数字で見る! 動物の代名詞&関係代名詞の使い分け it/he/she/who/which/that? 犬やペットはどうする?

実は英検1級・英国大学院修士(TESOL/英語教授法)・現役英語講師のASAKOROKOです。

この記事では、動物・犬(ペット)を表す代名詞と関係代名詞のリアルな使い分けを解説していきます。結論から示すと、次のようになります。

動物を表す代名詞
  • it よりも he / she を用いる方が圧倒的に多い
犬(ペット)の代名詞
  • 基本的には he / she が用いられる場合が多い
  • it も間違いではない
  • 品種について言及する場合は they が用いられる
先行詞が動物の関係代名詞
  • who / which / that どれでもOK!

1. 動物の代名詞の使い分け

動物(単数)を表す代名詞は次の3つです。

  • it / its
  • he / him
  • she / her

それぞれの使い分けについて見ていきましょう。

⑴ it

動物は人ではないので、単数であれば it を使うことができます。実際の英文です。

例文

The polar bear is one of the largest and most powerful land carnivores and in the arctic circle, it is the ultimate predator.

北極クマは最も巨大で力強い陸上の肉食動物で、北極圏においては究極の捕食者です.

北極クマ(the polar bear)を it で受けているのがわかります。

⑵ he / she

人間と同じように he や she が使われることも多くあります。

先ほどの続きになりますが、北極クマが今度は he で表されています。

例文

The polar bear was disappointed when he came face to face with a good old-fashioned sled dog.

北極クマは、彼が昔ながらのそりを引く犬と鉢合わせしたときがっかりしたでしょう.

北極クマのような大きな動物であっても人称代名詞が使われることがわかりました。

小動物でも同様です。

例文

This sequence recorded by tourists during a safari proves how tenacious the rattle can be even against opponents much bigger and more dangerous than him.

サファリツアーに参加した旅行者が撮影した映像が、ガラガラという種類のアナグマが、相手が彼よりも巨大で危険であってもいかに粘り強いかを証明しています

動物のサイズに関係なく人称代名詞は用いられることがわかりました。

なお、英文中に登場した北極グマやアナグマはペットや動物園で飼育されているわけではなく、野生です。

よって、he / she がペットのみに使われるという考えは間違いです。

ペットであろうとなかろうと、he/she は使われます。

he/sheの使い分けですが、性別が明らかにわかる場合は she と he の使い分けがなされます。

次の英文では a mother に対して her cub (彼女の子ども)という表現がなされています。

例文

…shows us the fierce fight of a mother protecting her cub against the attack of the powerful hungry cat.

空腹の強力なネコ科の動物からの攻撃に対して、彼女の子どもを守るための母親の激しい戦いを示しています.

⑶ 使用回数の比較

ここまでで、動物に対しては it/he/she のすべてが使われるのはわかりました。

では、最も頻繁に使われる代名詞はどれでしょうか。

代名詞(it/its, he/his, she/her)が動物を表していた回数を比較してみます。

なお、形式主語や強調構文などの it は除外しています。

項目使用回数割合
it / its1540. 5%
he / his1848. 6%
she / her410. 8%
トータル37100 %

総数としては he / his が最も多く、she / her と足し合わせると約60%になります。

It / its はそれでも残りの約40%を占めますが、内訳は次のようになります。

it 4 回(26. 6%)

its 11 回(73. 3%)

実は7割以上が所有格で、its という結果でした。参考までに実際の英文を掲載しておきます。

例文

in spite of its imposing size and its heavy muscular legs, the polar plantigrade could not do anything to avoid being bitten…

その巨大さとその強力な脚にもかかわらず、北極クマは噛まれるのを防ぐことができませんでした.

動物を表す代名詞についての結論です

◉ 野生動物であっても it よりも he / she を用いる方が多い
◉ 所有格の場合は its もよく用いられる

2. 犬(ペット)の代名詞はどうなる?

⑴ he / she

犬(ペット)については、基本的には犬の性別に応じて he / she が用いられています。

次の例文では、ペットのゴールデン・リトリバーに対して he が使われています。

例文

He smells.

彼は臭うね.

統計的なデータはありませんが、飼い主が自身のペットについて言及する場合はかなりの確率で he / she が選択されているように思われます。

⑵ it

犬については he / she が多く使われる印象ですが、コーパスで調べてみると it が使われる例もあります。

例文

As he passes the dog it turns and runs after him, wagging its tail, happy to be leaving

彼(男性)が犬を追い越すと、犬は向きを変えて追いかけ、尻尾を振って、幸せそうに立ち去っていきます

犬について言及する場合に it を用いたからといって間違いになるわけではないことがわかります。

⑶ they

個別の個体についてではなく、犬種について言及する場合は they が用いられます。

例文

…all about owning a golden retriever. They‘re originally bred in Scotland.

ゴールデン・リトリバーを飼うことについてです. 彼らはもともとはスコットランドで飼育されていました.

品種だけでなく、「犬」という動物について言及するときも they が用いられます。

例文

When discussing the well-being of a dog, the importance of taking them out for walks cannot be overlooked.

犬の幸せについて話し合うとき、彼らを散歩に連れて行くことの重要性は見過ごせません.

犬の代名詞についての結論です

◉ 基本的には he / she が用いられる場合が多い
◉ it を使ったからと言って間違いというわけではない
◉ 品種や「犬」という動物について言及する場合は they が用いられる

3. 先行詞が動物の場合の関係代名詞はどうなる?

先行詞が動物の場合の関係代名詞はどうなるのでしょうか。

関係代名詞の選択としては次の3つが候補に挙げられます。

  • who
  • which
  • that

それぞれの使い分けについて見ていきましょう。

⑴ who

人間同様に who を使っている事例がいくつか見受けられました。

動物の種類に関係なく who を使っているようです。実際の英文です。

わかりやすいように先行詞に下線、関係代名詞にマーカーを引いています。

例文

This fight for life and death is then interrupted by a curious jackal who saw in the fight the opportunity to fill his belly at a lower cost.

生死を賭けたこの戦いは、この戦いが簡単に空腹を満たす好機と見た詮索好きなジャッカルによって妨害されました.

 

The pugnacious little mammal had to fight on two fronts: on the one hand, the python who really didn’t want to let it go and on the other hand, the hungry jackal who was soon joined by one of his companions.
この短気な小さな哺乳類は二正面で戦うことを余儀なくされました。一方には、どうしてもそれを手放したくなかったパイソンが、もう一方には腹を空かせたジャッカルらがいました.

⑵ which

代名詞で it が使えるように、動物をモノと認識して which を使うことも可能です。

例文

… such as this dangerous horned viper which is one of the most poisonous in the world.

例えば、世界でも最も強力な毒を持ち危険なサハラツノクサリヘビのような

⑶ that

that が使われることもあります。

次の英文では、the little badger(小さなアナグマ)に対して that が使われています。

例文

The little badger that everyone laughs at has just proved once again that he is the most badass of all animals on the Savannah.

みんなに笑われるような小さなアナグマですが、またしても彼がサバンナにおいて最も凶悪な動物であることが証明されました.

動物を先行詞とする関係代名詞についての結論です。

◉ who / which / that どれでもOK

4. まとめ

動物を表す代名詞は、傾向こそあるものの、何を使っても大丈夫とも言えます。

あまり気にせず、自分の使いたいものを使っていけばOKです。