で対応します。
多くの生徒が理解できていない場合は全体に指示を出し直しましょう。
6. 緊張・プレッシャーをコントロールする
⑴ 成功を定義する
極度に緊張したりプレッシャーを感じるのは失敗したくないという気持ちの表れです。
ですが、何一つ失敗しないというのは現職の教員でも無理です。
授業は多少うまくいかないことがあっても、指導目標を達成できれば成功です。
漠然とすべてを完璧にこなそうとするより、最終的に帳尻が合えばいいくらいに思っていた方が緊張しなくなります。
⑵ 不安を書き出す(予防策・対処策)
それでも不安な気持ちが強い場合は、紙に書き出しましょう。
不安を紙に書き出したら、予防策と対処策を考えます。
予防策は不安に思っていることが実現しないようにする手段です。
対処策は不安に思っていることが実現してしまった場合に取れる手段です。
たとえば、予定していた内容が早く終わってしまい、やることがなくなるのが不安だとします。
その場合は予防策として活動時間の調整できるアクティビティを入れておいたり、対処策として時間が余った時に取り組めるプリントや活動を用意しておけば安心材料になります。
授業が上手くいかないと本当に落ち込みますが、そんな時はどこに問題があったのか分析してみてください。問題を特定することで具体的な改善へと繋げていきましょう。
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