英検1級・英国修士(TESOL/英語教授法)・英語教師のASAKOROKOです。英語の先生なのになぜか国語の免許状も持っています。
今回のテーマは教育実習での教材研究です。
校種や教科を問わず、何から手をつけていいかわからない、という学生に向けて書いています。
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1. 教材研究の意義と求められる能力
教材研究をやる意味は2つあります。
⑴ 教材を生徒に合わせる
教科書をはじめとする教材は、特定の生徒を念頭において書かれたものではありません。
つまり、教科書をそのまま使おうとすると問題が生じます。
難しすぎたり、簡単すぎたり、生徒の興味関心と合わなかったり…。
そのため、教師側で教材と目の前の生徒とギャップを埋める必要があります。
これが教材研究の目的の1つです。
⑵ 研究や教育理論を反映させる
研究や教育理論は必ずしも教科書に反映されていません。
文部科学省では、主体的・対話的で深い学びを要求していますが、
果たして教科書はどうなっているでしょうか?
あるいは、みなさんが大学で習ってきた指導理論と照らし合わせて教科書は十分と言えるでしょうか?
おそらく不足があるはずです。
その不足を補うのも現場の教師の役割となります。
⑶ 教材研究に必要な能力
教材研究の目的は、教材を生徒に合わせること、研究や教育理論を反映させることでした。
教材を生徒に合わせるためには、生徒理解の能力が必要です。
研究や教育理論を教材に反映させるためには、題材や指導法に関する理解が必要です。
2. いつから何をしておくべきか
実習中はとにかく忙しいので、教材研究は実習前にやれるだけやっておきましょう!
中でも、題材や指導法については、教育実習前から準備することが可能です。
その上で、実際に実習が始まったら生徒に合わせて指導計画を修正していくのがベストです。
⑴ 教科書と単元を絞り込む
最低限、扱う教科書は年度当初であってもわかるはずです。
年間指導計画を入手できれば、担当しそうな単元を想定できます。
ホームページで公開されていることもあるのでチェックしておきましょう。
⑵ 教科書を入手する
実習年度になったら、教科書を準備するために実習校に問い合わせましょう。
小・中学校の場合は、実習生自身で書店で購入する場合が多いです。
高校の場合は、学校側で貸してくれることもあります。
購入する場合でも児童生徒用でOKです。というのも、教師用書は高価です。
教師用書は、実習が始まってから実習校で貸してもらいましょう。
大学図書館は要チェックです。教科書や教師用書は、教育学部のある大学であれば大学図書館にある可能性も高いです。
⑶ 一般的な指導方法を集めておく
扱いそうな単元がわかったら、一般的な指導事例を集めることをオススメします。
小学校であれば向山氏の教育技術の法則化(TOSS)も役立つでしょうし、中高であれば科目ごとに指導案などを探してみることをオススメします。
単元の内容が自分自身の苦手分野であったり、すっかり忘れている場合は要復習です。
3. 教材を生徒に合わせるために観察期間にやっておくこと
通常は、最初に授業観察をする期間がもらえるはずです。
この観察期間でやっておくことは2つあります。
⑴ クラスの平均、できる生徒、できない生徒をリストアップする
中間層の把握は、今後授業計画を立てるうえで必須です。
といっても、いきなりクラスの平均をつかむのは難しいです。
アドバイスです。考え方を変えましょう。
上位生徒と下位生徒を除いた分が、中間層です。
上位と下位の生徒は目立ちます。ゆえに把握しやすいです。
彼ら彼女らをまず把握してしまえば、中間を把握しやすくなります。
⑵ 指導教官の授業の流れを把握する
授業には流れや型があるはずです。
1時間ごとの流れと単元やレッスンごとの流れを把握することをオススメします。
指導教官の授業の流れを把握する重要性は「5. 教育実習の落とし穴」で触れます。
4. 教材に手を加える
教科書を開いて、指導目標と合わない問題を取り除いたら、やるべきことは2つです。
⑴ 全体指導を組み立て、指導案にまとめる
クラスの中間層を考えたときに、難しすぎる問題や簡単すぎる問題をリストアップします。
この段階でリストアップした問題は、何らかの改変が必要になります。
少数の生徒が全体指導から溢れる分には、個別指導でフォローすればいいのですが、
全体指導が上手くいかないと窮地に追いやられます。
クラスの中間層に無理のない内容か吟味しましょう。
※授業がなかなか上手くいかない、指導案がまとまらない場合は以下の記事も参考にしてみてください。
⑵ 個別指導の「手立て」を用意する
全体指導から溢れる生徒への対応を考えます。
出来る生徒は時間を持て余してしまうかもしれません。反対にできない生徒は手も足も出せずに涙目になるかもしれません。
どちらも対処しなければなりません。
大村はま氏の言葉を借りれば、まさに「手立て」が必要なのです。
個別指導で救えるのはせいぜい5人くらいです。
それ以上にできない生徒が溢れるのなら全体指導を見直した方がいいかもしれません。
5. 教育実習の落とし穴
教育実習は、実はすごく特殊な環境です。
指導教官の授業スタイルを変えることに慎重になるべき理由を2つと、それでも少しは変えた方がいい理由をお伝えします。
⑴ 年度途中で先生がバトンタッチ
生徒は、指導教官の進め方に慣れているはずです。
よく授業前の休み時間に生徒が「あー、次の科目××かよ。○○先生の授業眠くなるんだよ」とか言っているの聞きますよね。
それは、その先生の授業に慣れており、授業開始前から授業の流れを把握している証です。
生徒は、授業の流れが突然変わると戸惑い、それだけでついて来られなくなることもあります。
そのため、指導教官の授業スタイルからはじめて、少しずつ変えていくことをオススメします。
指導教官には「面白くない」「自由にやっていい」と言われるかもしれませんが、いきなりは変えない方が生徒のためです。
⑵ 評価付けは出来ない
教育実習は、授業をしながらも評価付けには手を付けられないという特殊な環境です。
評価がペーパー試験でつけられるにしても、パフォーマンス課題やポートフォリオが重視されるにしても、
評価と授業が一体化しているというのは大前提なのです。
生徒は評価されることに力を入れて取り組みます。
反対に、授業と評価が結びついていないと不平不満の温床になります。
指導教官の授業スタイルは評価形式と結びついているはずです。
ですから、授業スタイルを変更するときは「評価はどうなんだろう?」と考えておくことが必要です。
⑶ それでも少しは変えた方がいい理由
指導教官の授業をコピーすれば、はっきり言って実習では完璧です。
しかもそれが一番簡単です。
ですが、もし将来、実際に教壇に立つのであれば少しは変えてみた方がいいです。
なぜかと言うと、指導教官の授業をコピーしているうちは、目の前の生徒に合わせて授業を計画する力がつかないからです。
指導教官はすでにそのクラスに合うように授業組み立てており、それをあなたが真似すれば、当然ですよね。
少しは自分で変えてみて、生徒の反応をみてみることをオススメします。
6. 研究授業の前に
研究授業になると、なにやら大それたプロジェクトを始める実習生がいます。
やめましょう。上手くいきません。
なぜ上手くいかないか。単純です。
生徒が慣れていないからです。
もし何かやりたいのであれば、少なくても単元を見通して計画を立てるべきです。
7. 結論
1. 教材研究は、教材と生徒、指導法を結びつけるマッチングのプロセスです。
生徒理解と題材・指導法への理解、どちらも必要です。
2. 題材や指導法は実習前に調べられます
3. 観察期間に中間層と指導教官の授業の流れを把握しましょう
4. 教材に手を加えるときは、全体指導と個別指導を組み合わせて
5. 指導教官の授業をコピーするメリットとデメリット
6. 研究授業はいつも通りが一番
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